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MoonLit  作者:
Lunar Eclipse
23/105

第5話「亡霊」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。


2018/03/26 加筆修正。

 ラズウェルドは、肩で息をする程に消耗していた。


「ハァハァ……ドラキュラをめるなよ!」


 再生能力のあるドラキュラに、多少の痛みを覚悟するような割り切った闘い方をされれば、如何なドラキュラハンターのエクリプスとて、苦戦はまぬかれない。

 本来、ドラキュラと言う種族は、特にプライドが高く、闘いにおいても美しさを求めている。

 捨て身などの行為は、ドラキュラにとって、最も恥ずべき行為であった。

 しかし、エクリプスは、ラズウェルドをそこまで追い込んでいたのである。


 銀製の刃物で斬られた場合、ヴァンパイアはその傷口に火傷を負い、さらに再生速度が通常よりも遅れる。

 如何に再生能力があるとは言え、痛みを伴わない訳ではないのだが、多くの傷口を抱えるも、闘いに集中していたラズウェルドは、それを感じてはいなかった。

 

「確かに貴様は、人としての限界は越えている。狩られるドラキュラが居ても頷けるほどにな。だがな、その程度では殺せぬヴァンパイアが、俺を入れて7人居る!」


 所詮は人の体力だ、無尽蔵な訳ではあるまい!

 消耗戦に持ち込めば、アンデットに負けはない!

 ヤツは、いずれ疲れ果てる!

 動きが落ちた時、その血、一滴残らず飲み干してやる!


「人のままでは、勝てんか……」


 そう言うと、エクリプスは半身はんみに構え、一気に力を解放する。


「な、なんだと! ば、馬鹿な……」


 その妖気は、地球上の何処に居ても、まるで間近でサイレンを鳴らされたような巨大なものだった。

 突然現れた自分を凌ぐ妖気に、驚いたレイリアは、兄のガーランドを呼ぶ。


「兄さん!」


 ガーランドは、解っているとばかりに、無言で手を上げると、瞳を閉じてその妖気を探る。


 何だ、この妖気は!

 この方向……ラズウェルドか?

 いや、違うな……

 ラズウェルドの気は感じる……


「チッ、カイルか!」


 遠方の巨大な妖気に、ガーランドは嫌悪を感じていた。


 以前より、増してやがる!


 この異常事態は、ヴァンパイアだけでなく、人間界にも影響を与えた。


「ポイント、X2387・Y4928の地点で、大きな生体反応を確認! この大きさからすると……カ、カイルではないかと思われます!」


 その名に、上官は驚きを隠せないでいた。


「カイルは、何者かに暗殺された筈ではなかったのか?」


「確かに2年前、カイルの生体反応は消えましたが、この大きさからするとカイル以外考え……いや、まだ上昇しています!」


「か、カイル以上のヴァンパイアだというのか!」


「はい。今、妖気の上昇停止しました。最大V値は18740、カイルより2割増し程の大きさです」


「例えカイルでなくとも、人間の脅威きょういになる事は、間違い無いようだな……」


 すると、生体レーダーを眺めていたオペレーターが違和を感じて不思議そうに首を傾げる。


「どうした?」


「ら、ラズウェルドと……闘っているものと見られます」


「何? どういうことだ! 一体、何が居るんだ、此処に……」



 ラズウェルドは、生まれて初めて、死の恐怖を味わっていた。


「なんなんだ、貴様は!」


 その妖気におびえ、無我夢中むがむちゅうで拳を振り回し、疲れがピークに達した時、ある事に気が付いた。


「ま、まさか! そ、そのローブ……き、貴様が、カイルを?」


「気付くのが、少し遅かったな」


 エクリプスが間合いを詰めても、ラズウェルドは動く事が出来なくなる程に戦意を喪失していた。

 余りの恐怖で、瞬きさえ許されなかった視線の先に、ラズウェルドは我が目を疑う。

 フードから覗いた、エクリプスの顔は――。


「ア、アルベ……ルト……」


 それが、ラズウェルドの最期の言葉だった。


第6話「狼と鷹」へ つづく


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