僕こそが、光である
これからどうぞよろしくお願いします
僕は僕であって自分以外のものが僕を名乗るとは、今までそのように考えたこともなかった。
この光景を見るまでは。
そう、僕の目の前に僕が居るのを見てしまったのだった。
僕がいる城の廊下を歩く人物に僕は見覚えがあった。
「あの人は誰なんだ、、なんで僕が、セナ達といるんだ?」
セナという冒険仲間であり、僕の姉弟子、そして僕とセナの師匠であるヤオさんという人が僕そっくりの人と一緒に何故か居た。
僕の目の前に。
僕はその光景を変えることは出来なかった。
僕は手を加えられなかった。彼の物語に。
そして僕の物語は少し遡る。
「ひ!光様!?」
僕が街中でボーっとしいると、魔王軍の下っ端に僕がここにいる事に驚かれる。
「やぁ!戻ってまいりました!僕こそが、魔王軍幹部の光様なのさ!!」
僕はえっへん!というようにふんぞりかえった。
この世界には魔王と言われている人物がいる。その人物の下に幹部、そして下っ端などがいるのだが
その幹部に僕は強いと勘違いされて、弱いのに魔王軍幹部まで昇り詰めてしまっていたのだった。
「や!やはり!うへへこれで俺も億万長者、、あ!いやすいません。では私についてきてください」
という下っ端の口は明らかにグニャリと笑っていた。
その理由は多分彼の億万長者という言葉と嬉しそうな表情から推測するに、前の戦いにおいて幹部の僕が連れ去られたので心配した誰かが、僕を見つけて連れて行くとお金が貰えるなどという制度を作ったのであろう。
「えっと、まずどこに?」
「そんな事気にしなくて大丈夫っす!知ってる人の所に連れて行くだけですから!」
「は、はぁ、なら着いていくよ」
知ってる人って誰だろう。
僕はそう言って言われるがまま彼について行った。
僕は魔王城の中につれてこられて、とある部屋の扉の目の前に立ったされる。その瞬間にその声は聞こえた。
なんとも少し前の事なのに懐かしくて、安心感のあり、震え上がるような怖くて、優しい声が聞こえた。
知ってる人って、、
「クソおおおおおおおおおおおおお!!なんで、なんで私達だけがここに戻ってきているんだよぉ!どうして、どうして、私だけでも今すぐ、、」
「それは無理そうだ。光はもう」
この声は僕と同じ幹部である夏原さんと、佐々木の声、僕が以前世話になった夏原さんと、僕に闘いを挑み負けて世話をして仲間になった佐々木だ。
かつての懐かしいその声に普通の声であれば僕は、飛び込むようにしてその部屋の中へと入るのだが、どうやら僕のことで何やら話しているらしい。
「なんで、どうして、、光」
なんだか、コレはこれでとても入りづらい雰囲気であるなぁ。
僕はどのようにしてこの重い空気の部屋に入れば良いのだろうか。
と、僕は下っ端を横目で見ながら考えるのだった。
「早く、勢いよく、入っちゃってくダセェ、光様!」
ぼ、僕にはそんな勇気は持ち合わせてないですよぉ〜、勢いよく入ってもいいけど、それはせめてもっと二人が落ち着いてからにしてください!!
「ちょっと待ってくれ、僕は今どのように入ろうかと、悩んでいるのさ!」
「お〜、でも出来れば早く入ってくださ!い!」
と言って下っ端は、おもいっきり僕の背中を強く押した。
「え!?うわ!」
僕は強く押されたので、前に倒れるようにして扉を開いたのだった。
読んでくださりありがとうございます。
元々書いていた作品が完結して、しばらく書かないつもりだったのですが、書く衝動がなかなか抑えられず、書いてしまいました。
最終回の後書きで、続編が欲しい的な風に言われたら続きを書きますとか偉そうな事を言っておいて、結局は何も言われていないのに、自ら書いてしまうという。なんとも笑い話ですね。
まぁ、僕の話はここら辺までにして、
前書きでも書きましたが。
これからどうぞ、よろしくお願いします。
ちなみに本編は、世界の光景を僕は、変えたい
という作品です