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異世界に来てもチートな能力ないんですが、なんとなく魔王様の嫁になりました  作者: 菱沼あゆ


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悪魔の実を見つけました


 駄目か。

 帰るか、と思ったそのとき、エミリは湖の向こうのゴツゴツした崖にところどころ植物が生えているのに気がついた。


 目を細めて見ると、小さな赤い実が鈴なりになっているようだ。


「あれは……」

とそちらを見ながらエミリが呟くと、それに気づいた魔女、アンジェラが慌てる。


「お妃様、あれは悪魔の実でございます」


「悪魔の実?」


「昔、私の師匠が山を彷徨(さまよ)っていたとき、あれを見つけ、まだ青かったものを口にしたそうですが。


 喉がヒリヒリするような刺激があり、飲み下すと、意識が朦朧としてきたそうです。


 まだ青いときにそれですから、完全に熟して赤くなったものなど、食べたら死んでしまうに違いないと師匠が――」


 それは大変なことだが。


 魔族なんだから、悪魔の実と名付けられたものを食べても害はないような……。


 なんでその名前にしました? とエミリは思う。


 ……それに、遠いからよくわからないのだが。


 あれ、ミニトマトみたいに見えるんだが。


 トマトの原種はミニトマトっぽい感じだったっていうから、これがそうなのかも。


 トマト、荒地の方がよく育つって言うしな。


 でもなあ、さっき、ゼンマイみたいなのも毒だとか言ってたから。


 トマトに似た違うものなのかも。


 そもそも、命賭けて試してみなければならないほどのトマト好きじゃないし。


 ……でも、トマトがあれば、ケチャップが作れるな。


 この世界の料理、薄味でも、美味しいんだけど。


 ケチャップとかはないんだよなー。


 食べたいなー。


 ナポリタンとか。


 チキンライスとか。


「魔王様」


 崖に生えているトマトっぽいものを見据え、エミリは言った。


「あの、魔王様って。

 人を生き返らせることとかできますか?」


 突然、どうしたっ!?

という目で、みんなに見られる。


「私、あの赤い実、食べてみようと思います」


 そう言いながら、いや、ケチャップに命を賭けるとか、どうなんだ? と自分でも思ってはいたのだが……。



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