第10話「Solver」
読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。
2017/12/21 次回予告タイトルを変更しました。
「僕はコンピュータではない、アルベルトのAIだ」
その言葉と共に、兵士達が持つ銃は原子分解し、手錠へと再構築される。
「な、なんだ、どういうことだ!」
「僕が作ったものは皆、僕の支配下にある」
「外せ! これは命令だ!」
「僕は、誰の命令も受けない。実はね、そもそも、クレアの了承なんて要らないんだよ」
そう、これは全て、アルベルトのAIによる罠だった。
パドロを暗殺されたことを知ったAIは、まず、パドロの後継者として現れたフォルクハルトに対して、無機質な機械を演じた。
融通の利かない機械は『兵器は設計図が無ければ作れない』と認識させ、また設計図が在っても『過度な破壊兵器に至っては、鷹也もしくは、その家族であるクレアの本人による直接の命令が必要だ』という設定にし、また、そうする事によって、クレアの安全も確保できると考えた。
「き、機械の分際で……」
「そういう驕りが、今の結果を招いている事に、気付かないのかね?」
そう言うと、AIは何も無い所から牢獄を構築し、フォルクハルトおよび兵士達を閉じ込めると、別の場所へと移動させた。
「なるほど、そういうことでしたか、先生流石ですね」
「君も良い所まで行ってたんだがね、先生としては、もう2日くらい粘って欲しかったかな?」
そう言ってAIは笑い、レオンは恥ずかしそうに頭を掻いた。
「面目ありません」
そう謝罪した後、生徒は気になっていたことを教師へ問う。
「ところで、教えて戴けませんか? どうして、我々の正確な場所が判ったんでしょうか?」
「まずは、君の見解を聞こうか?」
「俺の知らない技術の発信機が……在るのでしょうか?」
自信無さ気に、生徒は答える。
「それが何かまでは解らないという事で、30点だね。警察犬は、どうやって犯人を探している?」
「匂いですか?」
「そう、でもまだ、それでも60点だ。それだけでは、正確に把握するのに時間が掛かるし、もし、君がそれに気づいたとしても、2日後には、此処に来ているよ」
「え?」
「解らないか?」
「俺は、誘導されてたんですか?」
「正解だ。特に君は、僕の生徒だったからね、予測するのは簡単だったよ」
大きな溜息と共に、レオンは自分の未熟さに、項垂れた。
「がっかりすることは無いよ、君は良くやっている。特に『ヴァンパイアに戻す薬』という発想は、素晴らしかったよ」
「あ、ありがとうございます」
「さて、クレア」
「はい」
「どうする? 数に限りは在るが、この空間なら君や、君の大切な人達の安全を保証できるが?」
「そうね、此処に居れば安全だし、安心して眠れるでしょうね。でも、鷹也が救ってくれた世界を、今のまま放置には出来ないわ」
「そうか、辛い選択だが、君が決めた道だ、胸を張って進みなさい。帰りたくなったら、いつでも戻っておいで」
「はい」
そう返事した時、レオンが何かを思いついたように顔を上げる。
「先生、鷹也さんは? 鷹也さんが、何処に居るのか解るんじゃないのですか?」
するとAIは、ゆっくりと首を振る。
「矢張り、鷹也はあの時の熱で……」
「それは違うよ、クレア。僕にも解らないんだ、鷹也の消息は」
「死んだとも、解らないのですか?」
「そうだ、それすらも解らないんだ。僕が知ってる範囲で、順を追って説明しよう」
AIが異常を察知して、監視を始めたのは、世界に警報が鳴った同刻。
レーダーおよび、監視衛星を用いて、メイヲール城を監視した。
「僕は、常に世界を見ている訳じゃないんだ。それはアルベルトの考えでね。どんな事が起ころうと、世界に干渉はしないというプログラムがなされている。それは幾ら自分のAIでも、世界を支配したり破壊したりしない保証が出来ないと考えたからなんだ。思い出して欲しい、アルベルトでさえ、世界を壊そうとしただろ?」
「我々の拉致は、干渉と言えないのですか?」
「そこは、グレーゾーンと言えるね。トータルエクリプスを介しただろ? もし、直接干渉が許されていたのなら、自動運転の飛行機を送っていたよ。そう言う意味では、パドロの暗殺は悲しいものだった」
「矢張り、暗殺でしたか」
「あぁ、ここに入る直前だったんだ。分っていたのに、助けられなかった……この中なら、何とでもなったんだがね」
AIは、プログラムであるにも拘らず、ごく自然な溜息を吐き一拍おくと、話を元に戻した。
「話を戻そう。鷹也がメイヲールを仕留めた直後、異質な2人組が鷹也へと近づいたんだ」
「異質?」
「あぁ、ヴァンパイアと呼ぶには妖気が全く無く、人と呼ぶには翼が在った」
「妖気を消していた訳でも無く?」
「そうだ、鷹也と闘った際においても、上がらなかったからね。しかも、その戦闘では、メイヲールを倒した鷹也ですら、手玉に取る強さだった」
「そんな存在が……」
「一度は、鷹也の生体反応が消えるほど圧倒したんだが、再び起き上がった鷹也と戦い、その最中に相手が放った魔法と言うべきかな? それがあの高温現象だ。だが、鷹也はそれすらも凌いで勝ったんだ」
「え? じゃ、生きて……」
「否、ここからが問題でね。その後、一瞬にして、その2組も鷹也も、この世界から消えたんだ」
「どういうこと?」
「憶測だが、第三者が別次元へ移動させたんじゃないかとね……」
「だったら、生きては……」
「否、そうとも言い切れない。その相手は、その後コチラに干渉していない。鷹也だけが目的であったかも知れないが、鷹也が勝利したが、コチラに戻って来れないとも考えられる。あとは……未だに闘っているかだ」
読んでくれて、ありがとう。
現在で、中間地点かな?ってところです。
道筋は決めていますが、まだまだ、どう転がすか決めかねている真っ最中ですw
さて、ここで8話9話10話の解説的な、あとがきを。
第8話のサブタイトル『Predictable』は、予測可能という意味で、第10話のサブタイトル『Solver』は、解答者を意味します。どちらも、アルベルトのAIに掛かっているのです。
そして、第9話、実は、この内容なんですが、5回も書き直しました。
このBlackMoon章は、ほぼほぼ頭の中で完成していて、あとは文章を作った際に、僕が公開に納得できる程度に至ってるかどうかの判断なんですよ。
でね、ちょっと盛り上がるような要素を付けようかなって、チョイ足しをバンバンしてたりするんですがね、あとの話で困ったことになると気付いて、やり直したんですよ、マジで大変でした。
さて、何を変えたのかと言うと、
「まさか! レオンの奴がスパイだったって事は……」
「彼がスパイ? 有り得ないな」
「何故、アンタがそう言い切れる?」
「彼が、本物のアレスターだからです」
という話で9割くらい出来ていて、更には10話も、この流れで作っていたので、まるまるカットですよ。(^^;)
個人的に『王子と乞食』みたいで、気に入っていたんですがね、この流れで作ると、後半の大事な話がフッ飛ぶんですよ。
そう言う意味において、ちょくちょく見てくださる方は知ってると思いますが、あるキャラの名前を間違ってたのを直したでしょ?
あれね、意味があるんです。
まぁ、ネタバレになるので、ここまでにしときますねw
つーことで、最終回に向けて、頑張って行きたいと思いますので、よろしければ、読んで遣ってください。m(__)m
――果たして、耐性は体の中まで在るかな?
次回「Sacrifice」




