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10/14

??? プロローグ

――――――昼過ぎだ、僕たちはこの会話をするために、何度もここに足を運んでいる。


 自然がありのままである、この平原には、似つかわしくない建物で、中央に目立つように低い城壁は、弱い己の内面をさらすことを、隠すように拒んでいた。これは、石造りの簡易拠点。城壁上部にある、四方の小塔。小塔の旗竿からは、簡単な装飾の揺らめく旗が、音を響かせる。

 小塔内部は、平原を一望するように、周囲を警戒している。静寂を保つ二色の兵士もまた、旗の様に地面へ影を揺らし、静かに平原の監視者として、交渉の声を聴き流す。


 この拠点内で、ひと際大きな部屋は、この拠点の本来の目的であり、この帝国との交渉のために、造り上げたこの部屋は、お互いの意見を題材に、交渉の幅を幾度となく繰り返している。

 今回も、僕たちは、長机をはさむように、目の前の帝国の皇女と何度目かの交渉をしていた。お互いの席を中心に、左右広がって座るように、秘書や、名立たる将と言った、各官僚の同席をし、話のまとまりを待っている。


 帝国は、自身の内面での勃発的な内乱が起こりすぎてはいるが、その土台が崩れたことはない。現、皇女、威厳と共に今回の場に出席され、対談の場を用意された彼女は、今、僕の前で数回の交渉と共に領土の話を持ち出している。


「もういいかな?幾分、君達にも、意味のある条件だとは思っているが?」


 彼女の条件は僕らの街への永住権の取得、又は、永久的に帝国傘下への加入「その傍らでる問題等を、私たち皇帝がすべて正し、守って見せる」という条件を何度も度合いを変えて交渉をしてきている。

 だが、今回は妙に解せない。軽い口調が目立つ彼女だが、今日はその失言が多く、彼女が乗り気なのは、この交渉を簡単に終わらそうとしている事。まるで、別の事を考え始めている。


「何度も言って申し訳ないが、僕らは君たち帝国へ属することはない。他にも考えれるだろう。何度も言って申し訳ないが、」


「この区間。帝国と貴公らの街の間での交通を強化し、簡易的でもあるが援助しあう形でもいい。そういいたいのだろ?」


 何分同じことでの交渉だ。同じ言葉を出して申し訳ないが、彼女ら帝国は実力主義。確かに実力主義は、時と場合には大事だが、それは正しい国家方針と共にある。彼女らは以前の国家方針は、民の嫌う方針を長年続けていた、国王を襲い。国に対してのクーデターが発生。それを成功させ、新たな秩序国家として帝国を再建した。

 彼女ら帝国の内政は、毎度のことながらそう言った事で政権が変わる。そんな国家の元で、安心した国防を求めるのは、どう考えても意味がない。


「そうだ。こちらの条件では、別に帝国領土から同行してもらおうとも思ってはいない。よりよい関係は築くことはとてもうれしい話ではあるが、それは両者の立場をはっきりさせての事。決してそれは服従の話ではない」


「では、こちらの鉄資源と、その技術者はそちらでは欲しいはず。足りないものが多いいそちらは、こちらの行為をとれるうちに、取るべきだと思わんか?魔法使い?」


「帝国も、我々の魔法を使えるものたちが欲しいのだろ?最近、帝国の者が、こちらの街の周辺でギルドの関係者に偽装して入り込もうとしていることが、発見されている。こちらとしても、そんなことしてまで入ってこようとしている、国をそのまま信じる事は、できはしない」


「交渉はどこまで行っても、難しいか……」


 一度、会話を切りたいと視線を下ろすように、身体の体制を崩す。身体を少し斜めにするように椅子の手すりに、身体を預けるように、目を閉じている。交渉をしていてこんなことは初めてだ。何を思っているのか、芝居の様に、その目はいつも、鋭い目つきで、どこか企んでいそうな笑みを浮かべているのが、彼女だが、やはり変だ。


「そちらが、自身の都合しか見ていないとも見える。本来、交渉基盤として道を築き、お互い交易が安定するだけでもいいはずだ。なのに隠れてすることがある……」足を組みなおす彼女を見つめながら「帝国は、いったい何を欲しがっているのか、今ここで伝えてくれてもいいんだぞ?」僕は、何を隠してるか知りたい。


「いずれ、その答えはわかることもあるさ」


「あくまで、教える気も無いと」


「うーん」と、言いながら、組んでいた両足を、組みなおすように、姿勢を崩しながらも会話をする皇女。僕らの陣営内で、この態度が嫌いなものがいる。今日は、よく姿勢を動かすことで、それは、動き出す。


