プロローグ
さて、2章の開始です。
読んでくださる方に、合う作品であることを祈りつつ。
2018/02/04 修正しました。
2035年、カイルと言う名の王を失ったヴァンパイアは、その残された玉座を巡って争いが起こり、人との争いも絶えないまま、その数と領土を減らし続けた。
このまま絶滅の道を辿るかと思われた。
――2年後。
町長は、一人の男を待っていた。
その男は、ドラキュラをも狩ると言う傭兵で、名をエクリプスと言った。
軍に頼むことも出来たのだが、軍のやり方は乱暴で、町そのものを破壊しかねない。また、数人の人質も取られていた。
その中には、自分の娘も居る。
報酬が高くついても、エクリプスに頼む必要があった。
この時代の報酬は、全て銀で取引されており、加工すれば武器にもなる事もあって、大変貴重とされていた。
「アンタが、エクリプスさんか?」
黒衣の男は声を出さず、ゆっくりと頷いた。
町長の目には、お世辞にも屈強と呼ぶには程遠く、噂に名高い傭兵には見えなかった。
「本当にドラキュラを狩れるのかね?」
「報酬は、終わってからで構わない」
そう言うと男は、準備や休憩さえもすることなく、ドラキュラの住む館へと向かった。
エクリプスにとって屋敷に張り巡らされたセキュリティは無きに等しく、ものの数分で、ドラキュラの眠る棺桶に近づいた。
棺桶の蓋が開き、屋敷の主が顔を出した。
「ここまで入れる人間が居ようとはな……しかし、昼間だったら勝てるとでも思ったか人間?」
会話に興味のないエクリプスは腰にある長剣を抜き、人とは思えぬスピードで一気に間合いを詰めた。
城の主は、何の抵抗も出来ないまま、首を刎ねられ、不死の肉体は銀製の長剣が再生を許さなかったものの、死までの猶予を与えていた。
城の主は、目前の男が記憶の中にあることに気づく。
「馬鹿な……貴様……死んだ筈では!」
「人違いだ」
読んでくれて、ありがとう。
次回「蝕と呼ばれた男」




