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ゴーレム使い  作者: 灰色 人生
第2章〜王都へ〜
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88話〜対軍演習・決着〜

 東軍、西軍は部隊配置が完了して後は演習開始の銅鑼の合図を待つだけとなった。



 今回は速度と隠密性重視との事ではカロラーナの副官ラクシーは軽装騎兵を中心に集めた。



 一方の黒鴉傭兵団は重装騎兵が特徴の傭兵団だが、今回の作戦では重装騎兵は向かないのではと言われたが(音が響いたり速度を出すと馬がへばるのが早くなる為)そこは素晴らしきかな異世界である魔道具を使用して問題を解決した。



 今回使用が禁止されているのは殺傷能力のある魔道具のみでそれ以外は使用しても良い。



 実際馬の蹄鉄には疲労を軽減する魔法が付与された魔道具を使用している貴族もチラホラと見受けられた。



 クヴァルムは全ての鎧に消音と軽減の効果を既に付与済みなので問題は無い。



 いよいよ演習が始まると言う事で観客席も静まり返り行く末を見守っている。



 それから五分待っただろうか遂に銅鑼の音が響きわたった。



 ゴォーン! ゴォーン!



 一斉に動き出す。



 東軍と西軍の戦力比は現在東軍が2000弱に対して西軍は1000強と東軍が有利だ。



 東軍は奇策を(クヴァルムとカロラーナの部隊は除く)用意ずに真っ向から力勝負を挑んだ。



 それに対して西軍は弓兵を多く配置して東軍との距離を保つ様に少しずつ後退しながら矢を射っている。




 徐々に西軍は東軍を林の方へと誘導しているのが此処から伺える。



「カロラーナさん。西軍はあの林に伏兵を配置しているのでしょうか?」


「可能性はあるわね。でもそれはブラフで東軍が林に意識を向けた時を狙い澄まして他の場所に伏兵を配置している可能性はあるわ。確かに多くの人数を配置するなら林は適しているけど少人数を隠すなら林では無くても彼処の岩の後ろや彼処の茂みの中でも十分に可能だわ」と何時もの飄々とした言葉遣いからは想像も出来ない真面目な口調だ。



 それを意外そうに見ると副官のラクシーが馬を寄せて来て「クヴァルム殿。隊長はいざ本番となると突然人が変わったかの様に凛と致します。普段もこれなら良いんですが、残念ながら戦場限定で後は辛うじて民の前や論功行賞などの限られた場所だけです」と嘆かわしそうにラクシーが告げる。



 確かに今の姿はカリスマ性の塊で戦乙女と言われるのもわかる気がする。



 見ていてこの人に付いて行けば大丈夫だと感じさせる安心感を周囲に与えている。





 ◆◆◆◆◆



 あれから迂回路を通り西軍の後ろに付いた時には例の林の所まで東軍を引き寄せて居た。



 そして東軍が東側の林を警戒して兵を割いた所に反対側の複数の場所から10人単位の伏兵が襲い掛かる。



 これは予想して居たのか東軍が落ち着いて対処を始めると林からも伏兵が飛び出して来る。



 東軍は林は囮と見なして居たので兵を割いては居たがその兵は西側から襲い掛かる複数の伏兵を迎え撃つ為に向かった兵の隙間を埋める為に再び陣形を変えようとした所に襲い掛かられ混乱している。



 そこへ西軍が攻勢に出た。



 全ての兵を突撃させ左右から騎兵部隊を突撃させた。


 それにより東軍が崩れ始めるがガリバルス将軍が直接指揮を取り混乱を収束させて行く。


 だがそれを見逃さず西軍は全面攻勢に出た。



 そして本陣の守りが300ぐらいに減ったのを見計らいカロラーナの合図で徐々に近づき最初は並足だった馬の速度が速足になりこの時点で本陣の兵士に此方の存在が気付かれ大慌てで陣を組もうとするがそれよりも速く襲歩になり結果的に陣を組もうと動いたことが災いして陣に乱れを作りその乱れをカロラーナは見逃さず隙を突いて陣を切り崩して行く。


 後に続いた重装騎兵である黒鴉傭兵団はその重装備を活かした衝撃力で歩兵を弾き飛ばしながら敵大将を狙い一直線に進む。


 カロラーナは隙を見つけてジグザグに進むのに対して此方は立ちはだかるもの全てを粉砕して進んだ結果先に敵大将に接敵した。



「黒鴉傭兵団団長クヴァルム・ドゥーエと申す!覚悟召されよ!」と気炎を上げて槍で突く。


 敵大将も馬上に居たので馬上槍で何とか受け止めるも此方の槍は長さは向こうの方が20cm長いが重さは此方の方がある為に全ての衝撃を受け止めきれずに落馬した所を首筋に槍の穂先を突き付けると「参った。降参だ」と降伏したので勝鬨を上げる。



「敵将は降伏した!我々の勝ちだ!勝鬨を上げよ!」とクヴァルムが叫ぶと黒鴉傭兵団のゴーレムに取り憑いているレイスが空気を震わせて声を擬似再現させて勝鬨を上げる「「「ウォーー!!!」」」とそしてカロラーナの部下も勝鬨を上げてそれが東軍の本陣にも届き勝鬨を上げる声が聞こえて来る。



