表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MoonLit  作者:
Once In A Blue Moon
62/105

第13話「進化の過程で」

読んでいただく方に、合う作品であることを祈りつつ。

 ――感じることが出来るのならば、何らかの物質が存在し、その計測も出来る筈。


 その考えから始まった研究は、早い段階で結果が現れ、更に計測を遮断する物質まで発見することが出来た。

 その計測された波形は、ヴァンパイア(Vampire)の妖気を計測することから、アルベルトはV波と名付けた。

 だがその過程の中で、アルベルトは新たな波形まで、発見してしまう。


「なんだこれは?」


 アルベルトは、その波形をX波と名付けた。

 その名は、後世に発見されるX線と同じ理由で、数学で用いられるところの"未知数"を表している。


「どうして、僕だけに……」


 余りにも微量なため、最初は何かの間違いなのかとも考えた。

 しかし、日が経つに連れ、計測器の範囲や精度も上がり、その数値が自分だけの物ではないと判明する。


「もう一人居る……」


 だが、その反応を示した者に問題があり、たった一人の家族である兄カイルにさえも、この波形について、打ち明けることが出来なかった。

 しかし、どうしても気になったアルベルトは、そのもう一人であるメイヲールに会う事を決意する。


「兄さん、メイヲールを一度、この眼で見てみたいんだけど……」


 "一度"とは、戦うつもりでは無いこと。

 "見てみたい"とは、敵と自分たちの差を知ること。

 カイルは、言葉の一つ一つを理解し、自分も同行することで、それを了承する。



 アルベルトがメイヲールに臆することなく堂々としている姿を見て、カイルは改めて自分の目に狂いはなかったと思った。

 さらには、メイヲールの怒りを買った際、自分は身構えたのに対しアルベルトは、


「楽しみは、後に残すんじゃなかったのか? 僕らは、まだ成長段階にある。待てば、もっと楽しめると思うよ」


 そう笑いながら言う姿に『やはり、アルベルトこそ、王に相応ふさわしい』と確信するのであった。

 だが、一方のアルベルトは、メイヲールとの戦闘よりも、腕時計型の計測器が指し示す数値を気にしていた。


 V値は、戦闘時でもないのに、兄さんの三倍強。

 それよりも、X値……僕の12倍か……。


 少し硬い表情を見せたアルベルトに、カイルが問い掛ける。


れそうか?」


「きっと奴は……二度も僕らを逃がした事を後悔するよ」


 強気な発言とは裏腹に、自分とメイヲールしか持たない波形が、何を表す物なのか悩んでいた。


 自分と兄のV値差から考えて、自分が兄を超えていない以上、X波が強さを示す値だと考え難い。また、知能指数でということになると、メイヲールが自分の上であるとは、とても思えない。


 他の何かの能力値ではないか、病原菌的な何かなのかと、色々な仮説を立て実験を繰り返してみたが、答えに近づくことさえ出来なかった。


 何の影響も無く、何の実害も無く、何の成果も得られないまま、この世に二つしかない稀有けうな波形として、記憶の片隅に残す程度となった。


 しかし、研究対象外となってから18年が過ぎた頃。

 再び、X波をもう一度研究対象にせざるを得ない事案が発生する。

 三人目のX波形者が現れたのだ。


 しかも、その大きさは機械の故障かと疑うほどで、アルベルトはおろか、メイヲールさえも、比べ物にならない数値を叩き出した。


 アルベルトは急いでローブを身にまとい、その数値の場所を目指した。

 欧州を横切り、中東まで南下して、ヨルダン川の西部へ。


「ん? コチラに来るのか?」


 父の命を受け、神の子を迎えに来ていたグレイスは、遠方からやって来る大きな妖気に気づいて神気ジンを消し、建物の影に身をひそめた。


 計測器を眺めながら、空から舞い降りたアルベルトは、その指し示す場所へと歩み寄り、その異常数値を出した者を見て驚愕する。


「こ、この赤ん坊が?」


 余りにも異常な大きさなため、計測器を見なくても、まるで妖気のように感じることが出来る。


 アルベルトは、赤子を前に悩んだ。


 調べる好奇心より、それが直感的に"危険な気"だと感じたからだ。

 研究対象として連れ去るか、それとも、赤子の内にほうむり去るか。

 アルベルトが、その決断を下そうとした、その瞬間。


 アルベルトの時間が止まる。


「危ない危ない、仕事を増やすなよ」


 凍ったアルベルトの頬を叩き、グレイスは考える。


 今なら、生まれたばかりの神の子を守る理由があるから、コイツを消せるんじゃないか?

 否々《いやいや》、親父に派遣されて来たんだ、親父が見てるに決まっている。

 全く……運の良い兄弟だな、お前らは!


親父様おやじさま、此処に成り損ないが居ります。如何いかが致しましょうか?」


 ――神に関する記憶を消した後、ヴァンパイアの領地まで運べ。


「生かして置くのですか? 親父様の子を手に掛けようと……」


 ――グレイス、二度言わせるのか?


「申し訳ありません、御意ぎょいのままに」


 解らん! どうして、生かす?

 生かしても、殺しても、何も無いだろ?

 このどうしようもないほどに低い神気ジンが、成長するとでもいうのか?

 それとも、俺が気付かない何かが、コイツに在るのか?


急に、話が飛んだように感じられると思います。

そのくらいグレイスが待ったという意味をこめて、前回のタイトルがインタールードなのです。

もしかしたら、いつかその間の話を作って、また話数ズラすかもしれませんけどねw


次回「封印」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