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百奇夜行で鬼天烈な。  作者: 留龍隆
粛生の理編
30/38

三十題目 「なにが幸いかわかんないヨ」とサワハは宣う

いよいよ三十題目。フィナーレへ向けて加速


 周囲がどよめく。そういえば話してなかったっけ、と司は頭を掻いた。


「生きていたんですか?」

「んにゃ、死んでた。あの時ガードレールから崖下に落ちて、歪みを通り抜けて村に辿り着いたところで死んで、幽霊になってたみたい。この前ちょっとしゃべった限りじゃそんな感じ」

「よくしゃべれますね、あんな人と」

「もう死んじゃってるわけだし、死んでもまだこの世にいるってことは、やり残したことがあるんだろうし。話聞くくらいならいいかなと思って」

「んで、どんな風に聞いたんだ」

「あー……なんか繋がり方がこわいから、話すの躊躇しちゃうんだけどさ。冬の事件、覚えてるよね? っていうか関わってないのはこっちなんだけど」

「げ、まさかあれも、あの人関わるするノ事件だたの」

「うん。あのサークル、加良部たちが立ち上げた奴だったんだって。でも組織を形作った洗脳の方式っていうのは、その立ち上げメンバーの一人、慈雨に所属してる男が組み立てたやつで、その後は抜けてサークルには関わってなかったらしい。そいつがよく口にしてた言葉が、さっきの教義だったとか」

「……世間は狭いね」


 まったくだ、と司はうなずいたが、それともこんな風に繋がってきたことすら、七無が関係しているのではないだろうか。うすら寒くなったので口にはしなかったが、司はそんなことを考えてしまった。考え込んだ様子の踊場を前にして、そのまま言葉を続ける。


「で、まあその時は繋がってくるなんて思ってなかったわけで、要するに詳しくは聞いてないんだよね……ただ、自分を認識してくれる相手はあの村にしかいないわけだから、もうしばらくは滞在するって言ってた。だから歪みを通れば、また会えるかもしれない。小野が歪みの向こうで会った、平坂とかいう人も、歪みはすべてあの村に続くって言ってたらしいし」

「……そうかい。では、行動の指針は定まってきたね。僕と廉太郎とサワハくんは、当初の予定通り慈雨の勧誘がなかったかを訊いて回る。そして司くんと小野くんは歪みを回り、行けそうなら村へ行って、慈雨の情報について加良部から聞きだしてくれ。進展がなくとも、お互い二時間ごとに定期連絡はしよう」


 では解散、と仕切り終え、みなスペースから出るとそれぞれの場所へ戻っていく。踊場は少し疲れたのか壁にもたれかかっていたが、司がまだ残って見ていると気付くとすぐに身を起こし、首の後ろをもんだ。


「朝食を食べてくる。また後ほど会おう」

「あの、踊場さん」

「なんだい?」

「あんまり無理、しすぎないようにね。会長だって、馬鹿じゃないんだからそう危険なことはしてないって」

「……そうであってくれると、ありがたいのだけどね」


 力なく笑って、階段を降りていく。自分も朝食を食べておこうと、後ろをついていった。


        #


 歪みがある可能性として出されたのは市街地の外れで、途中まで同道した踊場たちとは団地の辺りで別れた。市街地といっても、国道沿いだけが栄えているという典型的な田舎で、外れとの境目はかなりはっきりしていた。次第に少なくなる民家の隙間を縫うように歩き、司たちは地図と首っ引きで進んだ。


「朝ご飯、ちょっと腹にもたれてるな」

「けっきょく皆さん、一緒に牛丼を食べましたからね」


 近くにあったチェーンの牛丼屋に入った踊場を追って司が入り、廉太郎、サワハ、小野という順番で全員がカウンターに並んだ。奇妙な連帯に苦笑いしながらも、悪い気は、しなかった。


「食べたぶんは、しっかりと動きましょう」

「だね」


 紺色のジャケットの長そでを振りつつ、小野は気合いを入れて構えた。スカイブルーのギンガムチェックワンピースの裾が歩くたびに揺れて、色合いのおかげで涼しげだった。


「会長が無事だとよいのですが」

「大丈夫だよきっと。それに踊場さんにも言ったけど、こっちも無理はしないようにしないと」

「無茶な連中を相手にしようとしているんです。多少の無理を通すくらいでないといけないように思いますけど」

「できることの、加減を見極めてかかるのが大事、ってことだよ。小野も、無理しないで」

「と申しますと」

「淨眼、開いたばっかりだからさ」


 ああ、といって小野は自分の目に細い指先をあてがった。黒く、冷めた光を収めた瞳は、今や司と同じ能力を秘めてしまっている。このことを言及されていると気付き、小野はこくりと首をかたむけ、指先を払った。