 西軍は武器を地面に捨て降伏する。



 これにて演習は終了した。


 今迄の記録の中で最短の記録として記された。





 ◆◆◆◆◆


「騎士ノーリス並びにドゥーエ諸君らは良くやってくれた。我が東軍一の戦果は間違いなく貴君らあるだろう」とガリバルス将軍が機嫌良さそうに告げる。



 これから国王陛下によるお褒めの言葉を頂きクヴァルムは検討されて居た騎士に正式に叙される事が決定された。



 式は恙無く進みクヴァルムの番が来る。



「黒鴉傭兵団団長クヴァルム・ドゥーエ前へ」


 とオルトメルガ国王ガイセル・キエフ=ラトランド・フォン・オルトメルガ(名前の=の場所を変えます)の横にいる宰相マーク・ロトカルフ・フォン・ヘトバンク侯爵の言葉により教わった礼儀作法で前に進み跪坐く。



 ガイゼルが口を開く「ドゥーエのこれまでの功績を考慮して前から打診があった第三王女シャルロット・ロゼ・ブルトール・フォン・オルトメルガの騎士に任ずる。更に今回の演習を見て騎士ドゥーエにはバトランタの地を任せる。これを良く収め王国に忠誠を誓い給え。そしてこれからはクヴァルム・バトランタ・フォン・ドゥーエと名乗るが良い」とまさかの申し出があった。


 騎士に叙されるのはわかって居たがまさか此処で領地まで渡すとはと辺りを見渡すと【王権派】の一部貴族が嘲笑の笑みを浮かべいる事から仕組まれた事だと判明する。


 どうやら第三王女にはあまり戦力を迎え入れて欲しくは無いようだ。



 そしてシャルロットとその守護騎士であるメリアは苦々しい表情をしている事から碌でもない地なのだろう。


 つまりこれは王位継承戦の一環であるのだろう。


 つまる所バトランタは何やら問題がある地なのだろう。



 だが断る選択肢は存在しない。



「はっ謹んで拝命致します」


「では、騎士の儀式を執り行うとするか」とガイゼルが告げて儀礼剣を掲げクヴァルムの左右の方に剣の腹を当てる。


「汝クヴァルム・バトランタ・フォン・ドゥーエはその身が朽ち果てる時まで我が王国オルトメルガに忠誠を誓うか?」


「はい。誓います」


「汝はオルトメルガの剣となり我らの敵を打ち砕き盾となりて我らの敵から守り奉ると誓うか?」


「はい。誓います」



「宜しい。ならば汝をオルトメルガ国王ガイセル・キエフ=ラトランド・フォン・オルトメルガの名に置いてオルトメルガ王国騎士に任ずる。これからも精進せよ」



「はっ!謹んで拝命致します」



「うむ。領地やその他の事については後程ヘトバンク宰相に聞くが良い」と話を締め括りその後も何人かの将校を褒め称えた後退場して式はお開きになった。



 この後二週間を掛けて対軍演習についての反省点や良かった点などを話し合い総評を出すそうだ。



 その後ヘトバンク宰相に呼ばれて年金についての話や領地のバトランタについて聞いた。



 バトランタは辺境都市ウラカと同じく辺境でウラカ見たいに近くに魔の森は無いが南東には敵対国であるラーバント帝国があり北にはラーバント帝国とオルトメルガ王国をまたにかける山脈がありそこに住む蛮族や魔物が時折下山して襲い掛かって来る事から魔の山脈とも呼ばれている。



 そして何度となく戦火に焼かれた地であるバトランタには住人が少なく村が四つあるだけで他には無駄に広い土地があるだけだ。



 一応土地は豊穣の地と呼ばれるほどに肥え太ってるいるが、何度となく戦火に見舞われたので開発は進んで居ない。


 そしてこの土地は騎士爵のクヴァルムが治めるには大きく伯爵領と同じくらい。いや下手したらそれ以上に広い土地が広がっているのだ。



 湯水の如く金を使わなければとても開拓出来ず国政でやるしか希望のない地と言えよう。


 それに運が悪い事にこの地は西側つまりオルトメルガ王国側に通じる道は細い一本の道のみでその左右は高い崖にのりとても通り抜けられる様ではない。


 そして南側は大河が流れて隔離されている。



 ならば帝国はこの地を獲得出来るだろうと思えるが山脈から降りて来る魔物と蛮族が厄介で強い為に中々手に入れらずにいる。



 その為にこの地は王国と帝国が争う場としてしか今迄は利用されて居ない。



 とヘトバンク宰相は説明してくれた。


 そしてそれだけでは可哀想だからと支度金を金貨1500枚と村の規模や大きくなり開拓などに成功した暁には男爵に襲爵する事を約束してくれた。


 更には開拓の度合いにより子爵、伯爵も夢ではないとだけ告げて金貨1500枚が入った袋を渡された。


 そして二週間後のこの度の演習が終われば領地の状態見に旅立つ様に言われた。



 こうしてクヴァルムは曰くある地を賜った。


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