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タイトル未定

――――――空に咲く花は、多くの美しさをその身から地表へと流している。鱗粉を飛ばすのかわからない、茎の無いその花は、空ただ浮遊している。



「本当に、綺麗……」


 薄暗い朝焼け前の事。日がまだほんのり明かりを出しながらも顔を隠している時間。まだ寒い時間に、私の身体は外廊下から朝日を待っていた。胡坐をかき、だらだらしている時間は、眠気を誘う。

 人に会うために、ここに居る。静けさの中、風は寒さを誇張させ人の声の無い静かな時間を、今の私は心細く感じている。


「はぁ……」


 何をするために足を運んだのか、いまだわからないまま、肩を揺らす。私は自身ができている事を思い返す。出る時に掲げた、甘えないという目標はいまだ成果を見せず。行き過ぎた綺麗事は、意味をなさず。謎の疑問ばかりが増え失速していく日々を思い返すほど、まだ疲れの無い体に、徒労感を思い出す。


「何してるんだろう、本当に」


 風を肌に感じ、この建物の中で私はあたりを見回す。木造の建物を通り抜け、回る影は夜から使われているであろう、火を灯し土道を歩く姿を眺めている。


 暗い中。一人、見慣れた人が明かりを照らしながら砂利道を鳴らす。社の入り口から姿を見せ、土道を通り抜けて何処かへと歩いてゆく。明かりがついている、少し平たい他より少し大きな建物へと入ってゆく。


「あれは、神谷さん?」


 気になり、少し様子を見ていると、明かりは増えるようにその建物から数人の男と、ローブをかぶった人が外へと顔を出す。色々な手荷物をもってゆっくりと、静かな集団は森へと姿を消す。


 白い服を着た彼女は、そのまま建物から背中を出すようにして、誰かと話している。程なく、その場を後にした彼女は、こちらへと帰ってくる。光を灯さない部屋を後ろに、外廊下へ身を出している私に、気付くように小さく上げられた手は軽く振られている。

 手を振りながら、お辞儀をするように返して、他へと視線を向けてゆく。


 次第に村に人の声が増えてゆくように、程よい温もりを感じれる。徐々に太陽は登り朝が告げる。


 何人もの村の人は、歌を口にするように色々とせわしなく動き始める。歩調はあってないけど、誰もが歌っている歌は、一定の音程でどこか同じようにも聞こえる。

 畑で動くもの。水を取りに近くの木に向かう者。あたりの掃除をしながら挨拶する者。いろんな形で動きが見える。必要で当たり前で、貴重な時間。


 次第に建物内部でも、歌が輪唱するように色んな声が聞こえ始める。


「らーらー、らーらー」


 音はあちらこちらから聞こえ、次第に挨拶へ変わってゆく「おはよう御座いま~す」明るい声色は、昨日のように音をたて外廊下を歩いてくる「おはようございます」部屋に入っていく姿を追うように、用意されていく食事へと足を向ける。


「良ければ手伝いましょうか?」


 首で振りながら「いえいえ、私が用意したいので大丈夫です」その動きは手慣れたように大きな入れ物から、小さな木の器へと分けられてゆく。

 分けているのに、二つ皿が多い。私と、神谷さんであれば、一人多い。エルドラさん?


「エルドラさんも、こちらで食べるんですね?」少し悩むように天井を片耳を傾けるように「エルドラは、きっと来ます」たぶん来ると言いたそうないい方は、お互いの信頼感なのだろう。


 二人の準備が整い「いただきます」食事をとり始める。


「そういえば、マナさん。今朝速かったですね。私びっくりしましたよ」


「いえ、たまたま早く起きたので……神谷さんも早かったですね」大きな口でほおばったのか少し手が前に出され、犬のマテをされている「んぁ。そうなんですよ!今日は用事がありましてぇ。急ぎで朝から動きました。へへ」頑張ったように力強い目つきをし、また次々と口に運びながら「そおひえば……はじめ見た時。お化けかと思って二度見しましたよ」


「ああ。手を振ってくれた時ですか?」


「そうです、明かりもつけていないので、幽霊かなとも思っていました」うんうんとうなずく彼女に気になった事を聞いてみる「そういえば、あの四足?の顔だけの幽霊ってなんで追いかけてくるんですか?」私の会話を聞いて、一瞬止まった彼女は「追われたんですか!?」驚いていた。


「はい。エルドラさんが走ってくれて何とか逃げて、その先でゴブリン達に助けられました」


「そうなんだ。エルドラも一応させるはずなのに、なんで逃げたのかしら?……」不思議そうにしながらも「あれは、色々いるんですけど、四足のは良く追っかけてくるみたいですね。特に生物のマナによって見分けてるのか、基本的に見やすい時間に出てくると言われてます」


 見やすい時間?よくわからないけど、お化けだからよるとかだろうか?