「ええ。そうですね。正直、みえる景色が少しちがうことに、戸惑いましたし」

「だろうな。他の人にみえないものがみえるっていうのは、なんか自分だけちがう場所に属しちゃったような感じがする」


 生きてる人間と幽霊とのちがいは、見た目としてはわからない。ただ、他の人が視えているのかいないのか、その人物がどのような立ち居振る舞いをしているか、といった情報から、割り出していくしかないのだ。

 長く、生まれた時から彼らの存在を知覚してきた司は、経験からすぐに察することができるものだが。霊視能力を得たばかりの人間にとっては、現世と乖離してしまったような、地に足着かない感覚に陥ることも多々あるという。その点で小野は元から異能の存在という他者に知覚できないものを捉える能力があったためか、今のところ精神に不都合や不具合が生じている様子はない。

 ――いや、むしろ淨眼が元からの能力であり、なんらかの形でそれが捻じれ変質したものが、異能察知という能力だったのかもしれない、と司は推測していた。そこで歪みがあると判じられる一帯、湿地の近くにある雑木林に着いたので、ここからは小野の感覚に任せて探す。


「……わたしは、司さんがいましたから、さほど疎外感を覚えたりもしませんでしたが。司さんは、この共有できない感覚を抱えたまま、ずっと生きてきたんですよね」

「まあ、ね。村を出て、小学校に入るために街に出てきたときは、いろいろ驚いたよ。文明的な生活ってしてなかったわけだし、それ以上に呪術文化とかそこに付随するしきたりとか、なんにもない生活っていうのが驚きだった」

「そういうふうに感じますか」

「うん。でも過ごしてくうち、だんだん生活のそこかしこに、意識されない程度の形だけどなにかへの信仰っていうのが残ってるのがわかった。苦しい時の神頼み、とかさ」


 まさにいま、神頼みしたいような状況に追い込まれているわけであったが、司もそこは口にしない。


「身勝手な話、ですよね」

「仕方ないことだ、ってじいちゃんは言ってたよ。他国との交流の中で自然崇拝があんまり認められなかったこと、それに伴う近代化。呪術とかオカルトは科学に追いやられて、そのうち戦争に負けて、一度信仰の支柱が折れてるんだ、ってさ」


 オカルトの只中で暮らしてきた司はむしろ現代人離れしているのだが、それでもこの考えについて理解が及ばない旨を祖父に伝えたとき、祖父が「いまを生きる子らは、それでいいのかもしれん」と答えたのが印象的であった。


「小野は、オカルトっていうか、呪術とかについて、どう思ってた?」

「どうとも。母は特に自分の職を隠すことも、誇ることもしない人だったので。普通の職業のひとつ、としか認識していませんでした。偏見を持たれやすい、とは思っていましたけど、異能察知に気付いてからも、なにも変わりなく。母と同じような人を見つけられるんだなあ、と思っていただけです。知り合いの中に異能者がいるときは確認をとったりもしましたが、本人に自覚がない場合首をかしげられてしまうので、次第にやらなくなりました。その後は隠れた特技としか思ってませんでしたね」


 利用価値を見つけるまでは、と付け足して、唇を結ぶ。


「みえるようになったいま、考え変わった?」

「まあ……思っているよりも人は多く死んでいて、死してなおなにかを求めているのだな、ということは感じました」

「そっか。でも、引きずられ過ぎないようにしないと、駄目だよ。自分のキャパ越えるようなことしても、まずいことにしかならないし」

「先日の司さんみたいにですか?」

「あれはあれだよ、あれ」


 口ごもってうつむくと、冗談ですよと小野は笑った。意地が悪い、と司はいじけた。

 谷峰から帰って翌日。生後間もなく取り上げられ、ほとんど十五年ぶりに使った真取眼の力の反動か、司はひどい頭痛で寝込んでしまった。御手洗に相談したところ、まず歪みに落ちたことにはじまりいろいろと大目玉を喰らい、余計に頭痛を増やしてしまった。だが、一時間ほどの説教のあとで理由は教えてもらえた。

 眼は力の通り道で、能力の開花具合にもよるが、〝みる〟という行為は自分の中に外界からの影響を取り入れること。そして司の真取眼は淨眼の中でも格が非常に高く、開花の度合いでいえばほぼ最大のひとつで、ゆえに力が通り易くさまざまなものをみることができること。

 その代償に、悪いものの影響も取り入れやすく、前回は人魚の内に出づる穢れた魂魄を直視してしまったために、体内の気が乱れたのだろう、という話だった。翌日やってきた御手洗による、清めた水と塩で負の気を追い出すまで、司は布団から動くこともできなかった。


