人助け
どうもヒトです。新しく物語をつくりました!ぜひ楽しく読んで下さい!
旅が好きだ。新しい出会い、発見、体験、未知の世界が広がっている。何千年も生きてきたが飽きない。日々、新たなものが生まれ変化していく。でも大切なものは変わらない。そんなことを感じるのも不死身なりの旅の楽しみだ。
今日も俺は旅をする。新たなものを求めて。
目的地はエヴァエニスと言う国。聞いた情報によれば、民度はとても良くて、平和な国らしい。小物などの品質がとても良いとも聞いたことがある。そしてパンが絶品らしい·····
すごく楽しみだ。
「まずはパン食って〜いろんな店にもいきたいなぁ。あっ金も稼がないと」
後、三日ほど歩けばエヴァエニスにつく。それまでは干し肉と硬いの寝床で我慢だな·····
「やっと着いた」
エヴァエニスは大国でとても広い壁に覆われている。
「身分を証明するものはありますか?それと背中の武器の確認をさせて頂きます。」
「お願いします」
俺は冒険者証明証と武器を出した。
「ありがとうございます。アルトリウス様ですね。入国しても問題ありません」
「ありがとうございます」
さて、まずは金を稼がないといけない。ほぼ一文無しだからだ。
「とりあえず、ギルド協会にいくか」
着くとかなり人が多く、混雑していた。
とりあえずクエストの張り紙を見に行こう·····と思ったがどうやらそこが混んでいるらしい。
俺は近くのパーティーに尋ねてみた。
「すみません、何かあったんですか?」
するとリーダーらしき人が
「ドラゴンが出たんだ。しかも推定年齢が300の化け物だ。それでギルド協会が緊急クエストを出してこうなったんだ」
「そうなんですね」
300年も生きているとなると冒険者だけではキツイだろう。どれだけ高額でも受けようとは思わないだろう。
「国が討伐すればいいんじゃないですか?」
「今、国と強い冒険者は魔王軍の対応にあたっていてドラゴン討伐どころじゃないんだ」
おまけに国は動けないときた。最悪だな。ドラゴンがくれば周辺の魔物が強くなって、対応が大変になるだろう。
とりあえずクエストを見よう。
張り紙を見る。クエストは凶暴化した魔物の討伐、森の調査など、ドラゴンによる影響で危険なものが多くなっていた。
「ドラゴン討伐を受けてくれるギルドまたはパーティーがあれば至急本受付まで来てください!」
ギルド協会もかなり焦っているようだ。対処しようにも冒険者しかいない。その冒険者も階級が下のものしかいないときた。
楽なクエストを受けようと思ったが·····
ドラゴン討伐のクエストを受けよう。
旅で大切にしていることがある。それは人助けだ。理由は優しさは連鎖するとしっているからだ。優しさは温かくて心地がいい。人はそれを分け与えたくなる。だから優しさは連鎖する。
そうしてら世界は幸せで楽しくなる!だからこれも誰かへの優しさのお裾分けだ。
「すいませ〜ん、クエストを受けたいんですけどいいですか?」
「はい、冒険者を証明できるものとご希望のクエストを教えてください」
俺は冒険者証明証を渡し、ドラゴン討伐のクエストを希望した。
すると、証明証を見た受付嬢が
「えっと·····パーティーの方々はいらっしゃいますか?」
「いえ、パーティーは組んでいません。ソロで受けます」
「は?えぇ····ん?」
うん、最もな反応だ。俺がしていることは自殺行為だ。単独でドラゴンを挑むなんて馬鹿のやること·····。
だがしかし〜、このアルトリウス。単独でドラゴン倒せるぐらい強いのだ!自慢だよ?
