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先駆者 ~ 天翔けるYAMATO-Ⅲ  作者: サクラ近衛将監
第三章 地上にて
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3ー12 裏の話

 それから5つ数える間もなく、模型のような小型飛行機は坂崎邸の間近に迫ってきた。

 だが、その直後に小型飛行機の動きが止まった。


 坂崎邸の眼と鼻の先で空中に静止しているのである。

 画面に映っている男たちの動きが、急に慌ただしくなった。


 5秒も経たないうちに、男たちは車にダッシュし、飛び乗って車が走りだした。

 方向は北に向けている。


「どうやら❄浅牧場から沙法呂(さほろ)に抜けて❆8号線に出るつもりでしょう。

 警察には?」


「無駄だからやめておきなさい。

 捕まる頃には、無線操縦装置も処分しているだろう。

 奴らは何の証拠も残さんよ。」


「でしょうね。

 それにしてもやり方が不細工ですね。

 B級のスパイ映画ですよ。」


「もうひと組の方はバックアップチームだろうが・・・。

 おとなしく帰るかな?」


「あ、そっちも動き始めましたね。

 Bチームの方は南に向かって行きそうですね。

 多分、斗多寡(とたか)峠経由でしょう。

 取りあえず、今日のところは諦めたようですね。

 これでホワイトハウスからの連絡が間に合えば、明日以降は大丈夫でしょうが、・・・。

 大統領は動き出しそうですか?」


「ああ、あれだけ脅されて動かなかったら馬鹿だ。

 自分の首と大国のメンツにかけても、動かざるを得んだろう。

 例の補佐官は失職だな。

 二度と表舞台に立つことはできないだろう。

 問題はCIA崩れの非合法部隊(イリーガルズ)だが、性懲(しょうこ)りもなく居残るようなら、新東京に行く際に追放処分を言い渡して来よう。

 ああ、それと、RTを操作して置き土産を屋根裏部屋の窓まで誘導してくれ。

 わしが受け取って信管を抜いておく。」


「何なら僕がしますけれど?」


「いや、必要ない。

 銃撃戦でもあるかなと覚悟していたんだが、どうやら期待外れだったようだな。」


 全く浮世離れした人達だと思いながら、嘉子は尋ねた。


「一体、何があったのですか?」


 誠一と坂崎は顔を見合せながら頷いた。

 坂崎は部屋を出て行き、誠一が嘉子を椅子に座らせて話しだす。


「うーん、何処から話したらいいのかな。

 まず、ある一家が途方もない偉業を成し遂げた。

 で、その偉業の成果を成し遂げることになった技術は色々な産業に利用できるものだ。

 ここまでは十分にわかるよね。

 その偉業を人類の叡智と言って讃える人もいれば、あれはイカサマだと公然と罵る人もいる。

 その技術を何とか利用したいと考える人物や企業も多いだろう。

 だが、それを内心快く思わない連中も多数いるんだ。

 一つはアラブを中心とした石油産出国。

 彼らの牙城が崩壊しかけている。

 無論、これまでに掻き集めた大金で今後百年は王族のような一握りの人たちは優雅な暮らしを遅れるだろう。

 だが、それも長続きはしない。

 少なくともあと30年は持ち堪えると思っていたのに終焉(しゅうえん)が早まってしまった。

 彼らは、石油が乏しくなるに従って値を釣り上げようと考えていた。

 3年後に1バレル150ドル、更に3年後には200ドルを考えていた。

 経済的な原理から言えば、300ドルまではあげられるが、それ以上上げると返って収益は減ることになると計算していた。

 現状維持を図るにはどうすべきか。

 ある人はその存続を図るために、非合法な手段を講じてもそれを防ごうとする。

 敵対する技術を持っている者を抹殺し、あるいは事業そのものの邪魔をする。

 場合によってはその技術を驚くほどの大金を積んで買い取っても良いと考えてる。

 彼らはどの方法がいいか思案中だ。

 一方で少し疑心暗鬼でもあるんだ。

 これは本当のことなのかとね。

 だが、国際宇宙ステーションからの報告で間違いなく本物だと思っているところもある。

 アムリカ国は少なくともそう信じている。

 そうして、アムリカ国がトップでいなくてはならないと考える過激な連中が、日本に潜伏中の非合法組織を動かして、オヤジの暗殺をたくらんだ。

 オヤジを消せば、若い息子の方はなんとでもなると考えたのだろうな。

 失敗すれば、次の手として女を送り込む予定だった。

 スーパーモデル級の女の子をね。

 まぁ、そんなのには引っかからないつもりではいるけれど、こればかりはなってみないとわからない部分もある。

 何せ、僕は女性に免疫が無い。

 あるいは手練手管を尽くされればいちころかもね。」


 嘉子が嫌な顔をすると、誠一は、冗談、冗談と慌てて否定する。

 その仕草が可愛くて嘉子は思わず微笑んでしまった。


「まぁ、誠一さんの女性免疫はともかく、話の続きは?」


「ああ、大統領には知らせず、マイク・レスターという補佐官が勝手に動いた。

 日本で言えば右翼の中でも極端な右翼の思想を持っているようだ。

 どうしてあんな男が大統領の側近になれたのかは分からないが、確かに頭はいい。

 学問では無くて、謀略に長けている。

 戦国時代に生まれていれば一流の軍師になれただろうが、一方で頭が固いし、頑固なんだ。

 だから大統領に逆らってまで勝手に動いた。

 その指示ルートは既に分かっているから、いつでも暴こうと思えばできる。

 そうなったら今の大統領は()たないだろうね。

 大変なスキャンダルになる。

 僕らは大統領が関与していないことを知っているけれど、普通の人はそうじゃない。

 ホワイトハウスの中から指令が出たんだ。

 当然に大統領も一枚噛んでいると思うだろう。

 だから、この一件は表には出さない。

 別にアムリカ国の大統領に恩義があるわけじゃないけれど、他人様(ひとさま)の内輪をかき乱しても何もならない。

 むしろ政情不穏が経済や世界的な混乱をきたすこともある。

 残念ながら、物理現象は予測できても人間の心理は先が読めない。

 特に群集心理は怖い。

 間違っていようが走り出すとなかなか止まらないからねぇ。

 だから、オヤジさんは大統領を脅して内輪で止めさせようとしたんだ。

 大統領が迅速に動いていれば、そろそろ、どこかのルートから中止の明確な命令がているだろう。」


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