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MoonLit  作者:
Lunar Eclipse
22/105

第4話「共存」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。


2018/03/26 加筆修正。

 共存の国、イマジニア。

 人口は、凡そ100万人ほどで、おもに人間とヴァンパイアの夫婦やハーフ、他にも学者や医者などが多く住んでいる。


 一つの島から成るこの国は、島の九割を300mほどの高い壁で360度に覆われており、その壁面には5m毎にレーザー砲が配備されている。

 その姿は、国と言うよりも、難攻不落なんこうふらくの巨大要塞と評されるほどであった。

 残り一割は、空港と海港になっており、その傍らには街ほど大きさの入国審査エリアがある。

 入国するには、海路と空路の二択しかなく、特に空路の場合、例え、国内機であったとしても、警告の後に返事が無ければ、即座にとされる。


此処ここイマジニアは、人とヴァンパイアが共存する国である。よって、我が国内での争いを一切禁ずる。もし、我が国で殺害を行った場合においては、例外なく極刑きょっけいをもって対処する。また、入国するに当たって、凡そ2日間入国審査をさせて頂く。それは、武器や犯罪や病気などを持ち込ませない為だ。また、入国の際、許可証を兼ね、行方不明や犯罪防止のために、センサー付きリングをしてもらう。以上だ、何か質問は?」


 面倒な手続きではあるが、国民であろうと一旦国外に出れば、例外無く、この審査を受けなければならない。

 全ての荷物が検査され、身体検査も受ける。

 入国者に拒否権は無く、拒否の場合は、ただ入国できないだけである。


 身体検査の際、時折、知らずに重い病気を見つけてしまうことも多く、希望すれば、入国審査エリア内の病院に入院することもできる。

 医療技術が最新のため、入国する気はないが、人間ドックの代わりに現れる者も多い。

 医療進歩やビジネス、つまりは国益の為に、全て受けるようにしている。

 その為、入国審査エリアは巨大施設と言うよりも、一つの街のように成っているのである。

 しかし、そんな巨大エリアにも関わらず、セキュリティは万全で、あらゆる所に様々なセンサーや監視カメラが設置されているのである。


「武器を所持しては、イケナイのですか?」


「不安かもしれんが、安全は憲兵が守る。したがって憲兵以外は、武器の所持を認めていない。それが嫌ならば、入国を拒否するが?」


「解りました」


 平和を維持するために、国の至る所に憲兵がおり、犯罪を未然に防いでいる。

 些細ささいなイザコザでさえも、憲兵が介入するのだ。

 だがその際は、喧嘩けんか両成敗りょうせいばいとして、憲兵の介入料が双方に発生するので、少々のことで揉める事は無かった。

 そのため、年間の犯罪件数は、100を満たない。

 極めて少ないものの、この国でさえ争い事が無い訳ではなかった。

 法を犯した場合の対処は厳しく、特に外部の者は極刑か永久入国禁止の2つしかない。


「出国する際、もう一度この出入国手続き所に来れば、武器は返還する」


 鷹也が安心して住める場所は、この国しかない。


 そう考えたていた二人は、検査を受ける前に、鷹也を捜す手配をした。

 この国のシステムなら、自分達で捜すよりも、答えが早く出ると思ったからである。

 王でなくても、住人として暮らして居るかも知れないと期待しつつ、写真を憲兵に預けた。


 一人の憲兵が城の階段を駆け上がり、王の間へと近づいた。


「陛下! 人捜しをする旅人が入国したのですが……」


「慌てるな、ゆっくり話せ」


 憲兵は、深呼吸して息を整え、改めて報告する。


「捜している人間が、どうも、アルベルト様ではないかと……」


「何? アルベルト?」


「写真がコチラに……」


 王は微笑みながら、


「確かに似ているな。審査の後に、その旅人を此処へ連れて参れ」


「ハッ!」


 兵は深々とお辞儀をした後、上って来たばかりの階段を駆け下りた。



 二日後。

 審査を終えたシューレットとクレアは憲兵の案内で、核シェルターのような重たい扉を5つも通って、イマジニアに入国した。


 入国してすぐ、クレアは驚いた。

 ヴァンパイアの共存よりも、この国は全てが壁で囲われているの筈なのに、空には太陽や雲があったからだ。

 しかし、目の前のヴァンパイア達は、その太陽に怯えることなく、普通に生活が出来ている。


「初めての者は皆驚く。あの太陽は、ただの映像だ。しかし、明るさもだが、暖かさも感じさせてくれる。夜には、月になるぞ」


 案内役の憲兵が自慢げに、そう語った。


「それでは、王の下に参ろうか?」


 入国審査が終わってすぐに、王に謁見するとは夢にも思わなかった二人は、期待を胸に王の間の扉を開いた。


「私が此の国の王、ウォレフだ」


 ウォレフと名乗った王は、狼のヴァンパイアだった。

 王は、鷹也では無かった。


「私はシューレット、これは孫のクレアに御座います」


「捜しているのは……鷹也か?」


 まさか、王の口から"鷹也"の名が出るとは思わなかった二人は、呆気あっけに取られたが…それ以上に希望が涌いてきた。


「こちらに、こちらに住んでいるのですか?」


 クレアは、たまらず口に出した。

 ウォレフは、ゆっくり首を横に振った後、


いや、住んではいない……が、会ったことはある」


第5話「亡霊」へ つづく


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