まあ、それをどうやって証明するかなんですけど。とりあえずクエスト履歴を見てもらおう。
「すみません、クエスト履歴を見てもらえますか?一応400年は冒険者やってて·····」
「え?よんひゃ·····え?」
ごめんね。驚くよね。まずまずそんな長生きしてるのに会うことないもんね。しかも見た目エルフじゃないし、獣人でもないし、人間でそんな長生きしてるやつ大体お偉いさんだもんね。急にこんな仮面つけたガキみたいなやつにそんなこといわれたらねぇ。
「か·····かしこまりました。少々お待ち下さい!」
受付嬢のお姉さんは見たことないぐらい速い速度で裏に行った。
·····どんなパン食べるか考えておこう。
「お待たせしました。確かに確認できました。
管理長からもクエストの許可がでたのですが·····本当にクエストを受けますか?かなり危険ですし·····せめてパーティーを組むとか?それに·····」
すごく心配しているようだ。まあどれだけ強くても死ぬときは死ぬ。力に酔いしれているようなやつは特にだ。
「大丈夫です。死にませんし、油断もしません。だから安心して下さい。絶対帰ってきます」
安心させるの無理だと思う。だから絶対に死なないと約束し、何とかクエストを受けられることになった。そうして許可書を書き終わり討伐に向かおうとしていると·····
「この度はクエストを受けてくださってありがとうございます!ドラゴン討伐応援していますぞ!」
ハゲたおっさんが出てきた。
「すいません·····あの人が管理長です。本当は許可なんて下りるなんてあり得ないんですけど·····出世のために無理やり許可したんです」
どうりで受付のお姉さんだけだったのか。普通は管理長が許可うんぬんを言いにくるのに。
そして、このギルド管理長·····薄汚く笑ってやがる。俺がドラゴンを倒せば大きな功績になるし、死んだとしても一人でドラゴンに挑んだ馬鹿として処理されるだけ。どちらにせよ、気の良いことではない。なので俺はあいさつだけし逃げるようにギルド協会を後にした。
と、いうわけでドラゴン討伐開始だ。情報によれば5kmほど離れたところにいるとのこと。かなり近くだ。速く終わらせて夜には戻って飯を食いたい。急ごう。
「このあたりだよな」
目撃情報があった場所まできた。とりあえず索敵魔法を使って居場所を突き止める。
「う〜ん。おっ!いた」
少し歩くが開けた場所がありそこにいる。
流石は300年生きたドラゴン。かなり強そうだ。
とりあえず見える位置まで行こう。
拝啓、みなさん。私は今ドラゴンにブレスを吐かれています。原因は明白!ロクに足場を確認しなかったから。すみません、受付のお姉さん·····早速ピンチです。
態勢を立て直すため後方へ下がる。
「ふぅ、やるか」
俺は今から300年生きた命を奪う。その自覚を持ってこいつを殺す。
ドラゴンが咆哮する。それに合わせて魔法を発動した。槍を形成しドラゴンに放つが傷ひとつつかない。なので、少し魔法を変える。
「死の魔法」
今度は大量の槍を形成した。再生できない、回復魔法も使えない折り紙付きだ。
槍を放つと同時にドラゴンもブレスを吐く。今回はかなりの魔力を使いブレスを吐いた。それは命をのせた強力なものだった。あたり一帯を焼け野原になった。
全力で守ったが肉は爛れ呼吸すらままならない状態にまでいった。再生にはかなりてこずった。
爆煙がなくなりようやく周りが見えるようになった。そこには血まみれで横たわっているのドラゴンがいた。
ドラゴンと目があった。
「まさか、あれをくらって生きているとは·····相打ちだと思ったんだかな」
力ない声で喋りはじめた。
「喋れるのか、珍しいな」
驚きもあったが、どこがやるせなかった。意思疎通ができるならもっとやり方があったはずだ。
「すまんな、喋れることにもう少し早く気付けば良かった」
「なに·····最初に攻撃したのは私だ。謝ることはない」
ドラゴンは幸せや諦め、終わりを受け入れるようなものを感じた。
「死に際を邪魔してすまなかった」
多分寿命がきたのだろう。そして静かに寿命を待とうとしていたのだろう。
「えぇ。ですが寿命で命が尽きることなく最後に戦って死ぬのは我々龍族にとっての誇り。それに貴方のような高貴な存在に殺される。これ以上の死に方はない。とどめを刺してくれ」
俺は承諾し、背負っている斧槍を手に取り、振り上げた。
「あぁ、ありがとう」
俺は腕を振り下ろした。
幸せそうな顔をしてドラゴンは息絶えた。