「オホンッ。前々から、言わせてもらってるがな皇女さん。常々あんたは癪に障る。大将に対してお高く上から言う態度、お互いの交渉場である以上。どうにか考え直してもらいたい……あと、」間を置くように身体を前のめりにし「その足の組み方を、やめろ!」腕を伸ばし足を刺す。


 隣の男は、僕のいつもの護衛役。顔が怖いが、背が高くガタイの良い男。ガイアはどうしても、この交渉場での足組は、気に入らないらしく、毎度このちょっかいをかけるやり取りがどこかで挟まる。


「うるさいぞ、筋肉ダルマ。今日は静かだと思っていたが、脳の無い置物は黙っていろ」


「何だとッ!!!」


 今にも、皇女の足につかみかかろうとしそうな、ガイアの視界に、手をちらつかせ制止させる。苛立ちは落ち着かない顔で、座りはしてくれる。けしてガイアは悪いほうで将を名乗ってはいない。律儀で、細かい。怖い顔からの見てくれや、体格からは想像つきにくいが、悪いやつではない。


「いい子だな」


 皇女が、こうやって挑発して遊んでることで、又、ガイアもまた怒りはじめる。

 いつも以上に、この交渉での彼女の口は目立つ。何度もおこなってきた交渉の中で、こう簡単に物事を進めて終らそうと、誘導する形での口先は、あまりにも怪しいものだった。 


「此方の英雄に、遊びはやめていただきたい」一言いうと、何時もどうり不敵な笑みで僕を見つめながら黙る。仕方ないと思い、一言訂正を上げる。


 毎度の様に、終わりはいつもこの言葉が来る「まぁいいさ」続くように体を起こされ、どうやら今日はここまでの用だ。

 彼女の動きは周りも同調するように、身体を動かし始める。身支度の準備をするように、笛が鳴り始め、帝国兵の帰りの準備が始まる。騒がしく動く音の中「交渉期間は、まだあったな」彼女は僕に向けてきく。


「そうだな。いくつか回数はあるはずだ」


「それまでこの簡易拠点は、自由にするといい。期間までに、もう少し良い条件を聞ける事を私は願っているよ」


「そうだな、()()()に、歩み寄って考えていこう」


 普通に聞くなら、自分のところの官僚に聞けばいい。なぜ僕に聞いたのか。僕が立ち上がり、こちらの皆も動き出す。少しずらしぶつからないようにするためだ。ぶつぶつと足の事で文句も言う者もいれば、ほかのことで疲れたという者もいる。

 続くように動こうと、周りの様子を伺い観察していると、また声が対面からする。


「……知っているか魔法使い」


「まだいたのか?」


「この先、帝国は、ここの領土の秘密を探りたい。エルフの里、お前と言う存在。伝わる伝承。すべてが隠されていることが多すぎる。本当に信用できないのは帝国だろうか?それとも……」


 他にも何かを言いたそうにした彼女は、とっさに口を閉じた。伝えてはいけない事があるのはお互い様だ。彼女の言いたいことは、僕もわかる。この街の近くにある、あの周辺は謎めいている。


 簡単に切り上げるように「また会おう」落とす言葉は、僕らとの、今日の対話を終わりを意味していた。彼女の後姿を見ながら彼女のこれまでの言動を思い返す。


 人間同士、今は僕は争いごとに興味がないが、彼女は違うだろう。


 最近、帝国は獣の皮を着こむように、獣らの皮膚を織り込む形で、装備を新調しつつある。獣は厄介だ。魔法に耐性がある生物、物理系の衝撃に強い生物。あらゆる耐性がある反面、その素材が何を使っているかわからない事には、手を出した時に、五分五分の事で死まで直結することもあるだろう。


 見送り、ただ何をするべきか考えている中で「お疲れ様です。皇女は何を考えているのでしょうか?」秘書の声が聞こえる。身の回りの雑務が下手な僕に代わって、彼女みたいな存在がいる事はありがたい事だ。


「わからない。が、」帝国の言葉を思い出す「時間がないかもしれない。もう少しギルドがまともに機能すると思っていたが、このままでは色々足りない。問題は、早めに何とかするしかないだろうな」


 拠点の常備兵を置いて、僕たちは街へ帰るよう足を動かし始める。


――――――速く、足がかりを作る方法を、探さないといけない。


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