「仕方なかったんだよ。小野を、助けなきゃって思ったから」

「……そ、そうですか」

「うん。……うん」


 妙に、お互い意識してしまう発言だった。けれど、こんな非常時、口論義を助けなくてはならない状況下では、さすがに色ボケてる場合ではない。司は、着ていたボーダーのパーカから伸びる紐をくりくりといじって、なんとかやり過ごそうとした。


「あー、あれだ。小野も、淨眼を使えるようになっちゃったんだから。危ないものだ、と思ったら、目を逸らすようにしないと駄目だよ」

「わ、わかってますよ。にしても司さん、魂を、人魚から引きずり出してましたよね」

「やっぱり淨眼だね。小野もみえたんだ」

「危険なものだろうと思って、逃げる時以外は見てませんでしたけど。……あの、あれって、人間にもできるんですか」

「んー、やろうと思えば」


 思うところあったのか、心なしか小野と司の間に距離ができる。


「……やらないよ。というか、やれる相手は限られてる。魂っていっても、みえてるのは正負両方の気の塊だ。その中でも均衡を欠いてて、器に納まりきらない奴だけしか、触れない」


 ついでにいうと、あの小刀で断ち切ることができるかは土壇場でやってみただけだった。犬神にも効果を発揮した九字が刻んである刀身だ、なんらかの効果はあるだろう、と予想はしていたものの、あそこまでうまくいくとは司にとっても慮外の出来事だった。


「安心しましたよ」

「だからやらないってのに」


 話しながら歩いていると、林も深く、寂しい景色になってきた。特にいまのところ霊を視ることはなかったが、一人か二人歩いていてもおかしくはないな、と司は判じた。小野も昨日今日視えるようになったばかりだというのに、ひどく落ち着いた様子でついてきた。

 ぬかるみに足をとられそうになりながらしばらく行くと、宅地化の名残として残ったのか、廃屋と思しき建物がいくつか見受けられるようになる。踊場に出力してもらった地図では、この周辺が示されていた。


「なにか察知するものはあった?」

「いちおう、こちらの方に足が向きます」


 コンパスみたいな言い方で、小野は北を指した。また丑寅とかじゃないだろうかと危ぶみながら、司は小野の言う方へ進路を取る。


「それにしても廃墟ってどうして潰さないのでしょうね」

「空き地のほうが税金かかるからだって。あと税金っていえば、踊場さんが言ってたな。相続税がたくさんかかるからって、自然豊かな山々を売る人が多くなってるとかって」

「神域の山などもあるでしょうに」

「生活がかかってると強く言えないんだろうよ」


 廃墟群は、山の裾野に広がっていた。地図によれば山の向こうにも大き目の町があるようなので、そこから広がってきて、造成された宅地に移り住んでいったのかもしれない。見ると、切り崩しかけた山が、荒れた地層を老人の肌のように晒している。あまり長く見ていたいものでもなかったので、すぐに司は廃墟の方へ目をやった。

 そのうちに、打ちっぱなしのコンクリートでできた建物が見えた。駐車場兼物置のスペースの上に、さらに二階分の家屋を載せてできるはずだったものが、骨組だけ作られて放置されたと見えた。駐車場の横には階段が作られており、上階のスペースも壁までは作られていたが、窓は割れて扉は開け放たれている。

 その、階段をあがってすぐの扉の向こうに、切れ目がみえていた。近づくと、廃墟特有のきな臭さがあったが、霊を視かけることはない。単純に立地による、気の吹きだまりだった。この場へ廃墟探索に訪れた人々や、ゴミを不法投棄していった人々といった、ごくごくわずかな悪意に少しずつ染められ、負の気の流出がはじまったのだろうと思えた。

 小野の方を見ると、携帯電話を取り出して踊場たちにメールを打っていた。定時連絡の時間も近づいていたので、ちょうどよかったとも思えた。


「……あれか」

「存外、簡単に見つかりましたね」

「小野の能力のおかげも、もちろんあるんだろ。でも踊場さん、異能の力は少しもないけど、御手洗さんとかと働けるんじゃないかな」


 読みは当たってました、と小野が文面に打った。


        #


 住宅地を回る踊場たちは、片っぱしからインターホンを鳴らし、情報がないかと当たっていた。当然、怪しいと判断して話にもならないこともあったが、学生三人ということもあってか、警戒される回数はそれほど多くなかった。


「廉太郎は離れていてもらった方がいいかもしれないね」

「どういう意味だ」

「見た目が老けてるせいで、普通にただの勧誘に見えるからだよ」


 さすがに今日は甚平や作務衣ではなく、黒いTシャツにカーゴパンツ、スニーカーという軽装ではあったが。身長の高さや眼鏡の奥に見える目元のしわ、妙に力強い表情などを総合すると、実年齢よりかなり上に見える。

