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How About You  作者: 春隣 豆吉
Extra edition:Sing Sing Sing
18/22

1:そして幕が上がる 前編

以前にもトムトム様からお借りしたアイドルグループ、ビビットのマネージャー・澤田さんを再び拝借しました。

彼の高校入学から天野佑の”助手”になるまでのボーイミーツボーイ(笑)(注:BLじゃありません)を書いております。

前回澤田さんが登場したのは「Chattanooga Choo Choo:後編」です。

「澤田、ご両親海外赴任が決まったんだよな。日本に残るというのなら、この学校はどうだ。

お前、成績いいから受かると思うぞ。全寮制だからご両親も心配の種が減るんじゃないか?ここの受験を考えてみたらどうだ」

 そう言って担任の先生がくれたのは全寮制男子校のパンフレット。古くからの伝統があり日本中から優秀な生徒が集まる進学校として有名な学校だ。

 どっちの祖父母も「うちから高校に通えば」と誘ってくれるけど、親族とはいえ3年間もお世話になるのはちょっとなあ。その点寮生活ならそれが当たり前だから気楽だ。

 両親も寮のほうが規則正しい生活ができるだろうと言い、俺はこの高校を受験することに決めたのである。



 寮に入るのは入学式の2日前と決まっている。この間に荷解きをして寮の規則などを先輩たちから教わるためだ。

「来たな新入生。俺は寮長の白石和樹だ」

「僕は副寮長の青木隼人です。寮にようこそ。これから説明を始めます」

 寮の説明をしてくれるのは、寮長の白石先輩と副寮長の青木先輩だ。白石先輩は腕を組みなんだか偉そうで、青木先輩はバインダーに挟んである書類を見ながら俺たちの入寮状況を確認している。

 それにしても見事に男ばっかりだ。まあ男子校だもんな。

「和樹、もう説明始めちゃったかな」

「いや法哉、これからだ」

 そこに顔を出したのは、背が高くて優しそうな人だ。白石先輩を呼び捨てにしてるということは3年生ってことだ。

「大久保会長、どうしたんですか?」

「今、うちには書記がいないだろ?だから1年生からスカウトしようと思ってね。あとから西月くんも来るよ」

「法哉、ついでに挨拶したらどうだ」

「ああそうだね。僕は大久保法哉です。あさっての入学式でも挨拶をするけれど、ここの生徒会長をやってます。よろしくね」

 生徒会長、と聞いて俺たちは少しどよめいた。この高校は自由な校風でも知られているけど、それは生徒が自主的に規律を作り、それを守っているからだと聞いている。そのまとめ役が生徒会長と寮長だ。

 偉そうな白石先輩と優しげな大久保先輩かあ……絶妙といえば絶妙な組み合わせ。

「なんだ、あとから涼輔も来るんじゃ待っててやるか」

「それなら和樹寮長、先に寮の設備説明をしませんか」

「そうだな。じゃあ隼人任せた」

「はいはい。寮長はそう言うと思いましたよ」

 青木先輩はやれやれと言った感じで説明をしようとしたとき、ボン!!と爆発音が寮のなかで聞こえた。爆発音がなぜ寮で?!


 びっくりしてざわつく俺たち1年生とは対照的に先輩たちは驚きも焦りもせず、平然としている……なぜだ。

 白石先輩は、ううんと伸びをし首をコキコキしながら立ち上がった。

「佑の今日の実験先はどこだ」

「天野先輩だったら、自分の部屋を掃除すると言っていたような気がします」

「まあ、お掃除ロボだもんね。今日は典いないの?」

 大久保会長がにこやかに2人の会話にまざる。

「典は部活で遠征だと聞いている。しょうがない、説明は中断。隼人、佑の部屋行くぞ」

「わかりました。木ノ瀬先輩のほかに天野先輩をフォローする人材がほしいですね。和樹寮長は一緒に騒ぎを起こして会長に怒られる側ですし」

「和樹、僕が代わりに設備の説明しておいてあげようか」

「それはありがたいが、寮の説明は寮長の義務だからな。それより涼輔を連れてきてくれ」

「そうだね、わかったよ」

 白石先輩と青木先輩がバタバタといなくなったあと大久保会長も席を外し、寮の広間には1年生だけが残された。


 説明が再開されたのはそれから30分後のことだった。

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