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MoonLit  作者:
Lunar Eclipse
43/105

第25話「解かれた封印」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。


2018/03/30 加筆修正。

「兄さんは、どうして判ったの?」


 動体視力の良い自分でさえ、追うのがやっとだったエクリプスの本体をどうして兄のガーランドが、とらえる事が出来たのか、不思議でならなかった。


「エクリプスの分身は、フェイントや分裂するタイミングは違っても、動くルートが同じなんだ。仮に、エクリプスの動きを数字の8の字だったとすると、交わる点で分身を残しているんだ。幾ら動き回っても、所詮しょせんは、8の字のレールの上という訳だ。まぁ、それもこれも、エクリプスの行き先を伝えてくれたレイリア、お前のお陰だ」


 エクリプスに伝えなければ、グリンウェルのルートを。


 レイリアにとって、エクリプス(鷹也)も、次兄オズワルドの仇である。しかし、それよりも、グリンウェルへの恨みの方が勝っていた。


 鷹也とグリンウェルの激しい戦いの最中さなか、ただ一人、冷静に状況を判断する者が居た。


「申し訳ないが、ワシではアンタをかつぐことは出来ない」


 すでにクレアは、シューレットによって薬で眠らされ、肩にかつがれていた。


「こんな時代で、その歳まで生き延びてきたのは伊達じゃないな。俺に構うなシューレット、クレアと共にこの城を出ろ。出来ればレイリアを連れて行ってやってくれないか?」


 だが、レイリアは、その申し出を断った。


「アタシはいい、さっきも言ったが兄の仇を討ちたい。もし、足手まといになるようなら、その時は……ウォレフ、アンタの手でアタシを殺してくれ」


 シューレットは、鷹也に声を掛けることなく、静かに城をあとにした。 


 再び、生きて逢おう、鷹也!


 グリンウェルの手に妖気を集中させた防御も、自分より妖気の高い物に、効果は期待できない。

 更には、攻撃できたとしても、剣で受けられたら、傷つくのは自分なのである。

 受け止める防御から、攻撃を流したり、かわす防御に変え、反撃するタイミングをうかがっていた。


 この妖気の大きさ、間違いなくメイヲールの角を加工した物だ。

 何故、切り離された物が、妖気を保っていられる!

 いや、今は考えている暇など無い!

 アルベルトめ、余計な物を!


 グリンウェルは、精神的優位性を保つため、真実を語り始めた。


「君の母、そして、父であるアルベルトを死へ導いたのは私だ。君の伯父、カイルは面白いように踊ってくれたよ」


 それを聞いてもなお、まだ動くことのできないウォレフは、自分への不甲斐なさに、その怒りの矛先を地面へ撃ちつけた。


「今更、そんな話をして何になる!」


 鷹也は、冷静にグリンウェルの話に巻き込まれないように、攻撃を続ける。


「君は……カイルが、人間にミサイルのボタンを押させたと思っているのか?」


 その言葉で、鷹也の攻撃が止まる。


「どういう意味だ」


「私が、汚れ役を買って出たのだよ。まぁ、君にしてみれば、了承したカイルも同罪だろうがな」


「言いたいことは、それだけか?」


 そう言って、剣を構えたが、グリンウェルは話を続ける。


「君は、知ってるか? 君の父親を殺すのに、核が何発撃たれたかを?」


 グリンウェルは、一定の間合いを保ちながら、ゆっくり歩き話を続け、鷹也は黙ってその答えを待った。


「歴史上では、1発ということになっているが、あれは保身のために人間がついた嘘だよ。だが、私はそれを利用させてもらった。なんせ、最初の1発は……私が押したのだからな」


「なに?」


「私は心配性でね、脅したところで、撃たないかもしれないだろ?態々《わざわざ》、夜に出向いて基地内の人間を全て殺し、協定が結ばれる昼まで待ったんだ。だが、1発命中すると、人間は怯え、次々とボタンは押されていったんだよ」


 話が終わると同時に、グリンウェルが仕掛ける。

 次々に、グリンウェルは分裂し、鷹也の四方を囲む。


 ルートは、さっきと同じだ。

 だが、私には最後の分岐ルート(頭上)がある。

 見えているだけが、全てではないのだよ!

 終わりだ! 死ね!


 グリンウェルの渾身こんしんの拳が、鷹也の頭を捕らえようとしたその時、


「エクリプス! 上!」

 

 その叫び声だけに反応して、鷹也は頭上に居るであろうグリンウェルへ、鋭く剣を振った。

 振られた剣は、グリンウェル、そして、それを掴んでいたレイリアを真っ二つにした。 


 レイリアは、もぎ取られた羽根を戻すことだけに集中していた。

 飛べはしたものの、その速さに耐えられず、羽根は途中で剥がれ落ちたが、グリンウェルを掴むことは出来た。


「女に助けられるとはな!」


 そう言って、グリンウェルは血を吐き、鷹也をにらんだ。


「女を人質にした、アンタが言える立場か!」


 皮肉を籠め、グリンウェルをののしった。


「レイリア!」


「気にするな、ガーランド兄さんの仇は討てたんだ。アンタを殺せないのが口惜しいが、それはあの世でオズ兄さんに謝るよ」


 そう言って、レイリアは永遠に瞼を閉じた。


 鷹也は、胴が切断されたグリンウェルへと近づき、剣を構える。


「最後に言いたいことはあるか?」


「鷹也! グリンに時間を与えるな!」


「ウォレフ……もう遅い、もう遅いんだよ」


「世界を滅ぼしてどうする!」


 理解ができない鷹也は、答えを求めた。


「何を言ってるんだ?」


「君は私に勝てたが、この勝負……引き分けということだ。私の居ない世界が、どうなろうが知ったことじゃない」


「やめろーーーっ!」


「さぁ、地獄の幕開けだ」


第26話「LunarEclipse 前篇」へ つづく

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