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タイトル未定

――――――本当に、良い所にいて助かったよ。ゴブリンの皆。


 その声を聴いて、身長の少し低い生物に視点を下ろすように、胸下にある顔へと視線を向ける。人の形を保ち、耳は長く、鼻がその個体によって出ている。口は少し横に大きい気がするけど、別にそれだけの事。軽い装備や、動きやすい布の服に身を包み、一部を、この言葉を抜き取るように聞き比べると、まるでエルフに聞こえるだろう。

 私が知っているリアさんに聞かれた話では、彼らはエルフより、危険性が高かったはず。それは、その攻撃性。彼らは、この攻撃性を、私は危ぶむだけで他に怖さを感じなかった。


 お互い見比べるように、その容姿を観察する。少し笑っているその顔は怖くはない「こんばんは」あまり刺激しないように、平常心での会話を試みる。

 

「コンバンワ……人間?匂いがチガウ?」


「そうですか?」


 自分の匂いを嗅ぎながら、その会話は攻撃性が高くは感じない。

 流暢な言葉ではないが、聞き取れないという事はなく、その言い方が独特なだけ。匂いの言葉に興味を持つように、少しづつ集まってくるゴブリンの中に、エルドラの姿があった。仲が良いようで、小さいゴブリンに、腕ブランコしながら一緒に歩いてきていた。


「すまない。彼は、エルフの里から来ていて、人間とは違う匂いがするだろう」


「そうカ、それデ」


「助かったよ。君たちがここに少しいる事を、来る時言ってくれたから、お化けから逃げてこれた」


「アレハ、危ないかラ、良かったヨ」


 エルドラさんは、硬くはないその接し方が気に入られているのか、ゴブリンの節目に笑うように、口がニコニコして見える。

 生物観点でいえば、その個体は醜いと聞かされるが、初見で感じれる範囲だと、私はそんなに思えなかった。自然の中で生きている生物は、多種多様な生物がいるが生活している。その中で、人間よりは醜いと言われれば、きっと見慣れないからだと思う。

 確かに、口が横に少し大きくて怖い気もする。言い換えれば、これは感情の起伏を遠くからでも、わかりやすい状態に進化しているとも感じる。

 私に興味があったが、みんなの意見を合わすように「お客さんダ!」簡単な言葉は、復唱しながら慌ただしさと、活気を生み出す。ゴブリンは慌ただしく動きいろんな言葉が聞こえる。


「ネドコ!」「メシ!」バタバタとせわしないゴブリンの姿を見ていると、どこか落ち着く。足が痛みを思い出すように、悲鳴を上げる。ずっと、立つことができそうにない。尻で地面につくように、勢いよく腰を落とす。

 

「はぁ……不思議ですね」


「初めて出る事は私はワクワクしていた。今はどうだ?」


「ワクワクと言うよりは、緊張してます」いつもの癖で、月や夜空を眺めようとするが、うっそうと茂っている森では、空は木間隠(このまがくれ)していてあまり見えなかった。森の中で同じのはずなのに、普段と違う景色は、私には刺激の多い事で、その一日の濃さは、長く感じる。


「知らない場所、知らないことだらけ。特定の事を知っているってだけが、もしかしたら少しの安心感ですかね」


 明るい焚火の元。間近いでゴブリンたちは、色々と動き回りながら、そこら辺の石を集め、小さな何かを創るように形どり始める。隣では腰を下ろし、槍を背もたれにできるように突き刺して、私の横に座るエルドラさん。2人でその光景を見ながら、私の身体にエルドラさんの手が身体に乗る。反射的に子上半身がビクンと動いたが、お互い気にすることはなかった。


「痛いか?」一言おいて、足のほうへとその手は降りてくる。片手で足の上に置くように、しばらくその光景は続く。


「そうですね。初めて長く歩いた事で、慣れてなかったんでしょうね……大変でした」


 リアさんも、一日一回こうして体のどこかに手を当ててくれてたな。こうやって、身体に触れられることは慣れていたはずだけど、いざ知らない人だと身体は驚いた。


「こうしてもらえるのは、リアさんだけだと思ってました」


「そうか……もしかして、これが何か聞かされてなかったりするか?」


「えっと、無いです」


 私の知識幅を確認するように「なるほど」と、何かを理解したように、空いている片腕を動かす。

 てっきりこの撫でられている事は、親しいエルフなりのコミュニケーションの一種だと思っていた。単に相手の身体を手で撫で触れて、。よく周りのエルフもしていたから、始めこそ変だったけど、受け入れていくうちに、疑問がなくなっていた。

