エピローグ
「まったく!!
折角、同じお化けの見える人に会えて嬉しかったのに!!
あんな人だったなんて!がっかりだよ!」
帰宅後、居間のソファーにどかっと座って、怒りながらハルは言った。
「…あの男はそれ程悪い男ではないと思いますがね。」
桜は早速、ゲームを起動しながら、ハルに言った。
ハルはムッとしながら、桜に言った。
「そうかな?私はやな奴だなって思ったけど…」
「本当に何も考えない人であれば、話を聞かずに除霊するでしょう。
しかし、あの男は首吊りのお化けに対しても話をした後に除霊しています。
どんな話をしていたかはわかりませんがね。
ただ、恐らくはきちんと話を聞いて、そのお化けのことを理解してから、除霊しようとしている様子は伺えましたよ。」
桜は神山が書いてくれた攻略メモを見ながら、ハルに言った。
「妙にあいつの肩を持つね…
確かに顔はいいけどさ…」
ハルは自分に賛同してくれると思っていたので、少し納得のいかない様子だった。
桜はいつもの意地悪な笑顔でハルに言った。
「そういうことを言ってる内はまだまだ子供ですね。
それにあの男は礼儀がしっかりしてましたし。
私は作法がしっかりしている方に対してはちゃんと、敬意を払いますよ。」
ハルはまたもムッとして桜に言った。
「どうせ、私はガサツですよ!
じゃあ、なんであの時、あいつに除霊されるの嫌がったのさ?
この前、適当な和尚にお祓いしてもらおうとしたって言ってたのに。」
桜はふふふと笑い、ゲームを一から始めながら、ハルに言った。
「今、成仏してしまったら、このゲームが出来なくなるじゃないですか。」
ハルは呆れながらも笑って呟いた。
「桜おねぇちゃんらしいわ。」
ハルは機嫌が治ったもののゲームをしている桜を見ながら、しばらくぼ〜としていた。
「ハルさんが桜さんを縛っているように見えますね。」
相馬の言葉がしこりのように心にずっと残っているのだった。
終わり