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MoonLit  作者:
Lunar Eclipse
26/105

第8話「回想」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。


2018/03/27 加筆修正。

 グリンウェルが遠くに離れたのを確認すると、ウォレフは正門へゆっくり歩み寄り、開門の雄叫びをあげる。

 開かれた門の向こう側には、鷹也が大人しく待っていた。


「何故、俺の名を知っている?」


「説明してやるから、付いて来い」


 国の中央に建つ城は、他の国を治めるヴァンパイアに比べると遥かに小さく、城と言うよりは、大きな屋敷と言った感じだった。

 王の間に入った所で、再び、鷹也が切り出す。


「何故、俺の名を知っている?」


「お前に、会ったことがあるからだ」


 記憶に無い答えに、鷹也は首を傾げた。


「覚えが無くて当然だ。お前は未だ、小さな赤子だったんだからな。俺とアルベルトは、親友だったんだよ」


 ウォレフは、思い出を辿るように話を続けた。


  ・

  ・

  ・


「ほぉ~、これがお前の子かぁ~」


「どうだ? 僕に似てるだろ?」


 ウォレフは、友の親馬鹿っぷりに高笑いした。


「笑う事ないだろ」


「こんな赤子で、似てるも何も判るかよ」


  ・

  ・

  ・


「イマジニア?」


「あぁ、平和な世界を想像すれば、それが叶えられると信じた、人間の歌から取ったんだ」


「良い名だな。お前が王なら、イマジニアだけでなく、共存できる平和な世界が築けそうだな」


「ありがとう」


 イマジニアは、アルベルトが王として治め、ウォレフは防衛長官を勤める筈の国だった。


  ・

  ・

  ・


「俺も行く! 二人でならカイルに!」


「駄目だ! 二人掛かりでも無駄なのは、お前もよく知ってるだろ?」


「だったら、尚更なおさら!」


「お前には、例え此の国だけでも、鷹也に安心して住める世界を作って欲しいんだ。此の国とお前が居れば、カイルでもそう簡単には、入れない筈だ!」


「アルベルト!」


「あとは、頼む!」


  ・

  ・

  ・


「何故だ?」


「此の子がイマジニアに居れば、アルの子だと判るわ」


「鷹也も香織も、俺が必ず守ってみせる!」


「ありがとう、ウォレフ。だけど……此の子には、人として生きて欲しいのよ」


 鷹也の伯母香織(かおり)は、人として生きる道を鷹也に歩ませたかった。

 イマジニアに居れば、王として期待されるかも知れないし、鷹也が父や母を殺した人を恨むようになるのではないかとも考えた。

 そして、一番恐れたのは、カイルの耳に入る事だった。

 香織は、アルベルトとの約束を果たす為に、敢えてイマジニアに住まない道を選んだのだった。


  ・

  ・

  ・


 ウォレフは、全てを話した。

 鷹也と闘ったのも、力量を知る為だけだったと言う。


「その割には、死ぬかと思ったんだが……」


「ドラキュラには再生能力が有るからな、お前は殺すつもりで闘ってるんだ。手を抜けば、俺が殺されている」


「もし、俺の力が上だったら……とは思わなかったのか?」


「ラズウェルドの時で、大体は解ってたからな。それに別の手も考えてあった」


「別の手?」


「鷹也、限界まで妖気を上げて見せてくれないか?」


 鷹也は大きく深呼吸した後、一気に解放した。

 その妖気は余りにも大きく、王の間を警護する憲兵達が、次々と部屋へ入って来る程の物だった。


「大丈夫だ、下がれ!」


 ウォレフは憲兵達を制し、部屋から出るように指示した。


「これで、一杯だ」


「やはりな、アルベルトに届かないくらいか……」


「え?」


 カイルとの戦いから2年、修行に励み、多くのヴァンパイアを狩り続け、カイルに勝てるとまで自負していた鷹也は驚いた。

 それは、自分の妖気が父に届いていない事よりも、父の強さにだった。


「そうか、勘違いしているようだな。アルベルトは確かに賢王としてのイメージが強いが、強さはカイルに次いで二番目だったんだ。強くない者が、ヴァンパイアの王には成れんよ。ただ、カイルが異常だったに過ぎない。アルベルトの頭脳も、異常だったがな。しかし、よく勝てたなカイルに」


「運が良かっただけだ……」 


  ・

  ・

  ・


「ん!? 貴様、何を入れた!」


「油断したなカイル。そいつを飲めば、陽光を浴びれるぜ! ただし、人としてな!」


 翼をなくしたカイルは、薬による変化の苦痛を浴びながら落下していった。

 鷹也の全身は、見る見る炎に包まれ、その身を焦がす相手(太陽)を眺めた。


「こんなにも……暑かったのか……」


 死が訪れるのを覚悟した、その時。


 鷹也ー!


 微かにだが、遠くで自分を呼ぶ声がした。

 炎が揺れる視界の向こうに、カイルが着ていた筈のローブが浮かんでいるのが見えた。


  ・

  ・

  ・


「俺は、助けられたのかも知れない」


第9話「食事をはじめよう」へ つづく

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