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MoonLit  作者:
Once In A Blue Moon
63/105

第14話「封印」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。

 偶然なのか、必然なのか、それとも、運命なのか?

 アルベルトに再会してしまったことで、グレイスは再び舞台を旗揚げしたい衝動に駆られていた。


 前回の舞台から、すでに17年が過ぎていた。

 父からの監視も外れるだろうから、そろそろ新しい脚本をと考えていた矢先、アルベルトに出会ってしまい、父への報告を余儀なくされる。


 父に、アルベルトという記憶の種を植え付けてしまった。

 しかも、自分にアルベルトを殺させなかった事で、さらに心配の種が芽を出してしまっている。


 次は、どうしてやろうか?

 悲しませようか?

 怒らせようか?

 あぁ、苦痛で歪んだ、あのガキ共の顔が見たい。


 そう想い続け、長年待った意味を無くした今、その想いは破裂寸前まで来ていた。

 いよいよ我慢しきれなくなったグレイスは、久しぶりにグリンウェルに接触しようと、ヴァンパイア領へと赴いた。

 しかし、近況だけを聞いて帰るつもりが、生憎あいにくグリンウェルは不在だった。

 折角来たのだからと、少しだけ様子をうかがうつもりで、カイルの城へと向かう。


 木の陰に隠れ、開いていた窓から覗き込んでみれば、カイル、アルベルト、グリンウェル、ウォレフの四人が揃って、何やら作戦会議のようなものを開いていた。


「随分と大袈裟な作戦だな……ま、まさか! あいつら、馬鹿じゃないのか!」


 作戦から判断するに、相手はメイヲールだということに気が付いた。

 どう考えても、メイヲールを狩るには、人数も個々の力も足りない。

 グレイスは焦った、このままでは自分の獲物がメイヲールに取られてしまう。


 折角、ここまでやってきた舞台が台無しじゃないか!

 そうだ、グリンウェルに中止を……否、あそこまで作戦を詰めているのであれば、猶予ゆうよは無いな。

 俺が親父に、メイヲール討伐の許可を頂く方が……駄目だ駄目だ、そもそも許可が下りるとは限らんし、逆に疑われる可能性が高い!

 許可無く、成り損ないをることは出来ない。

 どうすれば……。

 

 しかし、幾ら悩んでも良い考えが浮かばなかったグレイスは、止むを得ず『父の許可を取ってメイヲールを討伐』という案を選んだ。


 許可が出易い理由を考えなければ……。


 神界に戻ったグレイスは、父の就寝時間が既に過ぎていたことから、明朝を待つことにした。

 しかし、ふと父の部屋を見上げれば、まだ明かりが灯っているのが見えた。


 寝る前に聞くか?

 不機嫌にならないだろうか?

 否、逆に考えもせず、許可を出す可能性の方が高いのではないか?


 グレイスは部屋をノックし、返事を待つ。


「なんだ?」


「グレイスで御座います、よろしいでしょうか?」


「入れ」


 許可さえ出れば、今すぐ飛んで行って狩ってやる!


 扉を開くと、宙に映像を映し出し、眺める父の姿が在った。


「グレイスも観るか? 面白い見世物が観れるぞ」


 そう言われた映像は……メイヲールの城内。

 メイヲールが、四人のヴァンパイアと争っていた。


「な!」


「驚いたか? わしも驚いたよ。ジーザスの様子を観るつもりが、先客が居ようとはな」


「ジ、ジーザスを……ですか?」


「あぁ、メイヲール討伐に派遣した」


 間に合ってくれ、クライ!


 その願いが届いたのか、クライストから到着の報告が入る。


「ん? どうやら、ジーザスが到着したようだな」


 よし、いいぞ。

 さっさとメイヲールを封印しろ!


 だが、その願いも虚しく。


「ジーザス、暫く待て」


「よ、良いのですか?」


「何がだ?」


「そこには、成り損ないのアルベルトが……」


「だから、何だ?」


「いえ、以前、抹殺を止められましたので、親父様に何か考えが在るのかと……」


「あぁ、あれはもう良い。それにしても、この者たち、よく闘えているじゃないか」


 な、なんなんだ!

 訳が解らない!

 くっそー、アルベルトのみならず、カイルまで失うのか!


 だが、グレイスの予想を反して、勝利したのはカイルたちの方だった。

 グレイスが、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。 


「危険だ……」


 そう呟いて、クライストは城の門に立った。


「ジーザスが勝手を。親父様、よろしいのですか?」


「任せるとしよう」


 もう駄目だ……俺の楽しみが……。


読んでくださって、ありがとう。


次回「カーテンコール」

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