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先駆者 ~ 天翔けるYAMATO-Ⅲ  作者: サクラ近衛将監
第三章 地上にて
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3ー10 記者会見と襲撃?

2時間の会見が始まった。

日本語の質問が当然多いのだが、外国人のリポーターもいて、英語、ロッシーア語、中華国語など多彩である。


無論、質問した記者以外質問もそれに対する回答もわからない者が多いので、坂崎が簡単に日本語と英語で説明をしている。

そうした会見だからこそ中々に進まない。


それでも多くの質問に答え、最後に坂崎が言った。


「残念ですが、時間が参りました。

私は、貴方がたに給料をいただいているわけではないですし、皆さんに説明責任があるわけでもないと思っています。

従って、これ以上私の私的な時間を拘束することはやめていただきたい。

貴方がたに必要な情報は十分に流しているはずです。

一切の取材も拒否できる立場にいますが敢えてその権利を行使せずに皆さんに多くの情報を提供してきたつもりです。

今後も、記者会見を開いて発表することがあるかと思いますが、個別の取材については全てお断りしますので念のため申し上げておきます。

それでは時間になりましたので本日の記者会見を終了します。」


会見場は騒然となったが、坂崎は悠々と会見場を後にした。

坂崎一家はここで宿泊する予定であるが、嘉子は、その中には入ってはいない。


一家と別れて、ホテルの外でタクシーを拾い、NFK支局に向かった。

支局で正式に辞職願を古谷に渡し、自分の私物を段ボールに詰めて、支局を後にしたのは午後1時過ぎである。


タクシーでアパートに乗り付け、大家さんに事情を話していずれアパートを出ることを告げた。

取りあえず荷物の行き場所がはっきりするまでは、家賃を払うのでそのまま置いて欲しいこと、今日はここに泊る予定だが明日以降は暫くアパートに戻ることは無いだろうと伝えた。


大家さんは人懐こい人で、テレビに映った嘉子を見てびっくりしたことを話してくれ、同時に別れを惜しんでくれた。

嘉子は、それから荷物整理を始め、当座持って行くものを選別した。


引っ越し業者に頼んで、明日には幾つかの持って行くものを出しておかねばならないのだ。

主なものは着るものであり、日常使うものである。


布団や家具を持ってくる必要はないと坂崎から言われている。

冷蔵庫の中身も処分しなければならない。


夕刻までかかって漸く整理をした嘉子である。

携帯に電話がかかってきた。


知らない番号であるが、一応出てみると誠一であった。

夕食がまだなら一緒にどうかと誘ってくれたのである。


概ね整理がついたところだったので、嘉子はその招待を受けることにした。

だが、衣装を着替えねばならなかった。


あれこれ考えた末に、お気に入りのワンピースに決めた。

タクシーでホテルに着いた時間は、約束の午後7時に後5分であった。


本人はすっかり忘れていたが、嘉子の23歳の誕生日であり、そのお祝いをしてくれたのである。

大学に入ってからは一度も誕生祝いなどなかったので思わず涙ぐんでしまった。


洋食のフルコースを満喫し、色々な会話もしたが、できるだけYAMATO-Ⅲの話は避けるようにとの暗黙の了解があった。

自然と自分の話、家族の話になる。


誠一からも色々な話が聞けた。

楽しいひと時を終えて、ホテルを出る前に誠一がロビー近くまで送ってくれた。


「本当は、アパートまで送るのが礼儀だろうけれど、下手に注目を引くのもまずいだろう。

君の顔はテレビで売れているからね。

ここでサヨナラする。

また明日、仁十久で会おう。」


嘉子は精一杯の笑顔でサヨナラを言った。

再度タクシーでアパートに戻ったが、部屋は冷え冷えとしていて味気なかった。


戸締りをして早々と眠りに着いた嘉子である。

翌朝近くの駐車場から車を出してきた。


宇部広に来てから購入した中古のオー❆Ⅱである。

後ろの座席を倒せばかなりの荷物は入る。


目いっぱい詰め込んで、残った荷物は運送業者に頼んだ。

午前10時には運送業者が荷物を取りに来た。


小口貨物なので配送は明日になると言うことである。

嘉子は、配送業者を見送って、アパートの戸締りを確認し、オー❆Ⅱで出発した。


嘉子の新たな門出である。

だが、その途中FMニュースで思わぬ情報が耳に入った。


朝9時頃東急インから出た坂崎親子が銃で狙撃されたと言うのである。

幸い銃弾は逸れて、誰にも当たらなかったが、東急インの玄関のガラスドアが割れたと言う。


銃声は連続して3発、誰も怪我をしなかったのが不思議なくらいである。

拳銃では無く、ライフルのような小銃の類らしい。


本当に無事なのかどうか嘉子の脳裏に不安がよぎった。

その後、どうやって坂崎の家の近くまでやってきたのかよく覚えていないが、とにかく嘉子が団地まで辿りついた。


だがそこで、検問に掴まった。

警察が団地内に入る車両の一台ずつを確認しているのである。


お役所仕事の悪いところで、こちらが何を言っても聞いてくれず、荷物を全部降ろして、路上で一々中身を確認されてしまった。

それでも何とか通してもらって、坂崎の家の前に辿りつくと、周囲に警官がいっぱいいる。


見えるだけでも5人はおり、すぐに嘉子の車が止められた。

坂崎の家に行くと言うと確認するから待てと言う。


間もなく、誠一が小走りに近寄ってきた。


「間違いありません。

うちで働いていただく篠塚さんです。」


誠一がそう証言して初めて家の敷地に入ることができた。


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