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先駆者 ~ 天翔けるYAMATO-Ⅲ  作者: サクラ近衛将監
第5章 新たなる展開
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5ー1 動力炉 その一

 翌年4月には動力炉製造のための申請が経❆産業省、環境省、国土交通省になされた。

 経❆産業省はエネルギー資源庁が関連し、環境省は当該動力炉の環境に与えるモニタリング調査のため、国土交通省は船舶、鉄道、自動車などの輸送機関に搭載する発電機としての観点からそれぞれに検討を始めたのである。


 画期的な動力炉であることは十分に承知していた。

 だが、実際に製造販売を行うとなると既存企業に与える影響は極めて大きい。


 経❆産業省は当初、各地にある電力会社にのみ販売することを検討したが、大型工場などを有する産業界から横やりが入った。

 送電ロスなどを考えると無駄が多すぎると言うのである。


 むしろ直接工場に置いた方が便利であるし小回りも利くということである。

 それにSAKAZAKI製作所では、電気設備ごとに装備できる小型動力炉の製造が可能としていたために、電機業界からはそうした小型動力炉で販売した方が、送電線や配電盤などの無駄が省けるとした。


 無論、溶鉱炉など大電力を消耗する設備用にはそれなりの大型設備も必要であるが、SAKAZAKI製作所の提唱する動力炉は驚くほどに小型であった。

 自動車に使用する動力炉は従来のバッテリーの8分の1の容積で済み、それでいて現行の3.2リットル程度の排気量を有する大型乗用車を時速100キロで走行させるならば連続20年間走り続けるだけの電気エネルギーを供給できると言うのである。


 どんなに優秀な自動車産業でも20年間メンテナンスフリーで走れる車両を製造することは不可能であるから、実際には製造が難しいし、そもそも車体が持たないのでそこまでの容量が有れば十分と言うことになる。

 さらに船舶用では、概ね440ボルト5千キロワット程度の発電機が大型船では数台必要なわけであるが、これもバッテリー程度の動力炉1基で発電機を補完するのに十分であると言う。


 家電業界が注目したのは、乾電池サイズの動力炉で、220ボルト用2.2Kw、3.2Kw、4.8Kw出力のものがわずかに単2電池程度の大きさで可能なのである。

 100ボルト用になるとさらに小さくなる。


 しかも、概ね5万時間の使用に耐えるとされている。

 仮に220ボルト用の室外機を持つエアコンをフル稼働させたとして10アンペア程度だから2.2Kw若しくは3.2Kwの動力炉で充分であろうが、実に6年もの連続運転ができることになる。


 エアコン自体5万時間もの長期にわたって連続運転で使える保証は無いが、その間の電気料金は、普通の家庭での4キロワット契約で仮に1日8時間の使用では250キロワット程度の使用量になる。

 1キロ約20円で1カ月に5千円(年間6万円)相当の金額になるのだが、この動力炉の販売価格は10万円程度の価格を想定していると言う。


 2年使用すれば十分に元が取れる計算になるだろう。

 逆にこの分を24カ月のローンにしてしまえば、毎月の電気代が2年でただになり、それ以後はエアコンが壊れるまで電気代は全くの無料になるということである。


 SAKAZAKI製作所では、使用済み動力炉の回収を考えているようだから、少なくとも業界でその回収システムさえ構築すれば環境問題になることもない。

 簡単な計算では少なくとも現状の電気代に比べて15分の1から20分の1になることが予想されるのである。


 環❆省と国土❆通省では早々と検査官を送り出して、製造過程当の検査を始めているが、経❆産業省は利害関係が多すぎて動くに動けなくなっていた。

 電力業界からは死活問題として、電力業界のみに販売を制限して欲しいというし、電力を大量使用する鉄鋼業その他からは各工場への販売を促進しろとしている。


 家電業界は当然のことながら小型動力炉の生産を早めに認めて欲しいと言っている。

 経❆産業省は苦肉の策として、公聴会を開催し、当の坂崎を公聴会に呼びだして矢面に立たせたのである。


 経❆産業省のエネルギー部門課長が総合司会をし、大勢の関係者が集まる中で、ひな壇に上げた代表者からの意見を述べさせた。

 最後に坂崎が指名された。


「私は単なる製造業者ですから、政府の方針に口を挟む者ではございません。

 その意味では私の意見は白紙同然でございます。

 ただ、今各業界の代表者の方々のご意見をお聞きした限りにおいての意見を申し上げます。

 先ずは、電力業界の御意見ですが、要は電力業界存続のために販売を制限しろと仰る。

 電力業界に確かに多くの人員が雇用されていることは確かですし、私どもの製作所でそれら全ての人員を新たに雇うこともできません。

 ですから雇用の場としての電力業界の重要性及びその立場は重々承知しております。

 さりながら、これが、国内では無く国外からの圧力だった場合でもなおかつ同じことを言われるのか電力業界の方にお聞きしたい。

 すなわち、アムリカ国、または❆Uどちらでも宜しいが、私どもが製作する予定の動力炉と殆ど同じ性能を有する小型動力炉を開発した場合、それらを設置した家電製品、或いは、工場用の小型動力炉を輸入するなと仰るのかどうかそれを御伺いしたい。」


 電力業界代表山脇は、質問されて困惑した。

 外国で生産された物を輸入制限することはGUTTで一般的には禁止されている。


 なおかつ国民生活にとって有益である物の輸入を禁止するなど電力業界が袋叩きに会うだろう。


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