エピローグ
ハルが自室に戻った後、桜はゲームをやめて、テーブルに置いているタブレットを起動させた。
そして、メールアプリを開き、桜は遥香からの既読済みのメールを開いた。
「多分、今日の夜、ハルが話に来ると思うから、ゲームにでも誘ってあげて下さい。」
桜は遥香のメッセージを読んだのは2度目だった。
「…まったく。ハルは少し愛されすぎですね。」
すると、総一郎がそぉっと部屋に入ってきた。
どうやら、ハルとの話をこっそり盗み聞きしていたようだった。
総一郎は真っ暗な中、ゲームとタブレットの画面が光っていたのを見て、その方向に頭を下げた。
「桜さん。
僕が余計なことを言ったせいでハルとあなたの仲を気まずくさせてしまった。
申し訳ありません。
そして、本当にありがとう。あなたがいて、本当に良かった。
どうか許されるなら、これからもずっと桜を見てやってください。」
桜は総一郎の感謝の言葉を聞いて、優しく微笑みながら、タブレットの送信メール画面を開き、文章を入力した。
総一郎は文字が打ち込まれる様子を見て、桜からのメッセージだと気付いた。
そして、タブレットに近づき、その文章を読んだ。
「ずっとは嫌ですが、心配がなくなるくらいまでなら、見てあげますよ。」
総一郎はぷっと笑って、桜に言った。
「本当に桜さんは素敵な方だ。
もし、生きていたなら、結婚したいくらいですよ。」
桜は顔を火が出んばかりに真っ赤にした。
「この男は…そんな…恥ずかしいことを…堂々と…」
すると、リモコン、食器などがガタガタ動いて、テレビも点いたり、消えたりを繰り返した。
そして、ダイニングテーブルに置きっぱなしにしていた食器がパリーンと大きな音を立てて、落ちた。
その音を聞きつけて、ハルがガタガタと二階から慌てて、降りてきた。
「な、何事!?」
桜はフッと消えてどこかに行ってしまった。
総一郎は割れた食器を片付けながら、ボソッと言ったのだった。
「今回、僕、本当に余計なことしかしてないや…」
終わり