 逆に、踊場は背も低く顔も童顔なため、ややもすると中学生に間違えられることがある。


「んなこと言ったらサワハなんざ不法入国者に見えるだろうが」

「む、レンタロ聞き捨てならないのコトいうネ。サワハはちゃんと国籍日本人よ。会ったことないけど、本家の方ちゃんとあるするヨ」


 頬を膨らませるサワハは、ポニーテールにして露出したうなじに手をあてがいながら、思い返すように空を見上げていた。小麦色の肌に、まつげが長く黒目の大きい瞳、高めの鼻と、日本人離れした容姿で語られても、反応に困る二人だった。

 モスグリーンとカーニバルイエローの柄ががマーブリングのように混ざり合ったパレオを着ているサワハは、革のサンダルでぺたぺたと音を立てて歩く。


「勘当されたというか駆け落ちしたというか、そんな感じだったっけか?」

「そーね、そんでサワハと両親そろってタイまで行くして、バナナ育てたりお土産売ったり。最終的にマッサージ覚えて、帰国」

「実家は訪れたことないのかい」

「実家はあるよ。本家ないない」

「本家?」


 てっきり実家という意味で言っていると思っていた踊場と廉太郎は、声を揃えて問いかけた。うなずいて返したサワハは、よくわかんないケド、と前置きした。


「沢田は分家らしいノよ。沢っていうのが本家ネ。でまあ、おかあさんが結婚のため出てったのよー」

「……ひょっとして意外に良い家の出なんじゃねぇのかこいつ」

「縁切れてるから意味ないだけどネ。実家も一回いったきり、追い出されたあと行くあてなく知り合いもいない町で開業しただけヨ」


 そこから先は、踊場たちもよく知っていた。へんなキャラのために若干浮いていたサワハに異能があると知った口論義たちが、勧誘して入れたのだ。サワハにとって日本でできた最初の友人が、口論義たちだったという。

 廉太郎も、似たようなものだった。中学時代の悪行が知れていて、教師の覚えも悪く。噂はすぐに広まり、だれにも近づかれないような生活を送っていたところに、小野から廉太郎にも異能があると聞いた口論義が勧誘した。

 そうして、赤馬、口論義、踊場の三人だった奇怪事件展覧列挙研究会に、小野、サワハ、廉太郎が加わった。様々な事件を、六人で追った。口論義と小野の目的を筆頭に、全員で数々の事件に首を突っ込んで回った。目的のために集った人間たちではあったが、それでも、次第に楽しさを感じて、皆でいることは多くなった。


「もう一年半も経つね。なんか日本、せわしないヨ。タイの時と違て、あっと驚く間に間に、毎日過ぎてく」

「けっこうなことじゃねぇか。だらだら進展のない日々を過ごすなんざ、俺ァごめんだよ」

「レンタロは生き急いでるカナ?」

「昔だらだらした分を、取り戻しときたいんだよ」

「あまり急く必要もないさ。どこで休むのもどこで進むのも、個人の自由だ」


 だれのこと言ってるカナ、とサワハに茶化されながら、踊場はつんとそっぽを向いて先を行く。団地の中の休憩所と思しきベンチに腰掛けると、出力した地図数枚をめくってまだ行っていない場所を確認した。

 てってってー、着信音が鳴った。白シャツの上に着たクリーム色のベストから携帯電話を取り出した踊場は、表示されていた小野からのメール、その位置と自分の地図を比べ、胸ポケットから赤ペンを抜くと大きく丸を打った。この作業のままペンを指先に保持し、地図をめくりながら自分たちが向かった場所にチェックを入れていく。

 廉太郎は横に置かれた携帯電話のメールをのぞいて、納得した。


「ほう。歪みの位置がわかる方が、早かったみてえだな」

「これで慈雨に近づける情報が出るとありがたい、といえばそうなのだけどね。向こうにばかり頼りきりになってしまうのは心苦しいよ。なんとかこちらでも、有効な手掛かりを見つけたいものだ」

「けどなんてゆーか踊場サン、能力使わせるするの、嫌ってナイ?」


 サワハに指摘されると、ペンの動きが乱れた。


「べつに、嫌うというわけではないが」

「はっ! ホントかあ?」


 ベンチの背板に腰かけた廉太郎が、背中あわせに踊場に体重を預けてきた。


「自分だけ無能力っての、まだ気にしてるんじゃねぇよな。こんな下らねえもんに劣等感抱くなよ、アホだなお前」

「そんなつもりはない。そりゃ、前はどこか、僕だけ外れているような、そんな気がしていたが」

「ほらみろ」

「だって、仕方ないじゃないか。みんなが抱えたなにかが、口論義のように力の発現に繋がっているようだったり。はたまた能力を持っているから、なにかを抱えることになっていたり。……僕にはそういうものがない。なにも背負わず気負わないままで、こんなところに居ていいのかと、そう思っていたんだ」


