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How About You  作者: 春隣 豆吉
Extra edition:Sing Sing Sing
21/22

4:あまいおためし

どうしても木ノ瀬くんに言わせたいセリフがあったため書いた番外編。

2人の結婚後です。

ネタの種はトムトム様からいただきました。


 昨年コンビニスイーツ企画用として書き下ろした短編が好評で、学園物の小説を書きませんかとオファーがきた。

 学園物なんてコンビニスイーツ企画のぞいたら少女小説レーベルで書いていらいだ。

 高校時代を思い出せるように実家に行って卒業アルバム取ってこようと思い立ち、私は実家に連絡をした。


「ただいま蒼葉さん。何見てるの?」

「あ、典くんお帰り。高校時代の卒業アルバムだよ。学園物のオファーが来てさ、高校生を主人公にしたいから実家に行って取ってきたんだ」

 リビングにあるソファで実家から持ってきた卒業アルバムを見ていると、典くんが仕事から帰ってきた。そういえば今日は直帰だと言ってたっけ。

「なるほど。じゃあ僕のも見る?」

「え」

 典くんが卒業したのは、全寮制の男子校で全国的に有名な進学校。“全寮制男子校”という未知の世界の卒業アルバムは見たいに決まっているだろう!!

「男しかいないから、つまらないかもしれないけど」

「えー、そんなことないよ。典くんの高校時代って興味あるもの。ぜひ見せてほしいな。でも、実家にあるんじゃないの?」

「結婚するときに僕の私物で実家に残ってるものを片付けて、残しておきたいものは持ち帰ってきたんだ。じゃあ着替えるついでに持ってくるよ」

 そういうと典くんは立ち上がって私服に着替えに行った。


 典くんの卒業アルバムは可愛いから正統派まで非常に充実したラインナップだ。意図的に集めたんだろうかと思ってしまうくらいに。

「典くんと佑くんは一緒に写ってることが多いね」

 高校時代の2人は現在の姿しか知らない私から見ると幼く感じる。でもひと目で分かったことにちょっと安心する。

「同じクラスだし、佑のストッパーというかフォロー役もやってたし」

「ああ、爆発騒ぎの?」

「そう。あともう一人フォロー要員がいてさ、佑が“助手”と呼んでた1年生なんだけど。結婚パーティーにも来ていて、ここにも写ってる」

 典くんが指差した先には、佑くんに首つかまれて一緒に写真に写っている澤田さん。彼が助手になった経緯を典くんに教えてもらって少し同情してしまった。

「ところで蒼葉さんの高校は共学だったんだね。この人は結婚パーティに来てくれた人だね」

「玉恵とは高校時代からの付き合いなんだよ。私は典くんに比べたら地味な高校生活だったよ。爆発騒ぎもないし」

「ないのが普通だよ。ところで前に僕の名刺を見て電話をかけてきた上村って人はこんな顔してたんだね」

「へっ?」

 典くんがクラス別の個人写真を見ながら面白くなさそうに言う。上村くん……見た目は高校時代の面影があったけど、大人になって再会したら中身が残念な男性になっていて、クラス会以降すっかり忘れていた名前。

「ふーん人気のありそうな顔をしてる。蒼葉さんは彼を好きだった?」

「……確かに上村くんはクラスでも好かれてたよ」

 ここで初恋の相手だと言ったら非常にまずい気がして、ごまかす。

「そういう風にかわしますか。ま、いいか。蒼葉さんのそばにいるのは僕だし」

 もしかして典くんはヤキモチを焼いたのか?うわー、何でもソツなくこなして嫉妬なんて縁がなさそうな典くんが。


 あ。なんかネタが浮かんだ。同じ高校で彼女が年上なんてどうだろう。“先輩は僕のものです”なんて言われちゃったりしてさ。

「ねえ典くん。もし私と典くんが同じ高校だったら私が3年生で典くんが1年生だから、先輩なんて呼ばれてたかも」

「じゃあ試してみる?」

「え……なにを」

 顔が近づいてきたので思わず目を閉じると唇にキスの感触。耳元に感じる彼の声、重なる手。

「そろそろアルバム見るのをやめて、僕と過ごしてくれませんか。ね、先輩?」

「……うん」

 典くんに“先輩”と言われると、どうしてこんなにどきどきするんだろう。

 そして繰り返すキスはとってもあまい。

これで「How About You」は完結です。

本編も書いてて楽しかったですが

番外編が特に趣味全開で書けて楽しかったです(笑)。


この作品を楽しんでいただいた方全てにお礼を言いたいです。

長い間お付き合いいただいてどうもありがとうございました。

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