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第4話 介入

「誰だっ!どこから入った!?」


 兵士たちが一斉にリヴィを取り囲む。

 だが、そんなものに気をかけず国王へと視線を送る。


「ああ、その方はいいんだ。下がれ」


 国王によって渋々ながらも剣を引き、魔法を使う際の触媒である杖も下へ向いていく。

 その様子を満足げにみた国王は改まってリヴィに向き直った。


「それで、噛ませて欲しい、というのは本気と見て良いのですかな?」


 この王国において、龍族の王の血を引く者と対等に話し合うことが出来るのは国王のみとなっている。それは過去の知識に基づいてのことであり、王子などは対等ではない。


「その通りじゃ。リステリアは我ら龍族の不始末。なれば、せめて我らの手で葬ってやらねばならん」


 そう言ったリヴィ表情は暗く重かった。

 リヴェイリルはその言葉を受けて、やはりそうか、と思い向き直った。


「聖龍・リヴィテウス様。私は龍人族宗家、リヴェイリルと言います。龍人族のはみ出し者は全て私の元に集っています」


「ふむ。そうか。ならば集めてもらおう。龍人族であれば人族より役に立つ」


 一人一人が勇者並みの強さなのだから、とは付け足さなかった。

 そんなことを言えば人族は、勇者は自身の存在意義をどう思うかなど予想がついてしまう。

 だが、それでも人族より、という部分に過剰反応する輩は少なからず出る。


「その言い方はなんですか!私は宮廷魔法師です!勇者様ほどではありませんが、それでもそれなりの実力は持っているつもりです!」


 それは先ほど杖を向けていた内の一人の女性だった。

 リヴィは一瞥するだけで興味を示すことはなく、さっさと本題に戻ろうかと思う。

 そうはさせてくれないのが彼女だった。


「あまり舐めないでください。国王様と親しいからと言って、そのような戯言を……!」


「ならば、本当のことを言っても良いのか?其方らの存在意義に関係する話を」


 それはどういう意味だ!

 そう叫びたい衝動に駆られたが、それよりも……。


「(何故リヴェイリル殿からこれほどの圧を受ける!?彼は武官では無いはずだが!?)」


 声に出すこともできない叫びを上げて、彼女はペタリと地面に座り込む。


「ちょっとやり過ぎではないか?」


「そうでしょうか?龍族に対してこのような事をしたのですから、当然ではないですか」


 その会話は、まさしくリヴェイリルがやったものだと確信させるものであり、逆らってはいけない人物であると皆に知らしめることとなった。

 宮廷魔法師が一睨みで撃沈。

 これは龍人族と龍族の力を示すには十分過ぎるほどであった。


「では、落ち着いたことだし、リヴィテウス殿。龍族と龍人族についてはそちらでお任せしても?」


「構わない。そちらは混乱が起きても対処し、あの城への侵入を阻め。それから龍族と龍人族を集める為、この王都に人が集まる」


「仮設住居でよろしいですか?」


「それでいい。王都の外に建ててくれ。なんなら材料があればこちらで建てる」


 王国の宰相であるギルはその会話を聞きながら順次計算をしていく。


「少しよろしいでしょうか?」


「ああ、ギルか。……此奴はこの国宰相。私の側近だ」


「今後ともよしなに。それでですね、今回龍人族と龍族に協力すれば何か見返りはあるのでしょうか?」


 突然見返りを求めてきたギルに対して、リヴェイリルは憤慨しそうになったが、リヴィが何も言わないことを見てだんまりを決め込んだ。


「それに関しては後ほど検討しよう。世界が滅んでは元も子もあるまい」


「その通りですね。では、資材をまず必要分運び出します。その後、順次建設を進め途中で龍族の方にも手伝っていただく、という形で」


「うむ。それならばいいだろう」


 話がまとまり、会議は解散の方向へ向かう。


「少し、待っていただきたい。龍族や龍人族の力は確かでしょう。ですが、それほどの力を持っているならば何故これまで王国に進撃して来なかったのかがわかりません」


 国王はリヴィに何かを求めるような視線を向ける。すると、リヴィは軽く頷いた。

 それは話しても良い、なのか話そう、なのかはわからなかったが、少なくとも話すことに変わりはないようだ。


 国王はそう感じ、遂に龍人族と龍族との交流が始まるのだ、と内心では心が踊っていた。

 圧倒的な力の差など関係ない。それを乗り越えて国は発展していく。

 国王は平時でも、戦時でも常に発展を求め続ける。それは学園の予備校の新設という形で証明されていた。


「では、話そうか。王国と、龍王国。人族と、龍人族と、龍族の話を」

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