 黙って話を聞く廉太郎は、踊場の背から体重をどけた。サワハも神妙な面持ちで街路樹の影に立ちすくんでおり、セミが鳴き喚く反響音が、団地の広場に降ってきていた。

 だから、軽々に使うようなことはしたくなかった。このような事件を追うからには必然的に要する場面も増えてはくるのだが、だからこそ、背負った力を使わせたくはなかった。自分に力がないことへのひがみよりも、背負うものがない自分を意識したくなかったことが、踊場の異能への忌避の理由だった。


「お前は普通だからな」


 セミの反響音で塞がった耳をこじ開けたのは、廉太郎の言葉だった。ただただ、肯定するしかない言葉だった。


「そうだね。僕は普通だ」

「でもそれが〝普通のこと〟なんだろ。そんで能力ある奴がみんな、ちょっと複雑な過去があるように見えても、んなもんどこにでも転がってる〝普通のこと〟だ。お前にだってある普通だ。――そこに、鉞姫の能力で集まった普通じゃない俺らが、たまたまちょっと複雑な過去を持ってるだけで。能力にかこつけてだれにでもあるような過去もんまで、特別なもんだと思いすぎなんじゃねぇか」


 思わず振り返る踊場だが、廉太郎は変わらず背を向け続けているだけだった。


「能力の取得に、過去との因果関係はないと?」

「お前が言ったんだろ。因果関係あるなら、俺の回天竺オートジャイロの取得プロセス意味不明じゃね、ってよ。どうしても関連付けるとしても、嫌な記憶に対する現実否定で生まれた重たいもんじゃないと俺は思う」

「なら、なんだ」

「決まってんだろ。欲しがったから、手に入ったんだ」


 へらっと笑い、廉太郎は背板から腰を上げた。踊場が体勢を崩したのを見て、さらに笑った。


「現状を変えたいと思った時に、望んだ能力が手に入ったのさ。たぶんな」

「むちゃくちゃな」

「でも希望があるだろ? トラウマへの当てつけで、現実に勝つために生まれたって方がよ。だから、自ら手に入れたものなんだから、権利に過ぎないんだ。使いたいように使えばいい。当人が許すなら、お前が気に病むこたねぇんだよ」


 虚空に向かって拳を繰り出し、少しシャドーボクシングのようなことをしてから、廉太郎は向き直った。


「俺は俺の希望に沿って拳を振るう。俺の力だ、俺の権利だ」

「ねえ、ワタシ生まれた時からレンズ使えたみたいだケド、レンズは権利に入りますカナー?」

「……先天的な能力は知らん。血統だろ」


 うわてきとう、と標準的なイントネーションで言いながら、サワハは顔を背けた。文句ありげな廉太郎は俺いまいい話っぽいのしてたろうが、と怒鳴って、サワハの後ろの街路樹にとび蹴りを喰らわせた。落ち葉やら芋虫やらが落ちてきて、さすがのサワハも悲鳴をあげて逃げた。

 ふっと笑いがこみ上げて、踊場はこらえるのをやめた。満足げな廉太郎を見ていると癪ではあったものの、それ以上に感謝のような気持ちがあった。人とちがう人は、人とちがう能力を持つ人は、その力を振るうことを義務のように考え、踊場に従ってくれているのかもしれないと。意識はせずとも、心のどこかで思ってしまっていたように、感じた。


「さあ、続き探そうぜ。早いとこ手掛かり見つけて、会長を俺の手で救い出しにいくのだ」

「腕っ節が必要な場面があれば、期待しているよ」

「任せろ。そして残りは任せた」

「レンタロやる気ねーのネ」

「馬鹿、温存ってんだよこれは。あーあとそうだ、お前らには言っておくか」


 ベンチを軋ませて立ち上がった踊場とサワハを指差して、廉太郎は腕組みした。仁王立ちのような格好で、ぐっと強く構えた。


「この一件終わったら、俺会長に告白してくる」

「は?」


 構えておくべきは自分の方だったか、と踊場は思う。少し、足下がおぼつかなくて、またベンチに座りこみそうになった。若干ひいたような、呆れた顔をしているサワハは、自分のポニーテールをすきながら尋ねた。


「……死亡フラグわざわざ立てるの理由は、なんなのネ?」

「はは、こういうのってやっぱフラグだとか言われるけどよ、差し迫った局面だって思うと、言っときたくなるみたいだな。でもよ、頃合いだと思うんだ。どうせもうあと半年で会長は卒業しちまうし、慈雨を追い詰めることになるとしても、逃がすとしても、言っておかにゃならんと思うんだ。朝も言ったろ、俺は怒ってるのだぜ」


