プロローグ
初作品なので、皆様どうか暖かい視線で見守っていただければ幸いです
一人の少年の話をしよう。
その少年は、いつも何かと戦っていた。
ある時は魔物と呼ばれる恐ろしい怪物と。
ある時は運命と名付けられた巨大な壁と。
ある時は不幸という途方も無い理不尽と。
悲劇をもたらすもの全てと、少年は戦ってきた。
時として、神と呼ばれる世界の管理者とさえ、少年は対峙した。大切な人を守るため、世界に押し潰されそうな者を救う為、剣を振るい、敵を倒し、涙を流しうずくまる人々に手を差し伸べた。
少年に救われた全ての者が少年に心からの感謝を告げた。
少年に救われた全ての者が少年の人生に多くの幸福が訪れるよう祈った。
こうして、多くの人々を救った少年は真摯な祈りと、暖かな感謝を受け、自らのいた世界へ帰って行った。
そして、その少年の命は残り数秒で尽きようとしていた。
ショッピングモールの屋上から突如落下してきた、
自動販売機によって。
あまりにも突拍子の無い出来事に少年は対応出来ず、
ただ一言、こう呟くことしかできなかった。
「え、マジで?」
こうして、人々を救った勇者、神崎悠真の人生は終了した。
ただし、この世界ではの話だが。