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第7話 僕、立ち位置を認識したみたい

 朝の時間が過ぎて授業が始まる。その始まりの合図はセイリアが来たことで告げられた。


 まず初めての授業は授業と言えない説明である。授業は7日のうち6日あり、その午前中が座学で昼からが実技であること。食堂の場所や使い方、また学園内にある文具屋での支払いの決まりから始まる。

 実技に関しては午後からの授業で教えてくれるらしい。


 それから座学ですることは算術や歴史、魔法についてが主な科目でマイナーなところでは裁縫などもある。この辺りは選択科目となり、必須科目は算術や歴史など最低限の貴族の常識になる。


 例え平民出身だとしても宮廷魔法師や地方魔法師、又は魔法剣士になることが出来てそれらは最低ラインの貴族と判断される。所謂下級貴族である。


 下級貴族と言えば聞こえは良いけれど、実情は領主や上級貴族の手足だそうだ。

 なお、中級貴族なんて者はいない。

 上から順番に、王族・各街の領主・上級貴族・下級貴族・平民となっている。


 因みに、商人はそれらの枠に入らないフリーな存在で冒険者と同じような扱いになっているらしい。


 ここに通うのは無料なので、冒険者が貴族の常識を身につけつつ冒険者家業をして実力を積む、というのが通例になりつつある。



「では、午前の授業を終わります」


 休み時間などないけれど、そもそも始まる時間が遅い。なんと時間で言うと朝10時から始まるのだ。ただ、時計が無いので時間はまちまちである。そのため鐘の音をーー大音量なのだけどーー聞き逃すと大変なのだ。


 でも、終わりが暗くなるまでという鬼畜なスケジュールなので実技が非常に長い。春夏秋冬で日中の時間の差があまり無いことが救いだと言うべきだろう。

 そのため、座学が午後に差し掛かることもままあるので了承してほしい、というお願いもあった。



 初日からぼっち飯の僕はプロフェッショナルと言えるのでは無いだろうか……。


 勇者一行は「僕に友達が出来るまで絡まないでほしい」という約束を守ってくれているので、離れたところでこちらの様子を見守っている。


 そんな彼らをチラ見して、早速食堂へ向かおうとすると声をかけられた。


「リステリアよ、私と共に食事しないか?」


 話しかけてきたのは僕が地味に友達候補に挙げていた、まだ友達のいなさそうな生徒である。その生徒の名はセレスティン、セレスである。


「ほんと!?ありがとう!じゃあ早速食堂に行こう」


 思い切りテンションが上がってしまい、周りの反応なんて気にする余裕がなく、その時の周りの皆の顔が引きつった笑みだったと聞いたのは少し経ってからだった。


「いや、昼食はこちらで用意しているから、ついてきてくれないだろうか?」


 なんて用意周到なのだ、と感動していると不意にポンと手を置かれた。


「ちょっと話したいこともあるし、早く行こう?」


 イケメンの上目遣いもなかなかの破壊力である。特に教室に一人しかいない金髪の持ち主で、おそらくクラスの女子たちから一目置かれているであろう王子様。それだけで普通の女子なら堕ちてしまうに違い無い。


 セレスに連れられてやってきたのは学園内にある噴水があり、趣のある中庭だった。自然豊かで頬をさする風が気持ちよく通り抜けていく。


 そこに突然複数の男女が現れた。敵襲か!と思った僕をどうか許してほしい。


「準備が整いました。セレス様」


「御苦労」


 出てきたのはセレスの執事とメイドだった。執事とメイドがこの世界にいるとは……。過去の勇者が何か残したのもしれないな。

 それも身体強化をして動きを速めているのかあっという間に準備が整ってしまう。


「それではいただくとするか、リステリア」


「は、はい」


 貴公子然としセレスに押され気味に食事をしているとおもむろに口を開いた。


「……リステリア、お前は一体何者だ?」


 僕は首を傾げた。言っている意味がわからない。僕は僕でしか無いのだ。


「どういう意味?」


「生徒同士とは言え王子である私とそのような軽い口を叩く豪胆さ、そして何よりその髪の色だ」


 ……へ?

 生徒同士なのだからこのくらい普通ではないだろうか……そういえばセレスに対して話しかける人は一度としてみていないことを思い出す。けれど、それは僕も勇者一行とデイルを抜けば誰一人いない。


 それに髪の色とは?僕は金髪だけど、セレスもだけど龍族全員金髪だからそれほど珍しくないものだとばかり……。


「はあ、分かっていないのか。いいか?お前のその髪の色、金髪は王族である証だ。私たち以外に金髪はいなかっただろう?他にいたのは銀髪と黒髪のみ。銀髪は貴族である証であり黒髪はそれ以外。金髪は正しき血族にのみ受け継げられる。銀髪もそうだ。交わりすぎた血は黒髪となる」


 僕は言葉が出なかった。絶句というやつだ。

 僕が金髪なのは龍飽の所為ではあるけれど間違いなく父親の血が、龍人族の血が影響しているはずだ。龍人族の本家、というのはあながち嘘ではなかったということになる。

 そして、母親譲りの銀髪。お爺ちゃんが貴族だったことから考えればその娘である母親の髪色が銀髪だから、それも受け継いでおかしくない。

 貴族と王族のサラブレッドということになるけれど……龍族でも王族として扱われていたせいかすぐに驚きが薄れた。


「それが、どうかしたんですか?」


 と、この答えに至るわけだ。


「あ〜もう!簡単に言えばお前は王族だから友達なんて早々出来ないと言ってる!デイルはバカだから例外だ!」


 お、おおう……。バカって言っちゃってるよこの人。いいのかな?しかも言葉遣いも荒れてる。執事の方を思わすみると有無を言わせないと強い目線で見られた。睨みつけられたとは思いたくない。


「てことは、話しかけても断られるのは髪色のせい?ならこうすれば少しはマシ?」


 そう言って龍飽を解いてやった。

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