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プロローグ

 大地は、自然とマナを多く抱えながら生きている。


 ある日の願いの眼が、上空から多くの花びらを吹き流れさせた。その景色は常に彩られている。誰にでも関わる事でもなく、その景色を彩るように、常にそれは一定の波長で綺麗な世界を彩っている。



 ここは、四つの山のふもと。山中の真ん中には小さな村があるらしい。それを囲うようにして森が多く生きている。どうやら、幅が六メートル以上の木々は普通で、それらは群生しており、木は大地ができた時から存在しているとの事……本当だろうか?

 正直、私は記憶がなく、それらは言葉を交わし、教えられたことでしか今は伝える事ができない事は歯がゆい事。私はこの森の中で、存在しているこの場所は、今の私の居場所。ただ一人の男であり、記憶の無い人。


 この里はそんなに大きくはない。巨大な大樹を中心として形成されている里は、見晴らしはよくないが、簡単に一周できるほど小さいもので。木々をくりぬいて作られているその里はそう、エルフの隠れ里。


 その一角で、私は住処(すみか)を借りて、今は記憶を戻すために、日々ここで周りの人達を手伝いながらすごしている。


()()()()()()


 森に日差しがやってきた。朝日が出ると同時に、動物や、人の声は、多くの歌声が願いを載せて自然に溶け込むように、光は願いを糧に、日々の始まりを告げる。

 歌は、落ち着いた一定の音で、壁を抜け自然の流れを抜けてゆく。心地よく、何かを落ち着かせているようにも感じる。

 やがて、複数の単調な音は止み、辺り一帯の流れのかわるのを感じる。


「もう。朝ですよね?」


 朝を告げる歌を聞いても尚、正直眠りたいと思っていた。私が、起きていることは、今は、周りの誰にも知られていない。今から寝てしまって、誰が来ても無視してしまえば長く寝れるのかな?と、少し甘えた考えが頭の中を走りはじめる。

 誰もいない、小木をくりぬいたツリーハウスの小部屋で、壁に背中を預けながら寝付けなかったけだるさを振り払おうと深呼吸をし、身体の調子を落ち着かせる。「んん……」小さく声が漏れながら、身体の筋肉を伸ばすように、軽く腕を伸ばして背を広げる。


「はぁ……甘えているってわかってるなら、やめてしまおう」


 素直な自分の気持ちを尊重し、自身の胸の奥にある不安感を逆撫でる。なんだか今日は、無視のできない、謎の不安が胸をざわつかせている。それに合わせて、頭はよく動き続けているようで、一睡もできていない。


「まぁ、人間らしくていいじゃないかな?」


 風が吹いてくる。誰も返事をしない独り言は、風に消され、風の入り口でもある家の出入口は、軽い葉で作られた、ただ垂れているだけのれんのような役割で、入り口を扉として守っている。風を感じやすい扉からは、流れを感じる。人が来ることが何となくわかった。


「おはようございます」


 涼しげな声と同じように、布面積の少ない服がのれんを避けて女性が姿を見せる。女性の容姿は、耳が長く、人と大して変わらない背丈。だが、とても不思議な流れを感じる彼らは、自らをエルフと評している。

 凛とした目があうと、不思議そうな口調で淡々と口を動かしている「暗いですが、いつも以上に暗く感じますね」悪気があるわけでもない、彼女の落ち着いた口調は、何時ものようにこちらの体調を極度に気にしている事が、最近理解できた。

 初めて聞いた時は、とてもこちらの外見的に言われているのかと、慣れないうちは身構えたこともあったけど、いまでは素直で、ぶっきらぼうな部分があるのだと、自分と変わらない人のような感じで受け取れるようになってきた。


「ごめんなさい。今日はあまり寝付けなくて。睡眠がとれてないもので」


 重たい体を、壁からはがすようにゆっくりと起こしながらも、ふと、何となく顔を覗き込んでみる。


「ここにきて、眠れないのは初めてですね。何か変わったことがありました?」


「何もないですよ。よくある、気にしすぎですよ?」


 彼女たちの過剰に過保護が発動しているようで、私は、軽く笑うようにして言い聞かせようとしているが……本当は、今の自分にある謎の不安感を紛らわせるように、言い聞かせていた。

 ここの人達が、何故か体調面での問題には過剰反応をすることが多く、この事に関してよく聞かれる事による、慣れが自分の中で少し嫌いだった。


「そうですか」一言間をおいて、扉を開けるようにし身体をずらし外に出れるように促すようにしながら「お母様が朝ご飯をご一緒にと言われていました」


「なるほど、今日はそれで来たんですね」


 一緒に家から出て、この里の中心。大きな大樹へと足を運ぶため外に出た。

 外であちこちエルフの声が、動物の鳴き声に混じって「おはよう」の声が聞こえる。森の中、自然いっぱいの中でも、人が動きやすいように、ある程度ひらいてある道は、けもの道のようによく踏んでならされてある。

 どうしても自然が多い場所では、植物がそこら辺にある事と、違和感がないようになっており、その習慣でできている、木の中にある家々は、ぱっと見では木そのものだ。

 本当に、ちゃんと中に居住スペースがある事が、外見では入り口を除いて、判断ができないほどの作りの物で、ここに来たときは、間違うことが当たり前の日常だったことは懐かしい。


「ところで、リアさん。お母様は今日もゆっくりされているのですか?」


「基本的に、お母様は安静であることが一番の務めですので」


 聞いてほしい。エルフのお母様が、足を使って歩いている姿をここにきてしばらくなるが、見たことがない。理由があって、呼ばれた時に向かう程度だが、妊婦のようにお腹を案じて、安静にするように横になっている事が多い理由もあり、両足で立った姿は見たことはない。


「そうですよね……。」


 エルフの母と呼ばれる人が待つ、大樹と呼ばれる場所へと近づくにつれて、その大きさで視線は上へと向いてゆく。自然の多い場所で、40メートル以上の木の幅から伸びている。その大樹の強大さにはいつも圧巻される。


「毎回思うのですが。本当にでかいですね」


「ここでは大きく見えるかもしれないけど、他にも大樹は多くあります。外に出た時、良ければ案内しましょう」


「へぇ……それは嬉しい誘いですね。では、約束です。一緒にどこか出かける時には、楽しみにしていますね?」


 大樹への入り口に向けて進んでゆくと、里のほかには見ないほど整備された石の段差が見えてくる。階段を通りながら、大樹入り口の足元が、視界が上がるにつれて少しづつ全貌が見えてくる。


「ふぅ……」


 入り口周辺には、必ず守るように6人のエルフは槍を持ち整列をしている。一息入れて歩き始めないと、この整列を横目にすぎる事は、自分の弱気が、緊張を受ける。

 そんなことは気にすることはなく。何時もどうりに歩き続ける涼しい後ろ姿は、歩みを止める事はなく「さぁ、入りましょう。お母様がお待ちです」っと、優先度をつけているようで、何時ものようにここからは軽い案内がされる。

 本当は彼女なりの気遣いなのだろう。止まれば、私も止まってしまうと。その背中は、置いていくではなく「付いて来て」と、言っているように見える。


 大樹の幅に合わせた大きな入り口をくぐり、その巨大な体はまずはじめに目に入る。信じられないかもしれないが、6メートルほどにもなる女性型のエルフは、大きな大樹の中で日々をすごされている。

 ずっしりと、落ち着いた表情で座られている女性。長い髪は腰ほどまであり、先ほど言った通り歩いている事はみたことはないが、これだけは言える。周りのエルフを上回る威圧感を持ち、薄緑色の優しい目は、とても綺麗だと。


おはようございます――――――

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