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MoonLit  作者:
Once In A Blue Moon
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第12話「Interlude」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。

 ――どうしたグレイス、神気ジンを使ったようだが?


 やはり、気付かれたか。

 もし、グリンウェルがアルベルトを殺した後に、俺が神気を使ってたら……危ないところだった。


「記憶操作の実験で御座います、親父様」


 今日の日のために、何度も何度もグレイスは『実験をしました』という報告をしてきた。

 それは今回のように、どうしても自分が介入しなければならない状況におちいった場合を想定して、事前にヴァンパイアだけでなく、人間をも実験という名目で記憶を消したり、凍らせたり、さらには殺してみたりと、その上で父の反応を見てきた。


 仮に疑われ、調べられたとしても、嘘はついてない。

 しかも今回は、俺が殺してもいない。

 問題は、カイルやアルベルトが関わっている事について、どう判断されるかだ。


 グレイスが、ここまで恐れるのには理由が在った。

 それは、父に逆らって殺された神が、数え切れないほど居たからだ。


 或る者は、父に代わって、神に成ろうとした者。

 或る者は、禁止されていた子を作った者。

 或る者は、父の命令に従わなかった者。

 そして、殺された理由さえ解らない者まで居た。


 自分が、その間違いを犯さないように聞いておきたいところだが、それが出来ない。

 何故なら、それすらも罪になるかもしれないからだ。

 実際に「聞いてくる」と言って、帰ってこなかった者さえ居たのだ。


 ――そうか。


 たった10秒ほど待った返事ではあったが、グレイスにとっては『当分の間、ガキたちに関わらないでおこう』と考えてしまうほどに、恐ろしく長い10秒だった。


「今日のところは、ガキの泣きっ面が拝めただけで良しとするか」



 カイルは、愚かだった自分に激怒していた。

 エッカルトの胸を貫いた腕へ伝わる冷気が、青髪の男が現れた事を物語っていたからだ。


 『青い髪の男が現れたら逃げろ』と伝えてさえいれば……こんな結果は招かなかった!


「お前は操られていたんだな……それなのに、私はお前を信じてやれなかった。お前は約束通り、アルベルトを守ってくれたというのに……私のせいだ、済まないエッカルト……」


 カイル、怒りはな、力にも変えてくれるが、冷静な判断を失わせ、敗北へと導く要因に成る。


 祖父の教えが脳裏を掠め、血が滲むほど歯を喰いしばりながらも、カイルは冷静に相手の分析を始めた。


 アルベルトは殺されても、凍らされてもいない。

 窓ガラスの破片が内側ということは、割って侵入したんだな。

 足跡が……無い?

 足跡が付かないようにしたということは、エッカルトが窓を割って、外部の犯行を装う線が消える。

 逆に、エッカルトに罪を着せたいのなら、堂々と部屋に入れば良い、執事を外部から侵入させるのは、不自然極まりない。

 つまり、最初は、エッカルトにさせるつもりでは無かったということだ。

 以前のように、奴が自分で入って来たのか?

 否、違うな……だとしたら、アルベルトが無事な訳がないし、エッカルトも奴の手で葬られた筈だ。


 理由は解らんが、奴には自分で手を下せない訳がある。


 カイルは、頭の中を整理して、自分なりの答えを導き出す。


 他の誰かを使ってアルベルトを襲わせたが、そこへエッカルトが駆けつけた。

 そいつは、エッカルトよりも弱かったため、奴が介入しなければならなくなった。

 しかし、自分では手が下せないため、エッカルトを凍らせた後に、操った。

 と、言うところか。


 操られたか、自ら志願したか、それとも奴の同族かは判らんが、もう一人居ることは間違いない。

 否、二人だけと考えない方が良いな。


「仕方ない、事情を説明して、バルバドを頼ってみるか」


 カイルは、アルベルトを抱え、その日の内に、バルバドの城へと向かった。


「摂政閣下に、お願いが御座います」


 先日との態度の差に、バルバドは笑う。


「敬語は止めろ、気味が悪い。以前と同じで構わん」


「では、遠慮なく……」


 カイルは、全てをバルバドに報告した。


「正直信じられん話だが、それよりも、お前が嘘をつくとは考えられん。で、その青い髪の男は、お前の見立てで、どの程度の強さなんだ」


「恐らく、メイヲールよりも遥かに……」


 バルバドは、その名に思わず玉座から立ち上がった。


「メ、メイヲールだと! お前、幾らなんでもそれは……」


 だが、カイルの真剣な眼差しに、それが正しい見立てであると思うほかなかった。


「なるほどな、お前が即位しないで訓練ばかりする訳だ。だがな、カイル。そうなれば、それはお前だけの問題ではない。これは、ヴァンパイア全体の問題だ。しかし、自分で何とかしようとする、そんな所だけは、まだ子供だな。ちょっと安心したよ」


 そう言ってバルバドは笑い、カイルは照れくさそうに頭を掻いた。


読んでくださって、ありがとう。


Interludeの意味は『幕間』で、舞台と舞台の間の休憩という意味です。


感じることが出来るのならば、何らかの物質が存在し、その計測も出来る筈。

次回「進化の過程で」

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