 眉根を寄せた笑みを浮かべて、悲しげに、廉太郎は述べた。


「会長は俺らを置いてったんだ。信頼されてなかったか、迷惑をかけたくなかっただけか、んなことは知らんよ。とにかく、危険域に飛び込むクセは、冬のころから治ってなかったんだ。俺らが……どれだけ心配するか、気付いちゃくれなかったんだ。だからもう伝えるよ、会長がいなくなったら俺がどれだけ心配するか、ってことを。俺がどんだけあの人を好いてるかってことを。そばに居るだけでは伝わらんのなら、俺はやるぜ」


 強い目で、踊場を見据えた。どうするのかと問われているように、感じられた。


「ふられたら、どーするヨ?」

「泣く。でも諦めん。あとそれとは関係なく、もう一人で危険なとこ行かないって約束してもらう。これだけは結果にかかわらず、決定事項な」

「アレ、もしかしてわりと玉砕覚悟するの構えカナ」

「お前は経験ないからわからんだろうが、勝率のわからないこんなことに挑むにゃ、敗北のダメージ減らすためにひたすら悪い結果予想しちまうみたいだよ」


 笑っているのは強がりであったらしい。そんな、廉太郎の覚悟を聞かされて、踊場は自分の中でも芯が定まったことを感じた。長い間、共に居て、支え合ってきて――だからこそ、決定的に関係が変わるようなことをしたら、支え合うこともできなくなると、恐れてきたけれど。

 現状維持では未来に行けないのかもしれない。考えを改める心地が、していた。


「廉太郎」

「応、なんだ」

「僕もだ。僕も、甘さは捨てることにするよ」

「……そこも含めてお前だ、って言ったろ。まあなんでもいい。玉砕することを祈ってるぜ」

「ふん、祈るなどと。自分以外に頼みを置いた馬鹿は負けるに決まっているよ」

「自分に自信ない奴に負けるほど情けなくはないつもりだ」


 は、と笑う。

 疲労が溜まり、状況の悪化に押し負けて、自分がずいぶんと弱気に、後ろ向きになっていたことを踊場は自覚した。けれど今は、ひとつ目標ができたことで、ずいぶんと歩きやすくなったような気がしていた。


「さあ、今度こそ行こう」


 踊場は、前を向いた。


 が、芽生えていた明るい気持ちが、瞬時に萎えていき、冷静に現状を観察する自分にとって代わられた。足を止めた踊場は廉太郎越しに広場の彼方を見据えており、固まった視線に気づいた廉太郎もそちらを振り向くと、表情を一変させた。


「あいつ……七無!」


 五十メートルほど向こうの宅地ブロックに、その姿はあった。

 灰色の、スリーピースを身にまとう。まだ黒さの残る頭髪と比して白く、短いあごひげを生やしている。暑そうな背広を肩に載せており、左手で旅行鞄を携えている。

 目つきは穏やかそうであったが若干頬がこけており、暗い瞳は落ちくぼんで見えた。足下は素足に下駄で、辺りを見回しながら歩いている。踊場たちはこちらに気付かれないよう、視線を向けることをやめて先方の動向をうかがう。少ししてふいと背を向けると、から、から、引きずるように下駄を鳴らして、七無は去ろうとしていた。


「あの野郎、ここになにしに」

「……わからない。けれど、奴はあの時谷峰にいた。人魚の事件にも名前が出てきているし、汀の起こした事件に関わりがあるかもしれない。ここで逃す手はないぞ。団地の聞き込みは、後回しだ」

「早く行くしないと見失うヨ!」


 歩き出した七無を追って、三人は足音を潜めた。けれど宅地の角を曲がって、彼は姿を消そうとしている。


「逃がすか!」


 廉太郎は石ころを拾うと、サワハの手に触れさせてから、思い切り投げた。意図を理解したサワハは廉太郎の眼鏡をもぎ取り、地面に跳ねて角のところまで転がっていった石ころのレンズを瞬時に発動させて、七無の向かった方を知る。


「角曲がって、三叉路を右!」

「よしきた! 人数多いとバレるから、お前らはレンズで俺の位置を時々確認しながらついてこい!」


 幾度かサワハに自分の身体を叩かせ、スペアの眼鏡をかけた廉太郎は歩き出す。


        #


 隠密行動はさすがの倉内流でも履修専門外だが、気配を消すだけならば基礎はならっている。相手が周囲に気を向けていない隙を見計らって距離を詰めていくのは、間合いをはかって一瞬の好機をうかがう戦闘と少し似ている。

 バレてくれるなと自分の修練に祈りをささげながら、廉太郎は七無のあとをつけた。どこまで行くつもりかはわからないが、少なくともすぐに逃げられず、ある程度話ができる場所に出るまでは、追わなくてはならない。

