表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MoonLit  作者:
Lunar Eclipse
21/105

第3話「流浪」

読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。


2018/02/05 修正しました。

 二年と言う歳月は、守られているだけの可憐な少女を強い女性へ変えるには充分だった。

 いや、この人とヴァンパイアが混在する世界で旅するには、強く成らざるを得なかったのだろう。

 まして、どちらの側に居るかさえ判らない者を探すには――。


 鷹也がソルティドッグ(市民兵)に所属していたことを思い出したシューレット達は、その唯一の手掛かりを便りに鷹也の実家へと赴いたが、既に戦場の跡で復興作業により主不在の為、取り壊された後だった。


「この人を探してるんだけど、知ってる?」


「あぁ、知ってるとも! こりゃぁ、ヴァンパイアの王だ! でも、二十五年くらい前だっかたなー? 亡くなっちまったよ。生きてりゃ、この世界も平和だったろうに……」


「また、アルベルトかぁ………」


 鷹也をアルベルトと呼ぶ人は多かった。

 歴史書に写るその王は、確かに瓜二つで、間違えるのも無理はなかった。

 わらをもすがる思いで、もしや記憶をなくしたアルベルトが鷹也ではないのか?と思ったクレア達は、アルベルトの妻である実家を捜し当てたものの、その家族もアルベルトが5つの都市を破壊したことにより、迫害され名を変え各地を点々とした後、この世を去っていた。

 だが、未婚の姉に鷹也と言う名の子供が居たことまでが判明し、アルベルトは鷹也と言う線は消えたものの、それを最後に鷹也への道が再び閉ざされたのだった。


何処どこに居るの?」


 クレアは、写真の中にある愛しき者へ声を掛けたが、返ってくるのは変わらぬ笑顔だけだった。


 そして今は、ヴァンパイアの統治でありながら、人と共存している国が在ると知ったクレア達は、鷹也がそこに居るのではないかと考え、その地へと向かうのだった。



 山中の奥深くに、その城はあった。

 人との交わりを嫌うその城の主は、好物である筈の人血ですら、火を通す程の人間嫌いで、目に入る範囲に人間を近付けさせることはなかった。


「ん? 人間の匂いがする……何をしておるんじゃ」


 出来の悪い部下にイライラを募らせていた。一向に止まない不快な匂いに我慢出来なくなった主は、執事を呼び敷地内に迷い込んだ人間を排除するよう促した。

 数分後、執事は異様な形相で帰ってきた。


「た、大変でございます!」


「何事じゃ」


「エ、エクリプスだと思われます!」


「何!?」


「我々が足止めする間に、閣下は……」


 主は執事の言葉に激怒し、その続きを言わせなかった。


「人間如きに、このバルバドに下がれと?」


「閣下のお怒りは、御もっともでございますが…」


「黙れ!」


 しかし、執事の言葉は既に遅く、次の言葉を発することは無かった。

 主の怒号どごうに耐えるのがやっとで、エクリプスの気配に気づかなかったのである。

 うめくことさえ許されず、執事の首は、主まで続く赤い絨毯じゅうたんの上に転がった。


「後は、貴様だけだ」


「人間風情が!」


 怒りと憎しみが込められた眼差しも臆せず、黒衣の男は、長剣を真一文字に抜きながら、こう言い放つ。


「我が名はエクリプス。月は満ちた……あとは欠け逝くのみ!」


読んでくれて、ありがとう。


次回「共存」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