表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MoonLit  作者:
Once In A Blue Moon
72/105

第23話「その熱は太陽よりも暑く」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。


2017/03/28 修正。

 ――鷹也、立て。

 

 ウォレフ……約束通り、メイヲールは倒したんだ、だからもう良いだろ?


 ――立て、鷹也!


 カイル……無理だ、何をやっても通じないんだ。


 ――立つんだ、鷹也。


 父さん……神に勝とうなんて、そもそも無茶な話なんだよ。


 ――鷹也、立ちなさい。


 義母かあさん……ゴメンよ、もう疲れたんだ。


 ――鷹也、立たなくて良いの?


 かあさん……お願いだ、もう眠らせてくれ。


 ――立ってくれ、鷹也。


 シュー?


 ――鷹也、クレアを頼む。


 そうだ、俺にはまだ、守るべき家族が居る!



 真剣な面持ちで、ジッと死体を見つめるグレイスを不思議に思ったフェリオスが声を掛けた。


「どうした?」


神気じんを感じる」


「何?」


 フェリオスは意識を集中させ、死んだ筈のドラキュラを見た。


 まだ、生きてやがったとはな……だが、気にするほどのモン(神気)じゃねーな。


「有るには有るって程度じゃないか、心配性だな」


「よく見ろ! 身体が元に戻ってる」


「そりゃ、アンデッドなんだ、生きてりゃ元に……」


「一度死んで、妖気がぜろになった奴の再生速度じゃない!」


「まさか、リザレクションか?」


「あの程度の神気で、リザレクションなんか出来るものか!」


「だったら、一体なんなんだ?」


「それが解らないから、不気味なんだ! 二人派遣された理由が、アレなのかもしれないんだぞ!」


「面白いじゃないか。だから、親父は俺を選んだ、だろ?」


 新しい玩具を見つけた子供のように微笑みながら、フェリオスは得体の知れないドラキュラへと歩み始めた。


「待て、フェリオス!」


 後ろを振り向かずに、右手を軽く振り「お前は、そこで見てろ」と、歩みを進める。


 その"アレ"と呼ばれた生命体は、手足を使うことなく、かかとを支点にフワリと身を起こし、ゆっくりと開かれたまぶたから現れた瞳は真紅に染まって、それに呼応するように、妖気が満ち溢れてゆく。


「なかなかホラーだな。さっきよりは、期待できそうだ」


 フェリオスが、負けるとは思えない……。

 しかし、あれが一度死んだ奴の妖気か?


 鷹也の発する妖気は、グレイスの知る誰よりも高くなっていた。


「さぁ、第2ラウンドを開始しようじゃないか」


 その言葉はゴングとなって、再び、二人を闘いのリングへと導いた。

 グレイスの心配を余所よそに、闘いは一方的だった。

 しかし、明らかに前と違っていたのは、フェリオスの攻撃をけたり、ブロック出来るようになっていたことだった。

 また、攻撃を喰らっても、簡単に骨が折れるようなことも無かった。


 見える! 奴の動きが!

 感じる! 奴の気が!


 とはいえ、その威力まで殺すことが出来る訳ではなく、ブロックごと弾き飛ばされ、その勢いは城の柱を二本破壊して、ようやく止まる。

 メイヲール戦、そして、このフェリオス戦で柱が幾つも破壊されたことによって、城はきしみ、天井が崩れ落ち始めた。

 ウォレフの亡骸なきがらが傷つくのを嫌った鷹也は、場所を変えるべく、蝙蝠こうもりの翼を広げ、城の外へと飛び出した。


「今更、逃げるだと!」


 鷹也を追ってフェリオスが飛び、グレイスもそれに続く。

 だが、音速で飛行する者の場所変更は一瞬のことで、城から60kmほど先に在る海岸へと降り立った。


 こんなに早く降りたということは、逃げた訳では無さそうだな。

 しかし、隠れる物が無いこんな場所を選ぶとは、随分と舐められたものだ。


 フェリオスが闘いを再開すべく、鷹也に突進したその時、遅れてやってきたグレイスが降り立つことなく、鷹也の死角へ入って、蹴りを放つ。

 フェリオスだけに意識を集中していた鷹也は、その攻撃をモロに喰らい、吹き飛ばされる。

 グレイスは、更に間合いを詰め、詠唱する。


「フリィィィーーーズ!」


 獲物を取られたフェリオスは、激昂げっこうする。


「邪魔をするなグレイス!」


 だが、グレイスは鷹也を凍らせはしたものの、そのまま攻撃を続けようとはせず、フェリオスに向かって叫んだ。


「フェリオス! ブレイズを撃て!」


「ふざけるな! ドラキュラ如きにブレイズだと? このエリアはおろか、星さえも傷付けてしまうんだぞ! そんなことしてみろ、親父に……」


「親父には、俺が謝ってやる! 間違いない! 奴は……奴は、覚醒を始めている!」


「覚醒? あんな迷信……」


「よく見ろ! 奴は妖気を神気に変換している!」


「何だと?」


 グレイスの言う通り、鷹也の妖気は減り、その分、神気が増えている。

 それはまるで砂時計のように、妖気の器から、神気の器へ、気が流れるような印象を受けた。


「もし、妖気の全てが神気に変換されれば、俺達ですら危うい!」


 グレイスの言葉を信じてはいないが、そこまで言うのだからと、父から禁止にされていた法術の詠唱を始める。


「いいだろうグレイス、親父にはお前一人で叱られるんだな」


 フェリオスの右手に広がる火球は、徐々に熱量を増し、周りの物をジリジリと焦がしている。


「いくぜドラキュラ、俺のブレイズは、太陽よりも暑いぜ!」


読んでくださって、ありがとう。


――ただ、こうなれば良いと考えただけで、実現する世界。

こうして男は、この星で最初の神と成った。


次回「覚醒」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