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6 最後の希望への挑戦
ガルシアたちが去った後、エミリアは村の古老を訪ねた。何か方法はないかと、最後の希望にすがる思いで。
「皇帝陛下への献上品……か」
古老が昔の話を思い出すように語った。
「成功すれば莫大な報酬が得られる。しかし、失敗すれば……」
その夜、エミリアの脳裏に前世の記憶が鮮明に蘇った。パティシエとして働いていた菜月の技術、数々のケーキレシピ、そして何より「心を込めて作る」という哲学が。
三日間、エミリアは究極のケーキ「天使の涙」の制作に没頭した。前世の知識と現世の想いを込めて、誰も見たことのない美しいケーキを作り上げる。
調理中、無意識に異次元の調味料の片鱗を使用していた。ケーキが神秘的な光を放ち始める。
「こんな美しいケーキは見たことがない……」
村人たちが驚嘆の声を上げた。真珠のような輝きを放つクリームに、虹色の砂糖菓子で飾られたケーキは、まさに天使が流した涙のように美しかった。




