六十億年の身体病
歯を歯をもって砕き
鼓動を鼓動をもって打ち
臓器を臓器をもって消化し
よろめく身体を
ふらつく身体を
心で受け止め
そうしたおれには姿はない
呼吸もない
遠くの少女の
眼帯の奥の眼球だけが
芯を持っている
輝いた笑顔は首を吊って
情けないんだヨ
音楽はここにはなく
躁 鬱
躁 鬱
躁 鬱
仮面 髪留め
性衝動の落下 案山子の制服
飴玉を舐める舌だけが
現実に生きている
口の穴から軍隊がやってきて
手や足や指や爪や
首から下や
腰から下や
狂ったアニメのように
青龍刀で切った動脈のように
溢れ出てくる
ハァ 嘘
ハァ 嘘
ハァ 嘘
どこから見られているのか
子宮の中 熊のぬいぐるみ
がらくたの少女のワギナ
目 眼 目 眼
眼 目 眼 目
名前は体を持たない
身体を持たない者に侵略される
どこまでも伸びる
髪のヶ 髪のヶ
もうすっかり疲れてしまったヨ
重症だ
重症であるようだ
緊張ばかり
痙攣ばかり
足が四本 腕が六本
頭が三つ 脳がない
畸形だ
畸形だ
電動ノコギリで切ってしまえ
林檎を食って林檎の頭
少女が破壊
東京タワーには勝てない
空を見上げて押し潰される
美しい性交
空腹を満たすだけ
あなたのひとつの命は
身体という病気をもつ