 だというのに宅地を出て、街の方からはどんどん遠ざかる彼の背中を見て、廉太郎は不安を覚え始めていた。一体どこへ向かうのか、と様子をうかがう内に、とうとう七無は団地を出て、廃墟が居並ぶ方へ向かい始めた。雑木林には廉太郎の身を隠してくれるようなものがほとんどないので、仕方なく、草陰に身を屈めながらの追跡となった。

 やがて、切り崩された山が見える辺りで、七無はまた辺りを見回した。そして目的の場所だったのか、廃墟のひとつに足を踏み入れる。

 いや、それは打ちっぱなしのコンクリートでできた、建物の骨組みだった。駐車場兼物置らしきスペースの上に、さらに二階分の家屋を載せてできるはずだったものが、建築途中で放置されたと見えた。駐車場の横には階段が作られており、上階のスペースも壁までは作られていたが、窓は割れており扉は開け放たれている。

 四メートル四方といったところの、二台分はある駐車場に、七無は踏み込んでいく。敷地は鉄柵で囲まれているため、逃げることが容易くない位置に、入りこんでくれた。ここで追い詰めるしかない、と思った廉太郎は、急いで踊場に「コンクリート 骨組みだけの廃墟 山の方」と位置を知らせるメールを送り、携帯電話を閉じると敷地に入った。なんだかすこし、背筋の寒くなる場所だった。


「お粗末な尾行だったな」


 途端に、そう指摘された。やはりバレてたか、と内心舌を出しながらも、成功したと廉太郎は確信した。隠密が苦手ならば苦手なりに、自分の未熟さを露呈させて相手を油断させられればいいと思っていたからだ。

 先日の手合わせで廉太郎は知っている。この男が、武術的にも遥か格上の存在だと。だからこそ、自分をより低く見積もってもらう。そうすれば少しは話を引き出せるかもしれないと、思っていた。以前踊場がある事件で格上の相手に使った、交渉手段の応用であった。


「なのに付き合ってくれたってことは、爺さんなんだ? ひょっとしてこっちか?」

「つまらん挑発はしてくれるなよ、小僧。この前ので理解せんかったか? お前さんじゃァ、わしは倒せんと」

「そりゃ、身にしみてるぜ。だがこっちも、聞きたいことがあったんでな」

「聞きたいこと? なんだ、弟子にしろとでも言うつもりかねェ」

「あいにくと師匠はいる、二人も要らん。聞きたいことってのはな……あの町で起きた事件。その背後にいる連中とか、呪術を、あんたは知ってるのかってことだ」

「……坊主、お前さん……ただのガキじゃァ、ないようだな」


 片眉を吊り上げた七無は、旅行鞄を手放すと、肩にかけていた背広も払い、ひやりとした床に置いた。警戒を強めてしまった、と自分が言葉を選び損ねたことも感じたが、ここで引いてもなにも得られはしない。


「あの村の呪術、背後にいる連中ときたってことァ、慈雨……か?」

「汀を知ってるのか?」

「なぜお前さんが奴の名ァ知ってんだ」


 考えていたワードが出たことで先走ったせいで、さらに厳しい目で見据えられた。思わずひるんでしまい、次の言葉が出て来なくなる。

 この間が、致命的なまでの誤解を、七無の中に生んでしまったようだった。


「やはり慈雨の人間らしいなァ、貴様」

「は? いやまてちがう、そうじゃない」

「ならば、さっき団地で勧誘まがいのことしとった理由ってもんを話せるはずだ」

「あれ勧誘じゃねえよ! 俺は慈雨じゃなくて」

「下手な言い訳はあとで垂れ流せェ。わしゃァ加減が下手なもんでな、少々手荒になるが」


 やはり七無の名に食いついてきたか、とつぶやいて。

 右半身みぎはんみに構えた、と思った次の瞬間には、凄まじい蹴りだしで、七無が距離を詰めてきていた。今回は前とちがい、パニックになって焦っていたわけではないため、なんとか対応できた。身体の前に左腕をかざし、肘で拳を防いだ。

 七無はただまっすぐに、右正拳でこちらを突いてきた、だけだった。そのはずなのに肘からは骨と骨が削り合ったような硬質な音が響き、あまりの痛みと重みにガードは弾け飛んだ。無防備になった胸部に、流れるように左拳が突きこまれる。


「ぐ、っがあああ!!」


 弾かれた勢いのまま、上半身をひねり、右肩でブロックする。だが無理な体勢で重い打撃を受けたため後ろに吹き飛び、たたらを踏んで持ち直す。皮膚が削がれたのではと錯覚するほどの剛拳は、とても廉太郎より二十センチも背の低い、小柄な老人から放たれたるものではない。


「よぅ受けた。だが削ぎ落されるぞォ」


 岩塊が迫ってくるような、恐ろしいプレッシャーを覚えた。先ほどとまったく同じ、右半身の突進。左手は、引き手を意識している形よりは、少し高めか。右からの連携を意識した技になっていると思われる。

