表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学校で成績優秀生の完璧超人の義妹が俺に隠れて、VTuberとしてネトゲ配信してたんだが  作者: 沢田美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

届けた先にあるもの

 その言葉を口にした瞬間、

 胸の奥を締めつけていた何かが――ぷつりと、ほどけた気がした。


 コメント欄が一気に騒がしくなる。


 『え? え???』

 『家族じゃなくてって……まさかのガチ??』

 『展開が急すぎて心臓やばい』

  『お兄ちゃん反応しろ!!!』


 私は震える手でマイクを握りしめる。

 けれど、それ以上に震えていたのは、自分の心だった。

 部屋の隅。さっきまで気配を消していたお兄ちゃんが、ゆっくりと姿を現した。


「……お前、その……」


 気まずそうに、けれど誤魔化しのない目で、私を見る。

 私は笑うしかなかった。

 だって――こんな告白、普通に言えるわけない。でも、言わなきゃいけなかった。言わずにいたら、きっと後悔する。


「ごめんね、お兄ちゃん。こんな言い方しかできない私で。でも、ずっと言いたかったの」


 『お兄ちゃん出てきた!?』

  『状況やばすぎて草』

 『これ既に家族会議案件』

 『いやむしろ結婚会議だろ』


 配信のコメントが止まらない。

 けれど、もう何も気にならなかった。


 今、私の視界に映っているのは――

 お兄ちゃんだけだ。


「お前……なんで泣いてるんだよ」


 お兄ちゃんが、小さく呟く。

 その声は、怒ってもいない。呆れてもいない。

 ただ、本気で私を心配していた。


「泣くよ……だって、こわかったんだもん。嫌われるの。気持ち悪いって言われるの」


 涙が頬を伝う。

 でも、それでも目を逸らさなかった。

 これが私の本気の想いだから。


「……気持ち悪いわけ、ないだろ」


 お兄ちゃんが、そっと近づいてくる。

 心臓が跳ねる。

 そこにいたのは、

 ずっと大好きだった“優しいお兄ちゃん”そのものだった。


「だってお前……ずっと俺のこと避けてたじゃん。急に距離置かれて……俺、何したのかなって、ずっと悩んでた」


 お兄ちゃんの声も震えていた。


「なのに、お前はそんな理由だったのかよ……」


 私は顔を上げた。

 お兄ちゃんの優しい目が、真っ直ぐに私を捉えている。


「……お兄ちゃん」


「ここじゃ言えないこと、いっぱいあるだろ。配信切ったら……ちゃんと話そう。二人だけで」


 その一言で、胸の奥が温かくなる。


 『お兄ちゃん優しすぎるだろ』

 『これもう付き合ってるやん』

 『配信切った後の方が本番なんだよなぁ』

 『尊死した、ありがとうさすまたさん』


 私は微笑んで、マイクに向き直る。


「みんな……ありがとう。今日は……ここまでにするね」


 静かに、配信終了ボタンを押す。

 モニターの光が消え、

 部屋の中に静寂が戻った。

 残されたのは、

 照明の暖かい光と――

 私を見つめるお兄ちゃんだけ。


「……涼香」


「……なに、お兄ちゃん」


 お兄ちゃんはゆっくりと私に近づき、そして――。


「ちゃんと話そう。全部聞かせてくれ」


 その言葉に、私は小さく頷いた。


 これが、

 “兄妹”という殻を破るための

 最初の夜になる。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

応援が次回更新の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