エピローグ
「桜おねぇちゃん、今日はホントありがとう!
おかげで、友達ができたよ!!」
帰宅後、例のごとく、ゲームをしている桜に向かって、ハルはお礼を言った。
「まぁ、確認したいことがあったついでです。
気にしないでください。」
桜はやはり視線をゲームからそらさず答えた。
「またまたぁ~そんなこと言って、心配してきてくれたんでしょ~
ていうか、地縛霊のくせして、学校にまで来れるんだね。」
ハルは分かってると言わんばかりに桜に言った。
「地縛霊といっても、私の場合はこの町の地縛霊ですからね。
家がここってだけで、ある程度遠くには行けますよ。」
桜はハルのからかいに動じることなく言った。
「ふ~ん。そうなんだ。」
ハルは少しつまらなそうに言った。
ハルは最後に一つだけ、桜の「トイレの花子さん」の話で違和感を感じていたことが何なのか、気になっていた。
…が、最後まで分からなかった。
どうせならダメ元で聞いてみるかとハルは桜に尋ねてみた。
「桜おねぇちゃん。
おねぇちゃんが話してくれた「トイレの花子さん」なんだけど、聞いた時からずっと違和感を感じてるんだけど、なんだか分かる?
まぁ、分かるわけないか~曖昧すぎるよね。」
「…違和感の正体、恐らく、分かりますよ。」
桜は少し不気味に答えた。
「えっ!そうなの。教えてよ。」
ハルは何の気なしに聞いてしまった。
「あなたが違和感を感じているのは、首をつってからの薄れゆく意識の中で花子さんが感じていた無念がどうしてそんな具体的に分かるのかということでは?」
「あっ!そうだ!普通、こういう怖い話って死ぬ直前の意識まで具体的に説明するものってないから、違和感を感じてたんだ。」
桜の話を聞いて、ハルは合点がいった。
「じゃあ、どうして桜おねぇちゃんには分かるの?」
桜はいつも通り、無感情の表情で答えた。
「直接、本人に聞いたからです。」
「えっ?」
「私が聞いた「トイレの花子さん」の話は直接本人に聞いたものですから。」
「ど、どういうこと?」
ハルは若干怖くなりながらも、桜に聞いた。
「私はこの町の学校なら制約もなく行けるんです。
あなたが来るまではゲームもなかったので、散歩くらいが私の娯楽でした。
そんな散歩の最中にたまたま立ち寄った学校のトイレでおかっぱの少女、「花子さん」と出会い、お化け同士、気が合って話してくれたんですよ。」
桜は淡々と説明した。
「ま、まさか…」
ハルは嫌な予感がした。
「その通りです。
今日あなたの学校に行ったのは、あなたに会いに行ったのではなく、「花子さん」に会いに行っていただけです。
その時たまたま、あなたたちを見かけたというわけです。」
「じ、じゃあ、私の学校には本当に「花子さん」がいるってこと?」
ハルは恐る恐る桜に聞いた。
「どうやら、あなたの学校であっていたみたいですね。
良かったですね。」
「良くないよ!!怖いよ!
でも、なんで私に見えなかったの?」
ハルは怖くなり、最後の質問をした。
桜はゲームを続けながら答えた。
「「花子さん」は3階、図書室近くのトイレにいるんですよ。」
終わり