プロローグ
一応、残酷な描写ありのタグつけましたが、通常の冒険活劇にある程度だと思います。
かなり昔に書いた作品を修正しての投稿です。
2000年頃に作った話です。
そんな古臭い作品ですが、読んでくださった方に合えば幸いです。
2018/01/21 修正しました。
「お前は……」
病院のベットで横たわる女性は、生きているのか、死んでいるのかさえも判らないほどに息は細く、透明かと思うほど、肌も髪も白く染まっていた。
「笑えないジョークだよ……母さん、最期の言葉ってもんは『ありがとう』とか『愛してるわ』だろ?」
母は、冗談を言う人では無かった。
それを解ってはいても、とても信じることが出来なかった。
――今日までは。
大きな爆音と共に、巨大なビルが崩れ落ちる。
「何を考えてるんだ奴らは! 犠牲(ゾンビ化)になってない市民も居るんだぞ!」
若い兵士が、目の前に居ない相手へ声を荒げるのを見て、少し年上のチームメンバーが慣れた感じで、それに答える。
「どうせ、万民を助ける為の、貴い犠牲なんだろう? グズグズしてたら、俺達もその中に数えられちまう、急ぐぞ!」
そう言って、走り出したその時、若い兵士が道に倒れる子供を見つける。
「待て! 子供が!」
まだ微かに呼吸をしていた子供を抱いて、二人の兵士は、再び戦場を駆け抜けた。
「ソルティドッグからマティーニへ。R423から脱出する。そちら方面の爆撃は、中止してくれ!」
戦況モニタをまるでつまらないテレビでも観るかのように眺めていた上官に、部下が答えの解っている質問をした。
「犬が鳴いています。逃げるから、爆撃は中止してくれぇ~だそうですよ。どうします? 隊長?」
「犬なら犬らしく、敵を見つけたら吠えりゃぁいいんだ! 余計なことしてるから、逃げ遅れる。番犬にならない犬は、必要無い! 構わん続けろ!」
その軽くあしらわれた右手によって、まるで雨のようなミサイルと、雷のような爆音は、30分に渡って続いた。
「このエリアの生体反応は、無くなりました。清掃完了です」
そして、数時間後。
街は、物言わぬ亡骸が幾つも転がり、まるでそれを隠すかのように、土煙が舞っていた。
そんな中、一人の兵士が、腕の中で息をしない子供を見て呟く。
「な、なぜ……お、俺だけが……生きている……そ、そうか……」
――お前は、ヴァンパイアの子。
「笑えないジョークだよ、母さん……」
そのまま、深い眠りへと誘なわれた。
読んでくださって、ありがとう。
次回「帰れる場所」




