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嘘つきは泥棒(初恋)の始まり⑤


 ヒーローに入れ込み出したのは私がヒーローファンを自称しているからだ。調べる口実にヒーロー愛好家であることの都合の良さ、ヒーローと親身になれる立場はファンであることが都合がいい。そこから始まった活動だった。


 怪人として潜入は多くの怪人が討伐される中で私だけは上手く行く。「それは何故か?」と考えた時、私の能力が都合がいいからだ。疑われれば記憶を喰えばいい、それだけだ。


 そんな私がマサキと会ったのは怪人との戦いの時であった。肉が千切れ隆起した感染する怪人である化物との戦いの途中出会った。


 まだ、弱い彼が苦戦を強いてる時。私はあえて悲鳴をあげて怪人の攻撃を促し、庇って貰った。そのまま怪人の記憶を喰い。援護して倒して貰った後に彼のお世話になったと言う事である。


 なお、記憶は腐ってたのか腹を下すような気持ち悪い状態になって本当に介抱して貰った。そこから、彼に親は怪人に殺されて一人暮らしであること、同じ年である事の嘘をついた。


 なお、今はこういう記憶だが。私は絶世の美女転校生でハニートラップを仕掛けてかかった下心のある馬鹿で鼻の下を伸ばしてだらしない男性と言うのも知っている。出会い片がドラマチックになっている。


「ねぇ、マサキ。下心ってあるの?」


「ぶふぅううう!?」


「あるんだ。ふーん、男だもんね」


「げほげほ……」


「はい、ティッシュ」


 1日野菜なんとかと言うジュースを盛大に吹き、赤い色が吐血してるように見える。ティッシュを彼は受け取り拭った後に落ち着いて聞き返す。


「なんでそんな事を聞くんだよ……」


「ん、体育の時に皆の視線を感じてる。特に胸とか。声も聞こえる。『だれがいいか?』『あのこかわいい』と言う声ね。逆に女生徒も同じ事を言ってる。『誰々が付き合い出した、先生いいよね?』なんて。マサキもかなって思った」


 嘘つきである。全くそんな事は誰も言っていない。狼狽える彼を楽しんでいるだけ。そう私は今、自信がない。怪人である私に価値があるかの確認である。いや、違う。マサキが私を「美少女」として価値を見ている。


 この容姿が、この体が、彼を「繋ぎ止めてる物じゃないのか?」と考える。「それでもいい」と思っていた過去では満足出来ないようになっていた。


「ええと、どうすればいい? 納得行く返答が想像出来なくて……エッチなイメージしか」


「いいよそれで。ありがとう褒めてくれて」


 うわべの褒めだけで照れた時期が懐かしい。


「あああ、もう。不満そうにするな……考えるから、良いところを」


「待ってる。早くして」


「優しい」


「具体的には?」


「家で洗濯や料理、アイロンかけなどしてくれる」


「それは優しい?」


「すごい助かってる。忙しい時はヘトヘトになるから」


「それ以外は?」


「今日はすごい聞いてくるな。何かあった?」


「あった……で?」


「そうだなぁ。見た目でない所でなら、可愛い所ある。苺が好きで、飲み物が苺ミルクを良く飲んで品評してる。一番怒りは果肉入りを偽装してた奴はすっごく怒ってた。コンビニ行くとチョコレートも甘いものも良く買ってるな」


「そういうのが可愛いなんだ。ありがとう、元気でた。タカナシの所に行ってくるね」


「もういいのか?」


「ありがとう、『私』の自信でた」


 私は友の前へ向かう。歪んでる私を固め直せた。昼休憩は終わる前に彼女の元へ向かおうとした時。タカナシにが顔を出す。タカナシの染めた金色のウェーブのかかった髪と短いスカートにアカ抜けた明るさとお嬢様のような品を見出だす。


「あっ!! また二人でいる。マサキ君も友達いないの?」


「いる、こいつが連絡寄越したんだ」


「まぁた。マサキ君に迷惑かけて……ヒムちゃん、マサキ君離れしないと大変よ?」


「ヒメちゃん。離れたら私はどうなるの?」


「えっと、ヒメちゃん。めんへらってる?」


「てる。メンヘラ講座を見ちゃった。『自分が嫌いなんだ』って……私は」


 怪人としての私は「普通」ではない。劣等感を悩みを、内に芽生えさせてしまった。そして、二人に対して「罪悪感」が沸く。この世で一番愛した兄を奪った事。親友を「親友のフリ」して情報などを奪っている事。


 一つ一つ、気にしなかった事が『私』に迫ってくる。相談すれば破滅。結局、私は「いつか離れない」といけない結末を示唆した。「こんなに楽しい日々」の記憶を喰い破らないといけない。


「ヒムちゃんが悩んでいるのはわかるけど……口に出さないとわからないぞ。あなたがいつも言ってるでしょ? 『具体的』にって」


「え、私……そんな嫌な奴だったの?」


「「……」」


 二人は黙って頷き。私はショックを受ける。


「昔はもっと感情が薄かった気がする。私の家でバイトしてる時はもう、機械みたいだった」


「そう、歳不相応だった。どこか変わった視点もってて、時に勘が鋭い。ポケーとしてると思ったら、鋭い姿勢で……ヒーロー見てたな」


 初めて他人からの意見で『私』を見出だす。怪人ではない『私』は非常に特徴的で、正直に言う。


「私、ヤバナイ?」


 二人で私を見ながら笑う。それに私は救われた気がして一緒に笑う。「こんな二人に会えた事」の記憶を大切にしようと決めたのだった。


 ピピピピ!!


 そんな中だった。マサキのスマホが鳴り響く。それに対して私たちは声を沈める。マサキの表情が歳不相応な顔になる。それは、予感を抱かせるには十分だった。


「怪人ですか。わかりました向かいます」


 スマホをしまい、彼は笑顔になる。


「ちょっと行ってくる。先生に言っておいてくれ」


「マサキが行く必要ある? 学徒だよ」


「同じ事で大人たちが喧嘩してる。お前は言ったじゃないか? 『大人が決めるまで子供は振り回される』ってな。大人の尻拭いを大人がするんだからいいだろ?」


「マサキも歳に似合わないね」


「早く大人になりたいからな」


「いってらっしゃい」


 マサキが離れ、タカナシと二人きりになる。先生たちも出払い。察する事は多い。


「午後、授業ないね」


「Ai先生が授業するだろうね。ヒムちゃんサボりだめ」


「はい」


 私は遠くから眺めている人数を事件を調べるついでにメールする。そして、抜け出す事を決めたのだった。










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