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異世界に来てもチートな能力ないんですが、なんとなく魔王様の嫁になりました  作者: 菱沼あゆ


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お前の望みなら、なんでも叶えてやろう

 

「よし、食事の問題は解決したからお前の部屋を整えよう」


 マーレクが帰ったあと、魔王はそんなことを言い出した。


「とりあえず、部屋を選べ。

 何処がいい?」


 何処がいいって全部同じ洞穴なんですが……。


「窓のある部屋がいいか?」


 窓のない部屋があるのですか。


 そこに部下を住まわせているのですか。

 

 福利厚生は大丈夫ですかと思ったのだが。


 よく考えたら、魔物は薄暗い場所の方が好きなのかもしれない。


「広い部屋はどうだ。

 私の次に広い部屋にしてやろう」


「ありがとうございます」


 エミリは高いところにある広い部屋をもらった。


 まだ、なにもなく、ガランとしている。


 わびしいような。


 これから、なんでもここに入れられると思うとワクワクするような。


 ……うん。

 ワクワクしてきたぞ。


 エミリは岩山の明るい光の差し込むただのだだっ広い穴を見回した。


 どんな部屋にしようかなあ、と思っていると、横から魔王が言ってくる。


「エミリよ。

 お前の望むもの、なんでも出してやるぞ」


「ありがとうございます」


 そう礼を言いながら、


 でも、どうやったら思うようなものを出してもらえるんだろう?

とエミリはちょっと悩む。


 私が出して欲しい家具などを魔王様がご存じなら、パッと出てくるのだろうが。


 そう。

 さっきの椅子みたいに。


 ……絵で描いて説明するとか?


 いや、絵はあまり得意じゃないな。


 幼稚園で、隣の席のお友だちの絵を描きましょう、と言われ、描いてみたが。


 それを見た友だちは泣き出してしまった。


 なんか死んだような顔色の宇宙人みたいな絵だったからだろうか……。


 いや、ちょうど肌色がなくて、適当に色を混ぜて作ったせいだったんだが。


 ともかく、絵はトラウマなので、口頭で説明してみることにした。


「よし、エミリよ。

 まず、なにを出そうか。


 なんでも贅沢をさせてやるぞ。

 お前の望む部屋が出来上がったとき、きっと、我々はよい夫婦となっていることだろう」


 ……いや、そんな莫迦な。


 望みの家具が出せて、望みの部屋が出来上がっただけで、よい夫婦になるとか。


 共同作業で心が通じ合うという意味か。


 それとも、私の望む部屋ができるまで、何十年とかかるという意味なのか。


 いや、そんな莫迦な、と思いながら、とりあえず、エミリは思いついた欲しいものを言ってみた。


「猫足のバスタブが欲しいです」


 猫足のバスタブは乙女の憧れだ。


 一度、欲しいと家族に言ってみたことがあるのだが。


 父と兄に、

「いや、俺らが入ってたら気持ち悪いだろう」

と言われ、断念した。


 いやいや、バスタブはともかく、ケモノ足の家具は古代エジプトや中国にもありましたからね。


 王様も猫足やライオン足の椅子に座ってたと思うんですよね……。


 まあ、それはともかく、今こそ、夢を叶えるときっ、と思ったエミリは魔王に訴えた。


「猫足のバスタブをくださいっ」


 だが、言ったあとで、不安になる。


 ――待てよ?

 この世界に猫はいるのだろうか?




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