部屋を覗いてみました
自分の部屋の中に通されたロンヤードは驚く。
まるで王族の部屋のように整っていたからだ。
「ロンヤード様の部屋はやはり、他の部屋より良い物を置いてみました」
と側に立つエミリが笑顔で説明してくれる。
魔王の元に送り出すときは、あのように美しいとは言え、大丈夫だろうか、奴隷の娘なぞ、と不安だったのに。
ほんとうに今は威厳に満ち満ちている。
さすが神の子っ、とロンヤードは感心したが。
単に、エミリは、そこそこいい感じに部屋ができたので、自信を持って、今すぐ見て欲しいっ、と思っていただけだった。
「これは素晴らしいっ。
ちなみに、兵士たちの部屋はどんな感じなのですかな?」
おのれの部屋の素晴らしさに、そんな興味も湧いて、ロンヤードは訊いてみる。
「はい、ご覧ください。
ひとりひとりでもいいかと思ったんですが。
慣れない城で心細いかもしれないので、二人一部屋で」
と言うエミリに導かれ、小悪魔たちに兵士の部屋の扉を開けてもらた。
――!?
その部屋は見たこともないような部屋だった。
なにもかもがコンパクトにまとまっている。
細長い野菜の洗い場のようなもの。
二段になっている木のベッド。
真ん中には食事するのによさそうな木のテーブル。
「これは……」
「昔の団地をイメージしてみました。
小さくなんでもそろっているので」
「ダンチ……?」
どのような集落なんだ、ダンチ。
神の国にあるのだろうか。
それにしては質素だが、とロンヤードは思う。
「それから、これをご覧ください。
給湯器です」
エミリは洗い場に、昔の団地にあるような四角く白い湯沸かし器を備えつけていた。
「ここを押すと、お湯が出ます」
おおっ、とロンヤードも戸口から覗いていた兵士たちも驚く。
「実は下の大きな釜でアンジェラがグツグツ煮てくれているお湯を転移させてるだけなんですけどね」
それを聞いたマーレクが、
「……その釜で似たお湯は、人間が触れても大丈夫なお湯なんですか?」
なんかいろんな物を煮たことがあるお湯っぽいですけど、と言う。
「あと電球っぽいものも作ってみたんですけど」
エミリが天井からぶら下がっている瓢箪型の丸い植物をテーブルの上に置いていた棒でつつく。
驚いたように瓢箪のような部分が開いた。
花のような形になった一瞬、パッと周りが明るくなったがすぐに消える。
「魔王の森に生えている植物で、食べたら、魔族は頭が冴えるらしいんですけど。
人間はこんこんと眠ってしまうらしいです。
でも、食べなければ大丈夫なんで。
つつくと明るくなる性質を生かして、ここに設置してみましたが……
あんまりつつくと可哀想な気がしてきたので、あまり使わないでください」
とエミリは苦笑いする。
なんとっ。
物言わぬ植物にまで慈悲の心をっ。
さすが神の子っ、とロンヤードはまた心の中でエミリに向かい、平伏する。
「お風呂は下でみなさんで入っていただくことにしましたので、あとでゆっくりご覧ください」
これらの便利道具はロンヤード様のお部屋にも設置してあります。
家電……と言いたいところですが、電気は使わず、魔力を使っているので、家魔ですかね?
……なんか色魔みたいですね」
さすが神の子、よくわからない不思議なことを言う、とロンヤードは感心した。




