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先駆者 ~ 天翔けるYAMATO-Ⅲ  作者: サクラ近衛将監
第二章 飛翔
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2-6 YAMATO-Ⅲ

「安全保障って、国家機密でも絡んでいますか?」


「今のところ、国は絡んではいないが、政府が知れば機密にしたがる事項が山ほどあるだろうね。

 そう言う(たぐい)は話すことを遠慮した方がいいと言うことさ。」


「事前に質問を言いましょうか?」


「いや、その必要はないよ。

 ぶっつけ本番で構わない。

 但し、質問する方は質問の意味を良く考えてから言うようにした方がいいでしょうな。

 篠崎さん、30分という短い時間だけれどできるね。

 足りなければまた別の機会にすればいいだろう。」


「はい、多分。

 少なくとも10回は目を通しましたから。」


「放送前に確認しておきたいことはあるかね?」


「昨夜の11時のニュースで取りあえずの速報が流れました。

 制限されていなかったので実名を報道しましたが差し支えなかったでしょうか?」


「ああ、隠したところでどうせ知れることだから構わないヨ。

 娘の方も暫く雲隠れしているはずだから。」


「後10分足らずになりましたが、離床した場所を申し上げても構いませんか?

 場合によっては空き巣や、物好きな連中が押し掛けることになりますが・・・。」


「それも予想の範囲内だよ。

 仮に、アムリカ国とロッシーアが総がかりでかかってもあそこには一歩も入れないはずだから心配ない。

 ただ、もみじ台の家の方はそう厳重では無いから、出来れば仁十久(じんとく)警察の方に警備面で配慮してもらいたいと口添えしてもらった方がいいかもしれんな。

 古谷君の判断に任せるよ。

 それに念のために言っておくと、家にも離陸場所にも大事な物は置いていない。」


 そうこうしているうちに5分前となり、放送時間が迫った。

 スタッフ全員が、東京との連絡設定を確認し、映像を流し始めた。


 篠崎が、臨時の報道席に座り、カメラが既に篠崎を追っている。

 篠崎の画像が最初で、すぐに坂崎の映像に切り替わる予定である。


 最初は新東京の本局がメインであり、島田祥子が篠崎にバトンタッチすることになる。

 午前8時14分50秒、島田祥子がそれまでのニュースを終えて一息ついてから言った。


「さて、昨夜午後11時のニュースでお伝えした驚きの映像の続報が有ります。

 現在、宇部広(うべひろ)支局とその宇宙船が映像でつながっています。

 その模様を宇部広支局の篠崎さんから伝えてもらいます。

 篠崎さーん。

 どうぞ、お願いします。」


 瞬時に宇部広支局の映像が全国に流れた。


「はい、宇部広支局の篠崎です。

 ただ今、こちらでは、坂崎さんと映像でつながっております。

 昨夜、聞けなかったことを色々とお聞きしたいと存じますが、30分後には地球軌道上を周回中の国際宇宙ステーションに接近するための作業に従事するとのことで、それ以後は映像のみの中継になろうかと存じます。

 それまでの間、こちらで用意いたしました質問に答えていただけることになっております。

 暫くの間、やり取りをお聞きください。

 坂崎さーん。」


 映像が切り替わった。


「はい、坂崎です。」


「取材に応じていただいて誠にありがとうございます。

 最初に、まず、坂崎さんご一家が搭乗されていると言う宇宙船ですが、名前は有るのでしょうか?」


「はい、一応YAMATO-Ⅲという名をつけています。

 アルファベットでYAMATO、ハイフォン、ローマ数字の3です。」


「最後のⅢと言うのは3号機の意味合いでしょうか?」


「1号機、2号機が有るわけではありませんが、大戦中の戦艦大和が一番目、次に今は来宇部(くうべ)の海洋博物館に展示されているはずですけれど、電磁誘導試験船がYAMATO-Ⅱで二番目、それで三番目をもじっています。

 尤も、他にもヤマトという船名をつけている船はたくさんあるかもしれませんね。」


「私は、昨晩そのヤマトが斗夕峠近傍から離陸する様子をごく間近で拝見させていただきましたが、非常に巨大な宇宙船と言う印象を受けました。

 大きさを教えていただけるでしょうか。」


「船体の全長は約112.7m、幅約32.9m、高さ約14.2mですね。

 全体として艦橋のない潜水艦に似たような形状ですが、直方体に近い形状でやや丸みを帯びていると考えていただければいいでしょう。

 後で余裕のあるときに三面図をお見せしますが、内容積で言えば8千立方メートルほどの大きさが有りますので、5千トンから7千トンの船が空を飛んでいると思っていただければいいでしょう。

 海上自衛隊のうずしお型潜水艦2隻の艦橋部分を取り除き、横並びにして包装紙で包んだ姿をイメージしていただければ似ているかもしれません。」


「なるほど、数字を聞いただけでもかなり大きいと言う感じがしますが、高さからすると4階建てビルに相当するのでしょうか。」


「そうですね、そのぐらいにはなります。」


「宇宙船の離陸のイメージと言うのは、NAUA(ノア)のディスカバリーのように轟音と猛烈な噴煙が付きまとうのですが、離陸の際には虫の音が聞こえるほど全く音がしませんでした。

 飛行船でも相応のエンジン音が聞こえるかと思います。

 少なくともロケットエンジンは使われていないと思われるのですが、どのようなエンジンを使われているのでしょうか。」


「そうですね。

 理屈はともかく、重力を制御するエンジンがあります。

 そのエンジンを使って離陸したと言うことです。」


「あ、そう言えば、ヤマトは、今現在宇宙空間にいるのでしょうか。」


「はい、地上400キロを周回飛行しながら国際宇宙ステーションに近づいている最中です。」


       ◇◇ 続く ◇◇


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