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MoonLit  作者:
Once In A Blue Moon
67/105

第18話「Resurrection 前篇」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。

「カイルの討伐を命ずる」


 突然下された使命に、グレイスは自分の耳を疑い、思わず聞き返した。


「か、カイルをですか?」


「そうだ、討伐して来い」


「お任せください」


 深々と頭を下げたグレイスの表情は、厭らしい笑みを浮かべていた。


 長きに渡ったカイルを主人公とする舞台が今、ようやく終幕を迎える。

 最早、グレイスにとって『仇討ち劇』は、観るに値しない三文芝居となった。


 しかし、討伐に向かったグレイスがカイルの城に着いた時、既に、その茶番劇が始まっていたのである。


 まぁ、良かろう、どうせすぐに終わる前座だ。 

 カイルには、丁度良いウォーミングアップになるだろうよ。


 カイルとの決勝戦を楽しみに、それを眺めていたのだが、思わぬ番狂わせが起こってしまう。


「なに!」


 堕ちて行く敗者、カイル。

 それを呆然と目で追う、グレイス。

 まるで自身が死ぬ間際であるかのように、カイルとの闘いが走馬灯のように流れた。


「こんな……こんな茶番で、終わらせてたまるかーッ!」


 何よりも、カイルとの闘いを望んでいたグレイスは、父に懇願する。


「親父様! お願いが御座います! 神界でカイルとの決着を!」


 それは願いと言うより、叫びに等しかった。

 この時のグレイスは、闘いたいという異常な熱に浮かされ、今の状況や自分が放った言葉の意味さえ、考えられずにいた。


「許可する」


 父の言葉と同時に、グレイス、そして、カイルは神界へと転送される。


 落下する感覚が無くなり、まだ意識が残ってることを不思議に思ったカイルは、目を開いた。

 目に映った光景は、自分が住んでいた城の周辺ではなく、果てしないほど草原が広がっていた。


「此処は……何処だ?」


「此処は、神の領域だ」


 声のする方を見上げれば、見覚えのある青い髪の男が、ゆっくりと舞い降りて来た。


「き、貴様!」


「俺の名はグレイス。お前を狩りに来た、神の使徒だ」


「狩り? 私はだ生きているということか?」


 神の使徒という言葉よりも、生きていることに疑念を抱いた。


「その通り。神の恩恵により、お前は未だ生かされている……今はな」


「態々《わざわざ》生かして、殺すのか? 随分と面倒なことをするのだな」


「この傷を覚えているか?」


 そう言って、自分の左頬を指した。


「あの時のか?」


「そうだ! あの時の屈辱を忘れぬよう、敢えて残した! そして、これで漸く、この傷が消せる日を迎えられたという訳だ」


「それは恩恵と言わん、私怨しえんと言うんだ」


 揚げ足を取られ気分を悪くしたが、私怨という言葉でカイルを苦しめそうな出来事を思い出す。


「死ぬ前に、聞きたいことが有るんじゃないのか? 答え合わせをしてやるぞ」


「私は人間に変えられた、どう足掻あがいても、死は免れない。今更、聞いたところで……」


「ほぉ~まるで、ヴァンパイアのままであれば、勝てるみたいな言い草だな。いいだろう」


 そう言うと、グレイスはカイルに手をかざし、詠唱を始める。

 すると、カイルの身体から傷が消え、妖気が再び、その身へと注がれた。


「これで聞く気になったか?」


 そう言って厭らしく笑い、話を戻す。


「お前がガキの頃に居た、執事の死は……」


「貴様が関わっていたのだろ?」


「ほぉ、気付いていたか……ならば弟の死は、どうだ?」


 その言葉に、カイルの顔色が変わる。


「どういうことだ、あれは私が……」


「お前は、自分で行動を起こしたと思っているんだろうが……」


「グリンウェルか! グリンウェルが貴様の……あの時、アルベルトを暗殺しようとしていたのは、グリンウェルか?」


「勘が良いな、その通りだ」


「アルベルトを成り損ないと呼んでいたな、どういう意味だ?」


 漸く質問してきたカイルに、グレイスは饒舌じょうぜつになる。


「神の成り損ないだ。アルベルトは、エミリアと俺の父、神との間に出来た子なのさ。つまり、お前とアルベルトは、一滴の血も繋がってはいないんだ。今まで、弟だと思って大事に守って来た存在が、実は赤の他人で、その赤の他人を手に掛け、今の今まで、悔やんできた無駄な日々。どうだ、今の心境は?」


 それを聞いて、カイルは笑い出した。

 絶望の余り、笑うことしか出来なくなったのだとグレイスは考えたのだが、カイルの心情は真逆だった。


「貴様が考えているより、精神的ショックは少ない。むしろ、あんな父親の血を継いでないと判って、嬉しいぐらいだ」


 そうだ、そうだとも。

 今頃になって、漸く思い出した。

 アルベルトに初めて会った時、血の繋がりなど関係無いほどの衝撃を受けたではないか!

 なぜ私は、血や、強さなんて、つまらないものにこだわっていたんだ!

 すまない、アルベルト、私が愚かだった……。


 カイルは、青い空を見上げ、そこに居ない者に話し掛けた。


 アルベルト。

 私とお前は、兄弟ではないそうだ。

 お前は既に、私を兄とは思っていないのだろうな。

 今更、許してくれとは言わん。

 だが、お前から、どう思われようとも。

 今も、変わらず。

 お前は、私の弟だ。


元々、この話は作らない予定でした。

『実は、生きていた』っていうのが、私の好みではないからです。

ただ、物語を考えていてですね、ここまでグレイスを執着する感じに作っておいて、

「カイル死んだね、はいサヨウナラ」

で、良いんだろうか?って思ってしまいましてね。(^^;)

ついつい

『もしも、カイルとグレイスが闘ったら』

な~んて、妄想が膨らんじゃって、折角考えたから……入れる?

みたいな、ことになってしまった訳ですよ。

そしたら、また、複線仕込んじゃってぇ~ ヾ(≧▽≦)oひゃっはっはっ!

どうしよう?( ̄o ̄;)


次回「Resurrection 後篇」

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