プロローグ
「散乱した瓦礫に引きちぎられた体、地下立体駐車場に停めてある車両は撒き散らされている」
「それなのに爆弾や重機、電動工具の痕跡は一切残ってない」
事件現場でため息をつく刑事2人
「またギフテッド案件か?」
「またそれじゃ言い訳で却下されんでしょうよ。」
「じゃあどうやって説明する?」
「この惨状見て生身の人間がやったと思えるか?お手上げだよ」
「本日、27度目の倒壊事故が発生しました。警視庁の捜査によりますと、現場にはまたも爆発物や発火元、老朽化箇所が見当たらず、ギフテッドによるテロ事件として捜査を切り替える方針を立てています。」
警視庁内にて流されるニュースに新米女性刑事が釘付けになる。
「深田部長、ギフテッドってなんですか?」
「特殊な体質、科学や物理学では説明できない能力を持った人を指す。最初は頭がいいとかそういったレベルだったんだがな。最近は国が管理するほど異常な奴らが出てきている。」
「管理?」
「あぁ。毎年更新されるギフテッドブックってのがある。D〜Sランクに分けられていてな、社会貢献性の高い人物は支援対象ギフテッド。消息不明で未解決事件への関与や、能力の悪用が疑われる人物は警戒対象ギフテッドとして分類されている。全世界で80名ほど確認されてる」
「このブック見てもいいですか?」
そういって許可をもらうと興味深そうに女性刑事はブックをめくる。
「高美、何か気になるか?」
「千里眼に念動力、それに磁力操作まで!信じられません。それに『欠落者』ってなんですか?」
「欠落者ってのはいわゆる障がいだ。有利欠落者、不利欠落者に分けられる。有利欠落者ってのは持ってるギフトの能力を底上げし、有利に働いてしまっている障がいのことだ。お前が見ているそのダルっていう奴は不利欠落者で、視覚障害を持っているが、遠くのものを知覚できる千里眼がある。
この場合は障がいそのものがギフトに影響を与えてはいない。まぁ視覚に問題があったから発現したギフトではあるが」
「有利欠落者って今のところ4名しか発見されてないんですね。この方は・・・」
なにもかも見透かした目元、年齢にそぐわない大人びた雰囲気を醸し出す男性の写真が目についた。
「それは有利欠落者の鬼塚圭一だ。欠落名は無痛覚。ギフトは超筋力。馬鹿げた筋力はたまに見かけるが無痛覚であることがギフトの能力に拍車をかけてる。彼は幼少期に橋の崩落事故に巻き込まれているが無傷で生還している」
「それって・・・」
「だから探している。警戒対象ギフテッドだ。通り名は『孤高の怪物』」
3年前にギフト認定後、消息不明のその男性は、証拠を残さない怪物として後に指名手配された。