「夜とかですか?」首を振り「う~んと、昔は幽霊との境界線があって、その境目が無いから今見えてるのが普通になったって言われてて……あれ?ん??説明するのって難しいですね。へへ」


 笑ってごまかそうとする彼女の声を「おはよう!」エルドラさんが顔を見せる「ここにあるわよ」中に入ってくるエルドラさんに指をさし、場所へ案内し「エルドラ。幽霊からどうしてにげたの?」


「ん。ああ、あの日襲われた話でもしてたのか」納得したように食事をしながら話を進める。


「あの日は、一人なら考えたが、二人だったのもある。無理しなくてもゴブリンの野営地もあったから走ったまでだ」


「あれって、なんで襲ってくるの?」


「生物が持っているマナを感じ取っているんだろう。魔法が使えないものでも、私みたいにマナを蓄えるからそういった豊富に蓄えているものを狙ってマナを吸い取ってると聞くな」


「殺されないの?」疑問の声が止まらない「いや、死ぬぞ。殺されて取られる。前にあったが、エルフと魔法使い、そして人間が死んだ話を聞いたことはないか?」思い出すように手をたたき「あれね!」すかさず話は続けられる。


「あの時。全員殺されていたそうだ。襲われた感じから、マナが多い物がひどかったと聞く」


「確か」顎に指を上げながら「夕方とか暗くなる時で、騒ぎがわかりやすくなった時。この村から助けに行ったのよね……結果は間に合わなかったって話よね?」話を割るようにはっきりとした言葉が通る「間に合った人もいた。だが、死にかけていた。とてもじゃないが、このまま生きてはいけないと言われていた」


「そんな話だっけ?」不思議と思い出そうとする神谷さんのとっていた肉をとり「そうだ」「ちょっとぉ~!!」少し遊んでいる二人を横目で見ていた。


「そうなんですね。あの時、エルドラさんがいたのが運が良かったですね」


「そんなことないさ」


 食事を勧めていくうちに「そうだ。昼から会いに行くぞ」エルドラさんの声が部屋に響く。惚けた私の顔と目があい「マナに用事があるって言ってる人の元に。私の主に会いにゆくぞ」急いで口に残り駆け込むようにし立ち上がり「それまでに村を案内しよう。来てくれマナ」


 私も急いで駆け込みながら準備を始める。


「私も行こうかなぁ~」皿をまとめながら少しこぼす言葉に「奏は、他にすることあるだろ?」お互い不思議そうな顔が見合う「え?」「えって……主にご飯は?」まるでペットのような扱いで、会話が流れてゆく。


「要らないって言ってたの。だから!私は、今暇です!!」


「なら行くとするか」


 三人で建物内の軽い見学をしながら、食器をかたずけに向かう。建物の少し出たところに、水をためた倉庫があり、中には食材と同じように入れられていた。


「広いですね」少しのぞき込む形で、高い屋根を見るように見上げる。少しすくった水を使いながら洗い始める二人を見て、私もまねる。


「この場所はいざって場所でもあって。村の食料をある程度ため込んでいるの」


「腐った物を見つけるのが、案外大変なんだがな」


「マナ。これで拭いたらいいぞ」


 濡れた物を拭くようにと、小さい布が手に渡される「ん?」昨日……見たような布。私の腰に当てられていたものと似ている事に、少し手が止まった。私が目を向けた時「違いますよ!」よんでいたといった言葉がすぐに来る。


「ここはそういった布が多いの。決してそうではないですよ!」

 頷く速度がいつもより早いような気がするが、私はうのみにするように吹き始める。


「ところで、この建物……神社?ですか?」見上げる姿に合わせて二人とも向き直るように集中する「神社ね」「社でもいいぞ」一階だけには見えなくはないけど、それにしては知っている神社の高さより、高い建物のような気がして聞いてみる「高くないですか?」


「これは、護っているものが大きいからだな」護っているもの?私の顔を見て「後でみえるさ」簡単に言葉を切るように、道具をかたずけてゆく。

 簡単に、どこから回るかと二人は相談しながらも、どこか楽しそうにして話している。聞いている内容は、二人の幼少期の話を少し混ぜたもので、それらの中からどこからしていくか迷っているらしい。


「しかたない。まずは出てすぐ!そして順番にいくか」


「そうね!紹介していきましょ!!」


「行くぞ!」と、明るい声を出しながら、二人の後を追うように村の探索が始まった。村は基本的に、農業。道具関係に必要な素材庫とそれに合わせた木工技術、鍛冶屋などの扱っている店。村の中央すぐ近くには、村での守りや狩りなどの行いを中心とした警護団体。小さな家々がまとまっているスペースと別れている。そして一番大きな建物が、この村の中心に建てられており、私が寝泊まりさせてもらっているこの場所。


 どうやら、とても大事にしている建物らしく、修繕のみで長い間使われているとの事。


 社を出て、砂利道が土に代わった時。目の前に見える建物は、今朝がた暗い中神谷さんが訪ねた場所。どれも木で作られてはいるが、大きな入り口に武器や、灯ろうといった外で使うようなものばかりが見受けられる。


「ここが基本的にこの村の盾。この中には騒がしい男が多いから、絡まれたらうるさいのは覚悟するんだぞ」元気よく手加減を忘れた動きは、扉を音をたて横に開く。暗く静かな中には、一人赤い髪のローブを羽織った子供が水を飲んでいた。





――――――お邪魔してるわよ!……あれ?

なんか、頭動かない

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