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先駆者 ~ 天翔けるYAMATO-Ⅲ  作者: サクラ近衛将監
第三章 地上にて
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3ー13 坂崎家の爺様と婆様?

「なんだか本当はすごい話なのに、誠一さんは隣に空き巣が入ったようだよみたいに、随分と簡単に言うけれど、もし私が狙われていたら、先ず間違いなく今頃は棺桶に入っているわね。

 長距離からの狙撃に、リモコン操縦の爆弾が空を飛んでくるなんて、首相だって危ないのじゃない?

 日本の警察じゃ防ぎようが無いもの。」


「まぁ、出来ないとは言わないけれど、ひどく難しいだろうね。

 警察は当てにならないから、自分達で自衛策を講じている。」


「自衛ったって、何だか装備がいっぱいあるこの家ならともかく、宇部広(うべひろ)に行くときは車で行ったじゃないですか。

 車が走行中にあのリモコン機に狙われたら先ず逃げられないわ。

 限度があるのじゃないですか?」


「まあね、でもあの車は大丈夫だよ。

 運輸局には内緒で改造してある。

 傍目には普通の自動車だけれど、構造材は全部エルニット鋼材に替えている。

 エンジン部分もそうだし、ガラスも普通のガラスじゃない。

 実はあれはチタンでできている。

 分子を綺麗に並び替えてやったから光が透過するんだ。

 チタンは元々固いのだけれど、分子構造を整列させたことによって余計に頑丈になった。

 だから戦車が仮に70キロの速度でぶつかって来ても、ガラスは勿論、車には傷一つ着かないはずだ。

 一応計算上は戦艦大和の主砲弾が直接当たってもガラスは割れないし、車体も大丈夫のはずだ。

 原爆が真上で爆発しても車体は壊れないよ。

 もし疑うなら、後でやすりとかガラス切りで疵をつけてごらん。

 塗膜にでも傷がつけられたら、新車を買ってあげるよ。」


「本当に?」


 誠一は頷いた。


「それに車体をエルニットに替えたので、車体重量が随分軽くなったんでね。

 余分にいろんな装備をつけている。

 重力制御装置をつけているから、仮に車が百メートルの断崖から岩場に墜落しても搭乗者にはぶつかった衝撃が感じられないはずだから、怪我ひとつないだろう。

 尤も、そんなことになれば乗っている人は目が回るかもしれないけれどね。

 車外の映像がぐるぐる回るようなものなんだけれど、人間の眼はそれに誤魔化される。

 それに重力推進装置も付いているから空も飛べる。

 但し、翼が無いし、ジョグとボタンで操作するしかないから、慣れるまではちょっと危ないかもね。

 車じゃなく、よその人に迷惑をかけるかもしれないな。

 まぁ、変な奴に追いかけられたり襲われたりしたときは、車に逃げ込んでしまえば絶対に手が出せないはずだから覚えておいて。

 通信機もそう見えない形でセットしてある。

 家の車、三台は全部その仕様になっている。

 それでも重量が足りないから、床の空所には鉛の板がかなり張ってあるんだ。

 一応、本来の車体重量に合わせてあると言うわけだ。」


「なんだか、びっくりするような話ばかりね。

 でも、他に脅威になりそうなところもあるのですか?」


「まぁね、四面楚歌と言っておいた方がいいかもね。

 国内企業は産業スパイを早々と動かし始めている。

 まだ、実態もないから探りようもないだろうけれど、このもみじ台団地の空きが6戸ほどあるんだけれど、ここ二年以上話が無かったのに、急にその6区画が売れたようだよ。

 電気製品関係の会社2社、❆ヨタと日❆重工、J❆Eと内❆安全保障室にそれぞれ関わりのある人だ。

 内❆安全保障室を除いては、全部産業スパイだから気をつけてね。

 プレハブ住宅だと1カ月で出来てしまう。

 冬場の住宅建設は避けるはずなんだけれど、多分6戸とも急ぐんだろうね。

 それに出遅れてはいるけれど、外資系はその準備に余念がないよ。

 日本は特殊だからね。

 駐在する者の養成から始めなければならないから時間がかかるだろうね。

 次に政府だけれど、中華国は余り心配いらない。

 面子を潰されたならば、騒ぐけれど今回はそんなことも無いから実力行使までは行かないだろう。

 今のところは情報収集に専念しているね。

 アラブはわからないな。

 懐柔の手段が無いとなれば、実力行使に出てくるかもしれない。

 自爆テロでね。

 ロッシーアも闇組織が沢山あるからね、シュロビニアさんが思案中のようだ。

 ❆Uもアフ❆カは自分の庭先と思っているから、その辺で食いついて来るかも知れない。

 諜報機関という得体の知れない集団が何処にでもいるからねぇ。

 アフ❆カ諸国も実は危ない。

 (ねた)みが生じると部族間の抗争が始まる。

 それを裏で操っているのが西欧各国の政府と経済界だ。

 そんなことをするのは、ほんの一握りなんだけれど・・・。

 おっと、連絡が入ったみたいだね。」


 誠一が機械のボタンを押すと、音声が流れ始めた。

 英語である。


 かなり、訛りがきつい上に早い。

 嘉子には半分ほどしか聞き取れなかった。


 それでも作戦は中止しろという声とラジャーということはわかったし、マイクと言う人の名や、大統領が関わっていることはわかった。

 音声が切れると誠一が言った。


「どうやら、さっきの連中にはお上からお達しが届いたようだ。

 これで当分ウチに悪さはしないだろう。

 監視モード終了、居間に行って、お茶にしよう。」


 誠一はそう言って立ち上がった。

 誠一の後をついて居間へ行くと、坂崎夫妻がお茶を飲んでいた。


「オヤジさん、例の奴らには上の方からお達しが届いたみたい。

 だから、これで終わりだと思う。」


「そうか、C7の方も信管を外しておいたから一応は大丈夫だ。

 それとさっき、由紀から電話があったそうだ。

 子供を連れて、三日後に仁十久(じんとく)に来ると言っている。

 旦那も一緒に来るそうだ。

 ついでに爺さま達も一緒に来るらしいぞ。」


「へぇ、御爺ちゃん達もですか。

 これは賑やかになりますね。」


「ああ、空き部屋が無くなるな。」


「あのぉ、私が一部屋占拠していますけれど空けましょうか?」


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