ついでに作ってみましょうっ
「そういえば、城や寺には、血天井とかあるところもあって。
入ってくる人をビビらせたりするんですよ」
翌朝、食堂の隅に置いていた城を見ながら、エミリがそんな話をはじめると、食事の給仕を手伝っていたマーレクが、
そんな工作の城の話はいいから。
この城をなんとかしろよ。
いや、それ以前に、迷走しているお前の部屋を完成させたらどうだ、という目で見てきた。
「ほう。
血天井とはなんだ?」
と興味を示す魔王様に、
「血の手形や足形がペタペタついている天井です」
とエミリは教える。
「そんなものがあったら、敵も怯えて侵入をためらうであろうな」
だから、その敵とは誰なんですか?
勇者ですか?
血の手形がついた天井ごときでビビって逃げ出す奴は、そもそも勇者とは呼べないのでは?
という目でマーレクが見る。
「でも、その血天井って、実は、大工さんが城を作るときについてしまった手足の脂が、長い年月の間に浮き出てきただけなんじゃって説があるんですよね。
まあ、そうなのかもですが。
だったら、なんで、すべての天井が血天井にならないんでしょうね?
あっ、そうだ。
作ってみましょうか、血天井」
とエミリが言ったとき、
「いや、なんのために」
とついにマーレクが口に出して言ってきた。
ずっとツッコミを入れたかったのだろう。
それはまあ、わかるのだが。
血天井の話で、熱く見つめてくる魔王様の方はわからない……。
何故だ……。
そんなに血天井が作りたいのだろうか、とエミリは思ったが、違った。




