表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/522

第12話 僕、 101階層に来たみたい

 がこん、という音と共に新たな下へ行くための階段が現れた。

 その階段は今までよりも一層不気味で、冥府まで続いているのではないかと思うほどだ。案外、もう死んでいるのかもしれない。


 僕たちはひとまず有本を拘束し、一人では何もできないほどぐるぐる巻きにしていた。


「まさか有本がこんなに強かったとはな…」


 玲が言葉を零すと、それに釣られてほかの面々も次第につぶやいていく。


「ほんとに、召還されたときは一番弱かったのにね」


 真は有本の惨状を見て召還された時、それから僕との戦いを思い出しているように遠い目をしている。


「リステリア。有本をとめてくれてありがとう。後のことは俺たちに任せてくれ」


 来希が珍しく頼れるようなことを言っているので、おとなしくそれに任せることにする。僕が有本の身柄を確保していても何の意味もないしね。


「それより、勇者って5人だったんだね」


 巻き込まれ召還の可能性を考慮しながら問うように言うと、明菜が僕の聞きたいことを答えてくれた。


「えっと、確かに5人だったんだけど…最初の訓練のときに近衛隊の隊長さんに戦いの才能がないって言われて出て行ったの。ずっと心配だったけど私たちが勇者投げ出すと魔王倒せないから…」


 巻き込まれ、という線はなさそうで一応ほっと息を吐く。

 巻き込まれというとチートが当たり前だから僕よりも強い可能性ある。まぁ、さっきのも十分チートだと思うけど。

 僕も帰ったらもう一度ギルドマスターにさっきのことを聞いてみる必要がありそうだ。龍人族は皆あれほど強くなれるのか。それとも僕だけなのか。それに、魔力を使ったのは間違いないけどいつもと違う感じがしたのだ。そこらへんのことも聞いてみるべきだろう。


 今はそんなことより、気になる言葉が一つあった。


「魔王って…?」


 魔王。それは魔族の王様というのがよくあるやつだ。でも、この世界に魔族はいないし、ドワーフやエルフなんて人も見かけたことがない。この国の外にはいるのかもしれないけど、そうだとしても見かけなさ過ぎる。

 もしかすると、龍人族みたいに滅んだり隠れていたりしているのかもしれない。


「魔王っていうのは魔物が知恵を持った…そうね、魔族イコール魔王みたいなものね。私たちはその魔王を倒すために呼ばれたの。リステリアちゃんがいれば問題なさそうだけどね…」


 つまり、魔物の王様が魔王ということになっているのだと判断する。知恵を持つということはその魔物の王様が人間に対して戦争を仕掛けようとしているのだろうか。

 でも、魔物が強いと言ってもある程度の冒険者なら普通に倒せるし、あまり脅威では無いように感じる。


「僕はそんなめんどくさそうなことしないよ。攻撃されたらやり返すけどこっちからは何もしないかな」


 僕のやられたらやり返すに反応したのは意外にもミスティだった。ミスティ、何気に正義感強いもん。


「お姉ちゃん!困ってる人いるんだったら助けないと!」


「うぅ~、でもほら、ミスティを危ないところに連れて行けないし」


「私には結界があるから大丈夫!それに、お姉ちゃんとあの人の次に強い自信あるよ」


 あの人、というのは有本のことを指しているだろう。

 確かに僕と有本を抜けばこの中ではミスティが強くなる。でも、近衛隊の人の強さがわからないからミスティレベルならいるかもしれない。そうなると3番目ではなくなり、危険度も高くなる。

 僕と有本は人外だと自分自身で思っているからミスティが通常の最高レベルなのかもしれない。それなら魔王といい勝負か、それとも圧倒できるかのどちらかということになる。

 あ、でも魔王を人の域に収めるほうがいけないのか…。人が倒せないから勇者を呼んだんだろうし。


「そろそろあの下に行かないか?雰囲気が変わったからもっと強い魔物がいるかもしれないけどさ…」


 来希によって現実に引き戻され、有本を引きずって僕たちは階段へと向かう。


 それにしても、とちらりと誰にも気づかれないように来希を見る。


「(なんだか、さっきから来希にちらちら見られてる気がするんだよなぁ…)」


 そう、ちらちら視線を感じるようになったのは戦いが終わって僕がミスティに泣きついた時からだ。あの時も様子が少しおかしかったと思うし、どうかしたんだろうか。


 ふぅ、と階段の前で深呼吸をする。

 この先には何が待っているかわからない。

 階段は魔法無効化が働いているらしく1階層からここまでも、きっとこれからも探知魔法は役に立たない。もしかすると戦いでも魔法無効化がされるようになることもありそうだ。


 ゆっくりと片足を前に出し、階段を踏みしめる。

 その階段は今までと違い、靴を通してもわかるほどの尋常ではない冷気と硬さがある。

 ぶるりと全身が震えた。

 これは武者震い。そう思わなければ足が竦んでしまいそうだ。

 僕はもう片方の足も前に出す。そして、また一歩また一歩とゆったりとした歩行速度で階段を降りていった。



 ようやく101階層に到達し、今までのどれよりも長い時間を感じた。体感では1時間ほど降り続けていた気がする。

 降りた先にあったのは魔物ではなく、一つの小屋だった。

 その小屋のドア部分には101と書かれ、本当に101階層なんだと理解する。


 いったいいつまでこのダンジョンは続くのか。

 それともこの小屋が最後なのか。


 不安と期待を瞳に滲ませ、その扉をゆっくりと開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想、評価、レビュー等!いつでもお待ちしてますので気軽にお願いします!また、閑話リクエストを随時受け付けてますので、何度でもご自由にどうぞ! 小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