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B級聖女の日常  作者: さん☆のりこ
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セラフィナイト

女の子は光り物が好き(*´ω`*)

 夜が更け月が中天に差し掛かって、詩乃の家の中庭に青い光が落ちている。


この世界の月光はかなり明るい、なんたって大小合わせて月が3っもあるのだから、光も青白いのや黄色っぽいものや・・何気に個性的なのであった。

月明かりを全身に浴びながら、テーブルに広げた<空の魔石>を前に、詩乃は腕組みして考えこんでいた。




『先代の住人さんは魔石の魔力が空になって、魔術具を動かせなくなって不幸にも亡くなってしまった』


詩乃は魔石を手に取り、魔力よ入れと念じてみる・・何も変化はない。


【魔力は人為的に魔石に貯められない】

王宮の魔術師会館に有る個別指導室で、詩乃は下っ端魔術師からそう習っていた。

魔石の中の魔力を使い果たして空になってしまったら、それはもう只の石コロなのだと。


そこで詩乃は魔石は電池みたいなものだと解釈していた、<魔石の中の魔力>は魔術具を動かす<電池の中の電気>な様な物なんだと。


『魔石も石油みたいに、いずれ枯渇したりする心配がのだろうか?』


不安に思ってそう質問したら下っ端魔術師は、その為に我々魔術師が魔力の消費の少ない魔術具の研究開発を進めているのだ、などどと偉そうに答えていたものだが。

・・・省エネですね。

そうですね、どこの世界も考える事は同じなんですね。



それなのに不思議な事に、詩乃がトデリのこの家に落ち着いて<空の魔石>が付いたままになっている魔術具を見て、動くと良いのになぁ・・と、戯れに<光れ>とか、<風呂にお湯を入れろ>とか念じながら触ってみた所・・なんと素直に動いてくれたのだ魔術具が。


『詩乃の魔力が<空の魔石>に充填されて、それで魔術具が動いているんだろうか』


詩乃の中の魔力が減っている感じはしない、もともと魔力が少ないせいなのか、そもそも魔力の減るって感覚が解らない。

王宮にいた偉そうな魔術師でさえ体内の魔力を使い過ぎると倒れてしまう、あまつさえ魔力不足で亡くなると遺体さえ残らずに、すっからかんと消え去ってしまう・・らしいのは、王宮の事件で聞いていた。



 今度は<空の魔石>掌で包み込み、パワーストーンのセラフィナイトになれ!と念じてみる・・すると、手の中がパアッと光ってセラフィナイトに変化した。

本来魔石が違う石に変化する事はあり得ない話なのだが、パワ石を造れる・・これはこの世界で詩乃だけが出来るオンリーワンの力だった。


「自分で造っておいてなんだけど、不思議な事だよねぇ』


詩乃の魔力は貴族査定で<Eランク>、ブッチギリの落ちこぼれだ。

その事実は、召喚した関係者各位に散々ガッカリされたものだったし、貴族達やA級平民である使用人達の嘲笑の的になっていた。

また、聖女様と比べて詩乃のヒヤリングが拙いのも、言葉がトンチキなのも・・個人の魔力量の差と元々の頭の出来の差なのだろうと魔術師長に診断されていた。

返す言葉もございません・・が、悪うございましたね、聖女様と比べられても詩乃だって困るけどね!!


【魔石は魔力を貯めている水桶の様な物、その力の方向を決め実行するのは魔術師だ。魔術師が持つ個人のスキルによって、魔力を使って出来る事が変わる。その<スキル>を多く持つ者が上級者だ、<スキル>は先天的に備わっているものなので、後天的な努力や経験の蓄積でどうこうなるものではない。その為<スキル>を持つ者は尊ばれ、神の恩寵を授けられた愛されし者と呼ばれている】


なんか下っ端魔術師がゴチャゴチャ説明していたっけなぁ、半分も解らなかった・・だって下を向いてモゾモゾ話すんだもの。


「能書きは良いから、使い方を教えれ?」


どうも、その発言が後の師弟関係?を悪くしたような気がするが。


『だってさぁ、パソコンだってケータイだって、構造も原理も解らなくっても取説さえあれば、みんなソコソコ使ってるしっ!いいじゃん別にそれで』


やる気ななさが顔と態度に出ていたせいか、その後何となくサラッと説明されて自習になった。詩乃が元の世界の便利グッズを懐かしがり、あれこれとリクエストしたせいなのかもしれないが。彼の姿はそれ以来見かけたことは無い。


しょうもないので学習の時間は、自習室に引きこもって自分は何ができるか、できないのか・・実験しながら探っていった。だから詩乃の魔術?は自己流で、脳内教科書はアニメとラノベ、実地訓練は他の使用人の親切系のオジサン達に習った。




燃料切れの<空の魔石>を使い、魔術具を動かせるのも。

<空の魔石>をパワ石に変化させ、その願い事を実行できるのもその自分だけ。

結構便利な奴なのかもしれない・・自分って。

このスキルに名前を付けるとしたら、うぅ~ん他力本願?


「何か不思議なんだよね、この世界のルールを無視してるような気がするけど。

だいたいルールとか知らないし、別に不自由してないからいいけどね。」


・・いちいち考え込んでもしょうもない、王都の連中にバレないようにしないと、碌な事にならない気がするし。

王宮の関係者・魔術師団の誰もが、この詩乃の特異体質を知らなかった。

詩乃本人も解り様もなかったのだから、申告のしようもなかったし、申告するような気も起きなかった。王宮の関係者達とは、その程度の間柄であったのだ。



さてと・・と、気を取り直して<空の魔石>と向き合う。


「奥様は良い人だから、好きなんだよね。

何気に愚痴っぽいから一緒に住みたいとは思わないけどさ、頑張って生きている人は応援しないとね、だってこの世界はなかなかに理不尽なんだもの」


そう言うと詩乃は、裏の壁に生えていたアイビーの葉のような蔓をネックレスに見えるよう輪っか状に広げて置いた。


「これがネックレスの部分」・・見つめながら魔石を数個握り込む。


「色はアクアマリンの薄い青緑」・・頭の中で出来上がりをイメージ。


「真ん中にオーバルブリリアンカットのセラフィナイト」

「アイビーの実は浄化の石クリスタル」

「小さなセラフィナイトのツブツブを散らばせて」


一心に祈る・・奥様の幸せが続きますように、邪悪な者から守られ、心の平安を得られるよう・・セラフィナイトよ導いていけ・・と。


・・・ピカッと手の中が光った。


「できた~~。ぱらぱらっぱら~~セラフィナイトのネックレス~~~」


ド〇エ〇ンかよ!セルフ突っ込みする。

このネタで笑い合える人は異世界の彼方である、寒いし寂しいよね。


「ううん~~~。

奥様に造ったから、子爵様にも造ろうか。

何がいいかな?お世話になっているから、プレゼントしてもいいよね。

胸飾り?ブローチでいいか?何の石がいいかな~タイガーアイで決まり?」



タイガーズアイ・・他人の憎悪や妬み、嫉妬などの邪悪な力を跳ね返す石。

脳筋に子爵様はピッタリだね!

家が改築終了まで、詩乃は子爵様の館に居候していました。

陰険針金執事&能面メイドは天敵です。

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