 相手の間合いに入られる前に、廉太郎は左下段回し蹴りで出足をくじこうと画策する。しかし七無の動きはほとんど止まらず、こちらのすねが痛んだ。やはり、岩塊。あの拳は、凄まじい修練により攻撃を跳ね返すほどに鍛え上げられた足腰による豪打なのだ。生半可な攻撃では通ることはない。

 蹴り足がひるんだ隙に、またも双拳が迫る。右の一撃は、左掌による鉤打ち(フック)で流し、左の一撃は、その勢いのまま肩口から体当たりを仕掛けて相殺しようとした。


「いっでええ!」


 が、自分の勢いの分威力が増した拳を受けることになったせいで、剣山を叩きつけられたような強烈な痛みが走る。

 それでも向こうは、体勢が崩れることはない。下半身が巌であるかのように泰然として、廉太郎を睨み上げる。広がった痛みが収縮すると、先のダメージも合わせ、左腕が肩から肘まで麻痺していた。腕が、あがらない。

 だが攻撃直後、引き戻す前の左腕にかぶせるように、廉太郎は右の掌を叩きこんだ。鎖骨狙いの一撃は、犬神使いとの戦いでも使用した技。この一撃で相手の動きを止め、次の右上段回し蹴りで、互いの腕により生じた死角からこめかみを打ちぬく。

 倉内流――〝鍵戒かぎかい〟。

 必中のはずの蹴りは、けれど失敗する。右掌打は、わずかに鎖骨に届いていなかったのだ。元々この技は相手が防御の体勢をとって肘を曲げている時を想定してのもの、腕を戻す途中だった七無には、関係なかった。


「失策だ坊主」


 距離にしてわずか五寸の位置から、再度左の拳を打ちこんだのだ。約十五センチの距離で十分すぎる加速と威力を得た拳は、寸前で察した廉太郎の右腕をかすめたために肋骨からは逸れたものの、まっすぐに腹筋を打ち砕いた。昔、喧嘩に明け暮れていた頃、木刀で突きを喰らったことがあったが、その時以上の痛みが廉太郎の脳髄に響き渡る。思わず身体を折り、頭が下がる。

 まずい、と思った次の瞬間には、右の拳が顎を突きあげようとしていた。ボクシングのアッパーカットのような打ち方ではなく、ただ正拳を打つ角度を変えただけ。それだけで、身長差のある廉太郎の顔面は、あまりにも殴り易い位置にあったのだ。

 腹部の痛みを忘れ、廉太郎は目を見開き、顎を引く。そしてさらに身体を折り曲げ、額で、七無の拳を受けた。がちんと玄翁げんのうで釘を打ったような音がして、首から上だけがのけ反る。皮膚が割れ、血が飛び散った。それでも、反撃に出る。身体に染みついた習性の為せる業だった。すでに打つ寸前まで移行していた右足を、振り上げる。

 だが防がれた。感覚でしかつかめなかったが、おそらくは引き手の左腕で、受けられた。右足の手ごたえの無さに、すぐさま足を戻し、なんとか体勢と呼吸を整えようとする廉太郎。だが割れた額から流れた血が、右目を覆った。


「右っ――――!」


 踏み込みの音に反応した時には、七無は視界から消えていた。

 豪打が、迫る。



七無の正体やいかに。

そして、その体術とは。




 終章になったのでネタバレにもならぬと思います、参考文献紹介です

 以下の文献を参考にして執筆しましたが、解釈は作者独自のものとなっております。

 百奇夜行で鬼天烈な。は実在の人物、団体、地名、宗教と一切関係ありません。



 参考文献 (敬称略)


高橋繁行『葬祭の日本史』(講談社)

保坂幸博『日本の自然崇拝、西洋のアニミズム―宗教と文明/非西洋的な宗教理解への誘い』(新評論)

松村潔 『日本人はなぜ狐を信仰するのか』(講談社)

中村禎里『日本人の動物観―変身譚の歴史』(ビイングネットプレス)

野村純一『昔話・伝説必携』(學燈社)

高橋紳吾『超能力と霊能者(叢書現代の宗教8)』(岩波書店)

川村邦光『幻視する近代空間―迷信・病気・座敷牢、あるいは歴史の記憶』(青弓社)

内山節 『日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか(講談社現代新書)』(講談社)

北山哲 『なぜ夜に爪を切ってはいけないのか―日本の迷信に隠された知恵』(角川SSコミュニケーションズ)

生月誠 『プラス暗示の心理学』(講談社)

中村希明『怪談の心理学―学校に生まれる怖い話』(講談社)

友寄隆静『なぜユタを信じるか―その実証的研究』(月刊沖縄社)


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