 安心してたんだ。


「では、色々知っていくか」そう一言おいて、空いている手の人差し指は、小さな砂の表面を指先をなぞり始める。簡易的な人を描き、それを元になぞりながら、言葉が付いてくる。


「ここに手を当られる人がいる。これが、君の身体。そしてこれが私」


 どうも、絵を見ていると、必要なのは当てられる側のようだ。体の中に色々書き足せそうな人型で、大きな絵が私。何も書くことが無いと言っているような、ただ線のような棒人間で、小さな人がエルドラさん……チビドラさん。自分で思って、少し笑ってしまった。

 

 エルドラさんは不思議そうに見てはいたが、話を続けるために指を動かし始める。

 

「これは治療の一種だ。マナの流れに敏感で、感受性の高いが魔法が使えない人間。そして、一般的なエルフも、この手を当てる行為ができる。今回は、私はこの線の人間」指でトントンと指示し「君は身体にマナが廻ってるという事は知ってるか?」


「自然にそこら辺にあるものだとは、聞いたことがありますけど、身体にあるのは知らないです」


「なら、この真名の流れは身体を教える。私がこうやって手を当てると理解でき、負傷している部分がわかる」


 身体の中に線を増やしながら、血流のような図で説明を続ける。平行するように、手が動き、痛みのある個所、今、一番気にしているところに手が置かれる。


「こういった風に、近づける。後はあ痛みが引くように、歪んでいるマナの流れの部分に、私のマナを少しつたわせて、手でお手伝いをする。手を当て、緩和して、マナが流れるように当続けると」


 少しの時間。言葉を聞きながら、その言葉をイメージして、痛みが引いていくのをその時間で感じ始める感覚は「痛みが和らいだ」不思議なものだった。

 でも、前に当ててもらった事があるような、懐かしい感じもする。

 問題ないように、足首をゆらし、痛みが引いていることを再度認識しお礼を言う。


「ありがとうございます」


「これは回復を促しているだけだから、斬られた傷を瞬時にふさいだり、それ以上の大怪我直せないが、こういった事には役に立つ」手を放し、少しづつ進んでゆく準備に立ちなおし始める。一言入れてから「そうだ、気を付けることとしては、病気には使えないってところだ。だから困ったら薬師のところに行くんだぞ」


 念が推すようにうなずいている。


「薬師?そういえば、エルフの里ではそういった方見たことなかったです」


「考えれる範囲だが、もしかしたら、あの種族。エルフは、そういった部分も長けているのかもな。自然に関しては種族としては凄いものだ。もしかすると、人間ではできない、大怪我とかも、実際は直せるかもしれない。そこが知れない種族だ、本当に」


 立終わり全体が落ち着いた時。隣からぬるっとゴブリンが、私達の身体をつつく。驚き、跳ねるように下がるが、意に介すことはなく「ご飯ダ。できたゾ」と、急かす様に二人の身体を押す。


「マッてル、まってル」


 二人は焚火を中心として、地面の上に置かれた葉に並べられた肉と、木のみを置かれている空いてる場所に座り、ゴブリン達は歌い出す。エルフの里で聞き馴染んでいたのか、その歌も同じように感じる。

 合わせるように、歌を重ねながら、食事を楽しみ始める。



 おおらかなじかんは、食事の音と、会話が良く交わって聞こえていた。よくある食事は、食べやすく席もないから、移動して話をしたいところへ向かう姿。焚火の光は影を強調し、その賑やかな光景を描いていく。

 初めは恐ろしいとばかり思っていたゴブリンという種族。話も普通にでき、不安だった攻撃性も感じない。エルフの里の時のような、おしとやかさは無いものの、温かみは同じように感じる。


「もう少し、怖いイメージがありました」


「ンア?」肉を食らう隣のゴブリンに話しながら謝罪する。


「昔、大人の方に夜はゴブリンがいるから、危ないぞと言われてたので襲ってくるのかと思っていました」


言葉を聞き、笑う声は止まらない。


「ケケケ!!オ前、まだ子供だナ」食事と、会話を続けるように肉かぶりつきながら「ソレハ、大人が子供に言うウソダ」指を刺されさらわれる中「寝ないと、お化けが来るぞとか、ああいったのですか!?」私の疑問は「コドモコドモ」と、揶揄されながらも会話が続く。


 そんな想像もしていなかった会話をしながら、次第に笑いは、森の静けさに消えてゆくように、眠くなった者から、ゴブリンがお手製の、ドーム状の石の家の中で横になる。

 小さく、横になるまでは窮屈だったものは、横になれば安心する。湿度の高いこの森は、穴のある造りは、熱がこもらず寝やすかった。私はローブを体の上にかぶせながら、眠りについた。

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