表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MoonLit  作者:
Once In A Blue Moon
71/105

第22話「Enigma」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。



2017/01/18 修正

 グレイスは、ずっと心の何処かで引っ掛かる"何か"を探していた。


「この討伐……何かが可笑しい……」


 疑問に感じた切っ掛けは、父がこの討伐に二人派遣したことだった。

 最初は、フェリオスがり過ぎないように、自分を目付役めつけやくとしてえたのだと、気にもめなかったのだが、鷹也がメイヲールに勝利したことで、疑問は小さなとげとなって、心に刺さった。


 俺の知る限り、ヴァンパイア相手に、派遣が二人だったことは無い。

 仮に、今回の討伐目標がメイヲールだった場合、派遣は一人だった筈だ。

 前のメイヲール討伐がクライ、一人だったんだからな……。

 だが、そうなると……討伐対象は、鷹也こいつということになるんだが……。


 秒刻みに、鷹也の妖気は成長していて、既にメイヲール級と呼べる存在ではあったが、それでも使徒が二人必要なほどの存在とは言えない。

 更に言えば、フェリオスは戦闘タイプの神で、父に反旗をひるがえした神の討伐を命じられるような使徒なだけに、幾ら通常では考えられないほどのスピードで成長しているとはいえ、討伐中にフェリオスの相手になるまで成長するとは考え難い。


 せめて、今の三倍妖気が在れば……否、それでも二人派遣する必要が無い。


 だがそれでも、父が読み違えるとは到底考えられず、グレイスは他の答えを探すのだった。


「それとも、別の"何か"が、此処に現れるのか?」


 そうこう考えている内に、相手をするのに飽きたフェリオスが、終結を宣言する。


「終わりにするか」


 フェリオスは、一瞬で鷹也のふところに入ると、剣を持つ右腕へ手刀を放つ。

 それを受けた腕は、まるで枯れた枝のように簡単に折れ、鷹也はたまらず、その場に剣を落とした。

 更にフェリオスの攻撃は止まることなく、流れるようにその身を回転させ、左の裏拳で鷹也の頬を撃ち抜いた。

 その拳によって弾き飛ばされた鷹也は、その勢いが無くなるまでタンブルウィードのように地面を転がり続けた。


 フェリオスは、そばに落ちている剣を拾い、軽く振り回した後、再び立ち上がろうとするドラキュラに剣先を向け、こう言い放つ。


「剣の振り方も知らないようだから、冥土の土産に教えてやる」


 鋭く振られた剣が、その刀身とうしんでは届かない筈の遠く離れた鷹也の左足を斬り落とす。

 それによってバランスを崩し、再び地面に倒れ行く鷹也へ、フェリオスは更に剣を振った。

 そのやいばから放たれた衝撃波は、地面に手を突こうとする左腕を鷹也から奪い去った。

 そして、鷹也の背中が地面に着くよりも速く、フェリオスは鷹也との間合いを詰める。


「アンデッドは良いなぁ、無くなった身体をすぐに再生しようする」 


 そう言いながら、残っている肢体したいを斬り落とした。

 フェリオスは、鷹也の首を踏んで動けなくし、終焉しゅうえんを告げる。


「つまらない遊びだったな」


 その言葉と共に、剣は鷹也の心臓を貫いて、地面に突き刺された。

 鷹也の断末魔が、城内に響き渡る。


 だろうな……矢張り、俺の考え過ぎか……。

 まぁ、フェリオス相手によくやった方だな。


「また、回復させようか?」


 そのグレイスの問い掛けに、フェリオスは首を横に振る。


「否、もういい。この程度では楽しむことも出来ん」


 そう返事して、突き刺した剣を引き抜き、鋭く振って血を払うと、鞘を鷹也から奪い取って剣を納め、グレイスに投げた。


「ほらよ、約束だ」


 受け取ったグレイスは、剣を少しだけ鞘から出すと「なかなかの名刀だな」と言って、すぐに納めた。


「たまには貸せよ、お前、ズルしたんだからよ!」


 成り損ないの子だと教えなかったことをまだ根に持ってるフェリオスを笑いながら「解ったよ」と返事した。


「それにしても、なんで二人だったんだ」


「たぶん、お前が遣り過ぎないように、俺を目付役にしたんだろうよ」


「随分と信用が無いんだな」


「ほら前に、お前、遣り過ぎて、親父が気に入ってた山、吹き飛ばした事あったろ?」


「あぁ、あの時は、俺も終わったと思ったよ」


「お前じゃなかったら、親父に消されたかもよ」


「おぉ、怖い怖い」


 フェリオスが父に気に入られているからこそ言える、ブラックジョークを笑いながら、仕事を終えた使徒たちは、帰郷するために白い翼を広げる。


「さて、あいつの生命反応も消えたし、他に討伐対象も現れそうにないから、帰るか?」


「そうだな」


 飛び立とうとグレイスが翼を大きく広げた時、或る記憶が頭をぎった。


 そう言えば、あいつ……。

 あの時、一度死んで、生き返ったんだよな?


 それは鷹也が人間だった時代に、ヴァンパイアとの戦争で、一度戦死していることだった。


 まさかな、流石に心臓を突かれて生きていられる訳が……。

 否、もし、仮に俺と同じリザレクションが有れば……。

 否、否、否、何を考えているんだ俺は!

 そもそも、神気じんの無いヤツに出来る訳がないだろ。

 全く、馬鹿な妄想は、この辺に……。


 真剣な面持ちで鷹也を見つめ、動かないグレイスを不思議に思ったフェリオスが声を掛ける。


「どうした?」


「神気を感じる」

読んでくださって、ありがとう。


さて、タイトルのEnigmaエニグマは、謎という意味になります。

色々撒き散らした複線(謎)を拾いながら、この作品もあと三話・く・ら・い?で、完結予定です。



「邪魔をするなグレイス!」


次回「その熱は太陽よりも暑く」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