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迷ったら右

「逃走するしかねぇ!」を書き換えました。多少ストーリーに影響があります。

「そんなことが…」


 歩き続けて数十分、テルが捕まっていた経緯を聞いていた。


「はい…」

「それはつらかったでしょうね…家族とかはどうしたんですか?」

「わかりません。私が捕まった時に王国軍が来たのでたぶん無事だと思います」

「ふむ、帝国軍が引いたのは幸か不幸か、無事だといいですね」

「はい。ところでサトルさんはなぜあんな森の中にいたんですか?」

「あー、なかなか説明しづらいんですけど、どうやら異世界から来たらしいんですよ」

「異世界?」

「はい。地球の日本という国で大学生をやっていて、ある研究所の点検をしていたんですが、気づいたらこの世界に来ていたんです。」

「チキュウ…見たことない服を着てますけど、本当に異世界から?」

「はい。そうだ、これを見てください」


 と言って、スマホをリュックから出して渡す。


「これは?」


 スマホを知らない。この世界の技術レベルはまだここまで来てないのか、それともテルが知らないだけか。しかし、これは自慢できる!


「ふっふっふ…これはスマートフォンと言って電話やゲーム、なんでもできるんですよ!」

「デンワ…ゲーム?」

「見ててください!」


 スマホを受け取り電源ボタンを押す。

 しかし、画面はつかない。


「あれ?電源落ちてるのかな?」


 今度は電源ボタンを長押ししてみる。

 しかし、画面はつかない。


「…バッテリーが尽きた…神よなぜ見捨てたのです…」

「?」


 そんな馬鹿な…娯楽が…


「いや、モバイルバッテリーがある!」


 リュックからモバイルバッテリーを出してスマホをつなぐ。すると画面には充電マークが表示された。


「わっなにか動いてる!」

「ああ、モバイルバッテリーは尽きてなかった…神は見捨てなかった…」

「これは?」

「ちょっと待ってください」


 今度こそ電源を!ON!


「これは?絵?」

「ふっふっふ、これはとある有名なアニメキャラクターの公式壁紙です!」


 いやーこれを見てると癒されるね!異世界に来て心細い心情を癒してくれる!


「さらにこんなこともできるんですよ!」


 と言ってとある有名なゲームを起動する。


『意義あり!』

「わっ喋った!」

「これがゲームです!」


 最近これで遊んでなかったなー。あっそうだ。一番驚かれそうなやつをやってみるか。


「はい、こっち向いてー」

「へっ?」

「はいチーズ」


 パシャ!


「きゃっ!な、何を?」

「ささ、これをご覧ください!」

「これは、私?」

「これは写真と言って風景を保存することができるんです!」

「すごい!こんなきれいな絵が一瞬でできるなんて!」


 絵ではないけどね。しかし、テルの捕まった話とこの反応から、この世界の発展段階はどのくらいなんだろうか。少なくとも地球現代レベルではないな。


「あっ分かれ道ですね。どっちに進みますか?」


 やっと道に変化が現れた。あまりにも風景に変化がなさ過ぎて歩くのくじけそうになったぞ。もう足が棒のようだよ。

 右と左に踏み固められた道が伸びている。


「うーん。どっちに進むと何があるとかは…」

「すみません…」

「ですよね…それじゃあ右に行ってみますか。その前に休憩しませんか?」

「そうですね。さすがに休憩したいです」




 /****************************/




 あの休憩のあと、右に曲がってずっと歩き続けている。風景に変化がほとんどなく、あったとしても地面の凸凹ぐらいだった。

 一時間以上歩いていると思われ、すでに足が瀕死状態、体力はマイナス値になっているのではないかというぐらい疲れ果てた。太陽は真上にあり、昼間であることがわかる。


「て、テルさんは元気ですね...」

「まあ、これぐらいは平気ですから」


 若者は強いね…自分も若者だけど。


「でも、一昨日から空腹で腹が痛いのも原因だよね...」


 もう、異世界に来てからも米粒一つ口にしてない。そろそろ疲労困憊で倒れそうだ。


「なにか食べますか?」

「何か持ってるんですか?」


 女神だ!女神がいる!


「いえ、この辺に生えてる野草です」

「えっと、大丈夫なの?」

「はい、いつも食べてるものと一緒なので大丈夫だと思います」


 本当に大丈夫なのかなぁ。衛生的に大丈夫なのか?っていうかいつも食べてるの!?いや、考えてみれば普通なのか。


「それじゃあ、野草の見分けがつかないのでお願いできますか?」

「はい、大丈夫ですよ」


 そう言ってテルは道から外れて野草を採る。いやーそれにしても草原の中、少女がしゃがんでいる光景は気持ちを穏やかにしてくれる。その上、テルの服の下から生えている白銀の立派な尻尾がわさわさと楽しそうに振られているのは心に来るものがあるな。…ん?尻尾?


「あの、テルさん、その尻尾は?」

「え?あ!」


 テルは慌てて尻尾を隠す。

 しばらく沈黙が場を支配する。


「あ、あなたも私を捕まえますか?」


 テルが口を開く。捕まえるか否か。そんなもの決まっている。


「そんなことしませんよ。そんなことしたら天罰が当たります。」


 天罰どころではないが。そもそも拉致とか人のやることではない。


「もしかして、捕まっていたのは尻尾があるから?」

「いえ、捕まったのはさっき話した通りです。実は捕まった後、獣人族は高く売れる、もっと欲しかったとか言われて…」


 なるほど、この世界には獣人族というのがいるのか。


「獣人族だからと言ってそんなことはしません。むしろめっちゃ守ります!」


 そう、ケモッ娘は神聖にして侵すべからず。ケモッ娘は世界の宝、之を崇めなければならない。


「それならよかったです。捕まっている間優しくしてもらったり、馬車から連れ出してもらったり、サトルさんには感謝しかないです」


 テルはそう言って、頭に手を伸ばし布を外す。白銀の髪が現れる。動物の耳が頭についてるのが見て取れる。わあ、立派なケモミミ。


「ありがとうございます」


 満面の笑みでテルは言った。その笑顔と耳は悟にクリティカルヒットした!悟は昇天した!


「サトルさん!?大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です…ちょっとこの世に満足しそうになっただけですから」

「そ、それは大丈夫なんですか!?」


 危うく地面と一体化しそうだったが、間一髪でテルが体を支えてくれた。


「立てますか?」

「はい、大丈夫です。すみません」

「それじゃあご飯にしますか」


 そうだった。空腹で死にそうだったんだ。


「それではいただきます」

インド人を右に


今回は筆が乗った

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