10話
門の前には行列が出来ていた。
辺境都市ウラカには此処でしか取れない様々な物資が、あるため辺境にも関わらず日夜沢山の行商人などが訪れる大都市である。
人口はこのオルトメルガ王国の中でも上位に位置する人口13万人にも及ぶ。
ウラカの北東には砦がありそこから2、3日の所がオルトメルガ王国の敵対国である帝国が位置する場所である。
敵対する理由は大まかに2つ存在する1つ目はオルトメルガ王国は大陸西部連盟の1つであり亜人種に寛容であり庇護する国の1つであるためだ。
帝国は大陸中央部に位置し亜人排斥国のため度々争いが起きる。
もう1つの理由はこのウラカの南方には銀鉱山があり、さらには危険ではあるが、ウラカの東には魔の森と呼ばれる危険地帯があるが、そこに生息する魔物の骨や肉などが非常に重宝され
そこに生えている薬草なども効能が高く多額で取り引きされるためである。
現在魔の森は浅層のみが開放され中層以降は許可された冒険者などしか通行できない様に、結界が張られている。
(この結界は冒険者の制限と危険な魔物がウラカに向かった時の足止め用である流石にこの結界では一定以上の強さを持つ魔物には歯が立たないため足止め用とみなされている、結界が破られたら王都に連絡が行く様に施されており対応も万全である)
だがここ数年結界を破る程の魔物は現れていない。
「次!」
門番が声を張り上げ次々と行列は消化されていく。
「もうすぐで私達の番ですねユウマさん」
「そうですね、門番は何を確認しているんですか?」
「それはですね、まず1つは犯罪者がいないかのチェックと身分証の確認、行商人ならそれにかかる税の徴収と危険物が持ち込まれないかの簡単なチェックですね」
その言葉でユウマは自分が身分を証明できる物を持ち合わせてない事に気がついた。
「あのロベルトさん・・・」
「どうしたんですか暗い顔をして?」
「実はその・・身分を証明する物を持ち合わせてないんですが・・・」
ロベルトは一体何を言っているんだという顔になっていた
「・・・ああ!これはすみませんユウマさんてっきり知っていると思っていましたよ。身分証などは村では村長しか持っていませんでしたね、これは失礼しました」
ロベルトは説明をしてなかったかと苦笑いをした。
まあてっきり知っているもんだと思っていたのもあるが、場所によりまだまだ知らない所もあったりするがユウマはその仕草などから教養を受けていそうだと、思い知っていると思い込んでいたが、そういえば本人がだいぶ田舎の出だと言っていたのを思い出したのか少し罰が悪そうな顔をしていた。
「いえいえ大丈夫ですよロベルトさんでは教えてくださいませんか?」
ふぅよかった、この世界の住人全てがちゃんと身分証を、持っているわけじゃないんだな
「身分証が、なくても入れる方法が幾つかありましてね。一般的な者は村長と一緒に来て村長に保証人になって貰いお金を払い入る方法と、あと一人の場合は詰所でお金を払い、その後衛兵の一人に連れられて身分証を確保しに行きます。この場合払うお金は保証人がいないと倍になりお金も返ってきません(保証人と一緒の場合後で身分証を見せると料金が返ってくる)」
「今回のユウマさんの場合だと私が保証人になるので中で身分証を作りましょう、そうすれば次からは、一人でも大丈夫ですしね」
「ありがとうございます。助かりますあと申し訳ないんですが今は手持ちがないのであとで働いて返しますので貸してください」
ユウマはロベルトに深々と頭を下げ懇願した。
「いえいえ滅相もない頭をお上げ下さい、そのぐらいは私が払いますから、それに仕留めたハウンドウルフがいますからそれを売れば幾らかお金が手に入れられますのでご安心下さいそれに身分証をあとで門番で見せるとお金は返って来ますので気にしないで下さい」
そうこうしていると門番に呼ばれた
「次!」
「はい、今行きます。さあユウマさんいきましょう」
ユウマは頭を上げ「はい、わかりました」と笑顔で返した。
「身分証の提示をお願いします」
門番の言葉にロベルトは懐から銀板見たいなのを取り出し、門番に見せ「こちらの方は私の知人で私が保証人になります」
ユウマの方に手をかざしてそう告げた。
「わかった。こちらにサインを注意事項は保証した、相手が街の中で問題を起こした場合保証人も連帯責任で捕縛されるから気をつける様に」
「はい!わかりました」
ユウマはロベルトに迷惑をかけない様に気をつける事にした。
「では大銅貨を2枚提出する様に」
そう言われロベルトは門番に大銅貨を2枚渡した。
「確かにではようこそ辺境都市ウラカへ」
決まり文句なのかいい慣れた感じで門番が告げた。
中に入ると人、人、人と人の数が多かった。
流石に現代を知るユウマからしたらこのぐらいの数は寧ろ少なく感じるがこの世界では多い方である。
しかしユウマは突如この世界に飛ばされた為この多さに大きく感動した。それに今まで見たことのない様々な種族がいた。
頭に猫の耳と尻尾が生えた獣人や背が低く筋骨隆々なドワーフなど数多の人種が存在した。
ユウマはまさに中世とファンタジーの融合した世界に来たんだなと改めて実感した。
「さあユウマさんまずは冒険者ギルドに行きましょうかそこで冒険者登録をして身分証を確保しましょう」
「えっいいんですか?先にロベルトさんの商会に行かなくて?」
「ええこの先何かと身分証は必要になりますし登録料もありますので先にそちらから済ませましょう」
「ありがとうございますでは行きましょうか」
「ええこちらですついてきて下さい」
ロベルトに続いて歩き出した。
周りに興味が引くものが数多あったが流石にここで道草をくうきはしなかった。
しばらく進むと白い翼の看板が掛かっている大きな3階建ての建物が見えてきた
「ユウマさんあれが冒険者ギルドですよ」
「大きいんですね」
周りの建物よりも頑丈そうな作りでふた回りぐらい大きかった
「ええ冒険者ギルドはもしもの時の避難所にもなっていますから自然と他の建物よりも大きく頑丈になったんですよ」
その説明にやはりそんな理由なんだと思ったがそれ以外にも何か理由がありそうだと思ったが言えば藪蛇になりそうなので心の内に閉まった。