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エレベーター

自分にも起こったら良いなをベースに書いていきたいと思います。ペースはゆっくりです

 


 私は油断していたんだと思う。

 今日は可燃ごみの日でもないし、特別何かボーナスが出る日じゃない。


 給料日でもないし、毎週やってくる嫌な日でも、いい日でもない。


 チン、と軽い音が鳴り、目の前で扉が左右に均等に開いていく。


 このエレベーターは、ごくごく一般的なマンションの1階から5階まで人を運ぶために作られたエレベーターだ。

 なんてことはない。人を1人乗せただけ。

 夜の9時。まだまだ非常識な時間ではない筈だ。

 仕事の帰りに買ったコンビニのお菓子とビールとお惣菜。

 帰ればあとはシャワー浴びてお気に入りの動画をみてささやかな晩餐会だ。


 そう思い、意気揚々、とまではいかないが、あと少しで部屋にたどり着き、この窮屈な服を脱いでようやくくつろげると思うと自然と表情は緩む。


 誰もいない薄暗いエレベーターに乗り込めば、扉は閉まり、動き始める。私は4階に部屋があるので、4のボタンを押す。そして閉まるボタンを押せばようやくエレベーターは上昇し始めた。


 1階から4階。階段で歩けなくもない距離だが、実にだるい。

 わかってほしい。そこにエレベーターがあったらつい乗ってしまうこの気持ち。

 朝は階段で行きますので許して。

 

 乗って数秒。

 チカチカと点滅するエレベーター内の照明。

 はっとして携帯を確認すると、電波や充電の部分が忙しなくついては消え、ついては消えを繰り返し、おかしな表示になっている。


 室内の照明の点滅。携帯のバグ、そして。

 サッとエレベーター内の位置表示灯を確認すると、これもまた細く点滅しては、スロットのように数字が次から次へと変わってしまっている。


 ああ、これは。

 まただ。


 今日は別に特別ではなかったし、特別な行動もしていない。台風も来ていないし、大雨だって降ってない。


 何か起こってほしいとも思っていなければ、奇想天外な事を求めて「まじない」をしているわけでもない。ごくごく普通な日なのだ。


「ああ〜今日、か〜」


 この現象に恐れることもなければ、慌てることもなく、手に持っていた携帯をポケットにしまう。

 別に怖くはない。


 はじめての時はビビった。


 ビビり散らしてエレベーター内の緊急ボタンを押しまくったが特段どこかに繋がることもなく、ただただ室内は無音だった。


 まぁ何せコレは初めてではないという事だ。

 時々私に現れる、非日常現象。


 このエレベーターが実は個室焼肉、個室鉄板焼き屋さんでステーキ定食頼んで肉の焼き加減は?なんて聞かれて大層特別な焼き加減を答えたわけでも、どこぞの試験会場に行きたいわけでも、異世界に行きたいわけでもない。


 ちなみに弱火でじっくり焼くスタイルが好きなわけでもない。

 私はウェルダン派だ。


 チン、と軽快なエレベーターの到着を知らせる音が響く。

 ゆっくりとエレベーターが開いた。



 

数ある小説の中から、この小説を読んでくださりありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 乞うご期待ですね。ワクワクしながら次回をお待ちしています。
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