第5話 私、確信する
閑話のような短い話でわかりやすい伏線です。
また伏線いっぱいはりますよ〜!
伏線なんてのはね、はれるときにはるだけはるんだよ。回収できるかどうかは問題じゃない。なぜなら、回収できる時が来るまで話は終わらないからだ。
――世界間転移。
神王様がそうおっしゃった瞬間、視界が切り替わった。
私の住まう、惑星サルジウだ。
全球砂漠状態のこの惑星において、地に足を付けることはあまりよろしくない。
そこで私は、神気を使って常に宙に浮かぶことを選んだのだ。
水も少なく、オアシスの周辺に多数の国家が乱立している。
「しかし……なんだ、あの男は」
別れ際、一瞬だけ感じたあの圧力。
私でさえ、背筋が震えた。
私があの人間を小馬鹿にしたときの、神王様のむすっとした雰囲気よりも重かった。
まさか、神王様よりも強いなどということは……もしそうならあやつが神に選ばれているはずだ。
そう、私は何も間違えていない。
気のせいなのだろう。
世界間転移というもののせいで、少し鈍ったに違いない。
……それにしても、
「凄いな。神王様はこれだけの距離を、しかも他人を転移させられるのか」
私には到底真似できない。
私の転移ができる距離は、この惑星の中でのみ。
惑星間など、それこそ神を超えた神の領域だ。
「失礼いたします!」
慌てたように、テントの入り口から入ってくる世話役の女。
「か、帰られたのですね。随分とお早い到着で……」
「ああ。神王様が送ってくださった。転移の術でな」
「それはそれは……大変よろしゅうございますね」
まったくだ。
あの恥ずかしがり屋の神王様。あの人間の男が番いで恥ずかしくとも、私を転移してくださった。
なんという罪であろう。
私は神王様のお気に入りになったのではないか?
「神王様の番いになることも、可能だろう。脈はあった」
「……!」
「実に楽しみだ。……時に備えて戦力を結集しておけよ?」
「はっ!!」
くく……神王様に捧げる、この惑星史上最大規模の奇跡だ。きっと、満足してくださるだろう。
「遂に、遂に女性の神王様が! 私の番いにふさわしい!」
触覚が多量にありブサイクで、しかも目が二つで複眼ではないなど、劣等種族も甚だしいが……それでも私より強い力を持っているのだ。
屈服させなくてもいい。ただ、私の言うことを聞くように惚れさせれば良いだけのこと。
番いであろう男も、多量の触覚に複眼でない二つの目。これほどまでにブサイクな者が、よく奴隷でないものだな。
もはや、私の手に宇宙はあるも同然だ。




